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犯罪事実に「因果関係の経過」は含まれるのでしょうか?

kanpyouの回答

  • kanpyou
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回答No.3

「甲がピストルを用いて、Aを射殺した。」 この場合は、甲の「行為」「故意」「因果関係」は明らかです。 ・「Aと思ったら、Bだった」(客体の錯誤) ・「甲がピストルを発砲したがAに弾は当たらず、Bに当たり死亡した。」(方法の錯誤) ・「甲がAに対してピストルを発砲したが、弾はそれた。しかし、馬が暴れて落馬し、Aは死亡した。」(因果関係の錯誤) 殺人罪の構成要件として、「殺そう」との意思が必要です。ここで問題となるのが、具体的事実の錯誤(因果関係の錯誤)です。 『具体的符号説』によると、それぞれ殺人罪は成立しない。 『動機説』によると、因果関係の錯誤のみ成立する。 『法定的符号説』だと、全て成立することとなる。    通説・判例は法定的符号説の見解をとっており、方法の錯誤のように「直接の意思がなくとも」、「因果関係」を認めています。

docbrown
質問者

補足

>『具体的符号説』によると、それぞれ殺人罪は成立しない。  これに対して、具体的符合説で処理した場合、わたしは次のように処理します。あなたはどう思いますか?  上記の「客体の錯誤」の場合、Bに対して殺人既遂罪(Bを含んだ「その人」の範囲で符合するので故意は阻却されない)、Aに対して殺人未遂または不能犯。  上記の「方法の錯誤」の場合、Aに対して殺人未遂罪(Aを含んだ「その人」に対する殺人の故意あり)または不能犯。Bに対しては過失致死。  上記の「因果関係の錯誤」の場合、Aに対して殺人既遂罪とわたしは考えます。 まず、「実行行為性」の検討。  「Aに対してピストル発砲」より、具体的危険説(通説)など学説によらず、甲の実行行為性は明らかです。  つぎに、構成要件的結果ですが、「Aの死亡」です。ここで、「落馬により」など因果の経路は考慮に入れません。あくまでも「構成要件に規定された法益侵害」に該当する事実を考えます。  そして、「因果関係」の有無を検討します。ここは、通説である折衷説でいいでしょう。 「行為後の介在事情」(ここでは落馬)があるけど折衷説では相当因果関係ありとなります。  実行行為と結果の間に条件関係があり、ピストル発砲→死亡は経験則上ありうる、異常ではない。よって、相当性ありとなります。  行為後の介在事情の処理は前田説が一番すぐれていますが、前田説でも相当性ありとなるでしょう。馬に責任を帰属させるのはおかしいような気がします。ただ、行為後の介在事情の処理には、まだ問題があるように思います。  最後に、構成要件的故意を検討します。 具体的符合説ではAを含んだ「その人」に対する殺人という点で符合するので、故意は阻却されません。  以上から、Aに対する殺人既遂罪が成立します。 >『法定的符号説』だと、全て成立することとなる。 そのとおりだと思います。

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