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不動産への公信の原則の不採用について

民法総則の入門書のさらに入門書を読み始めた初学者です。 不動産については、動産と異なり公信の原則が採用されていないとの事です。つまり、AからBへの物権変動が無かったことを知らなかったCがBと結んだ契約は保護されないという原則に驚きました。例外的に善意無過失なCを94条2項(通謀虚偽表示に関わる第三者の動的安全を保護する目的だったでしょうか)の類推適用で保護できるという事です。しかし、契約の成立要件、有効要件のうち、外形の一致によって成立要件を満たしていても、有効要件は満たしていないように思ってしまいます。契約当事者に関わる有効要件の心裡留保や虚偽表示を先に知った私は正にこれに該当し、Cが善意であれば動的安全が保護されるのがむしろ原則のような気がしたのですが、後に知った公信の原則を否定され、理解に苦しんでいます。一方で、保護されなければ契約無効となり、Cが払った金額などは返還され、すべて元通りとなるから別にいいのかなといった気もします。 それからもう一つ、有効要件のうち、心裡留保や虚偽表示は意思の不存在ということで、善意無過失な場合は有効となり保護されると知りました。Aが表示と内心が異なる内容の契約を善意のBと結んで有効となるのは、Bを保護していることになるのか?と疑問でした。これは、詐欺や強迫と違い、Bにとって有益な契約であるから有効という事でしょうか。それならば納得できます。 以上、極めて初歩的な質問で恐縮ですがお願いします。

  • haru84
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  • un_chan
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回答No.2

 不動産については、登記に公信力がないとされてはいるのですが、これを貫徹するとCにあまりに酷ですし、登記に対する信頼性の問題が出ます。このため、実際には、復帰的物権変動の場合に二重譲渡類似として177条の対抗問題として処理したり(この場合はCは悪意でも背信的悪意者でなければ保護される)、Cが善意の場合に94条2項の類推適用を認めて、実質的に一定の公信力を認めているのが実情だと思います。  ちなみに、ドイツでは、形式的審査ですが、登記に公信力があります。 >万一、Bが知らない(善意)でBに不利な契約をすれば、Aに意思表示上の瑕疵があったこととなり、取り消しうるとして、遡及的に契約破棄もできそう  これは、ちょっと違うと思います。Bが知らないでBに不利な契約をするということは、Bに錯誤があったということになります。すると、95条により、その錯誤が要素の錯誤だと認められれば、意思表示は無効になります。しかし、単なる動機の錯誤であれば、Bの意思表示には瑕疵がなく有効ということになります。  なお、錯誤無効は、自分の意思表示上の瑕疵を理由に無効を主張するもので、相手の錯誤を理由にこれを主張することはできません。

参考URL:
http://www.moj.go.jp/MINJI/MINJI43/minji43-7-2.html
haru84
質問者

お礼

ご丁寧な回答ありがとうございました。 >ドイツでは、形式的審査ですが、登記に公信力があります 日本の民法はパンデクテンシステムという事で、ドイツ由来と聞いていますが、こういった違いはあるのですね。驚きました。 >Cについて悪意でも対抗問題として処理したり、善意の場合に94条2項の類推適用を認めて、実質的に一定の公信力を認めているのが実情 なるほど、参考になります。 >錯誤無効は、自分の意思表示上の瑕疵を理由に無効を主張するもので、相手の錯誤を理由にこれを主張することはできません 錯誤は自分についてのみ主張できるとは知りませんでした。やはり入門書では重要な部分が省かれていたようです。大変参考になると同時に、いずれ基本書など、より深い内容を勉強する必要を感じました。機会がありましたらまたよろしくお願いします。

その他の回答 (1)

noname#36947
noname#36947
回答No.1

公信力については、法務局に形式的審査権しかない以上やむを得ないことだと思います。 実体についての審査権も有しているのならば公信力を認めてもいいでしょうが。 >契約当事者に関わる有効要件の心裡留保や虚偽表示を先に知った私は正にこれに該当し、Cが善意であれば動的安全が保護されるのがむしろ原則のような気がしたのですが 動的安全の保護といっても、本当の所有者の静的安全を害してまですることではない場合が多いです。 仮に、Bが所有権を有しているのならばCを保護すべきでしょうが、本当の所有者に責任がないような事情により登記がなされてしまった場合にまでCを保護することはやりすぎです。 例えば、BがAの権利証や印鑑証明書を偽造して登記をしたような場合ですね。 そういった意味で権利関係を争う余地があるのはある種当事者の救済につながるということになるでしょう。 >Aが表示と内心が異なる内容の契約を善意のBと結んで有効となるのは、Bを保護していることになるのか? なります。嘘をついた人よりだまされた人を保護する必要のほうが大きいですよね。 極論ですが、詐欺師を保護すべきか被害者を保護すべきか、というのと同じ考えです。 民法上の各種の規定は当事者間の利益の調整を目的としていますので、具体的ケースを色々想像してみると理解しやすいと思いますよ。 つめて考えるとけっこう面白いので、色々な本やその手の論文を読んでみるといいと思いますよ。

haru84
質問者

お礼

ご丁寧に解説していただき、ありがとうございました。 不動産に公信の原則が採用されないのは、法務局に形式的審査権しかないからということは、なるほどと納得しました。実際に出向いたり事務作業をすると膨大な業務になることが予想され、それは現実的ではないという理由もあるのかなと思いました。 それから有効要件についてですが、強迫など意思表示上の瑕疵がない場合は当事者であるBも望んだ契約と言える訳で、それを有効とするのはやはりBを保護することになるだろうと思い至りました。万一、Bが知らない(善意)でBに不利な契約をすれば、Aに意思表示上の瑕疵があったこととなり、取り消しうるとして、遡及的に契約破棄もできそうですね。ありがとうございました。

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