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西東三鬼の俳句の季語について
usagisanの回答
まず、「花火」の季節に関して少し。 江戸時代の松永貞徳の有名な俳諧書「俳諧御傘(ごさん)」には、「花火」は「秋」とされているようです。その伝統を受け継いで「花火」を「秋」とするものが多いようですが、実感を優先して「夏」とするものも増えてきているようです。 私が見た歳時記も「晩夏」となっていました。要は、俳諧の伝統を重んじるか、実感を重んじるかの違いといえます。 ついでですが、旧暦では1月から3月まで春(お正月を「新春」などといいますね。)、4月から6月が夏、7月から9月が秋です。だから、7月7日の七夕も伝統的には秋の季語になりますし、旧暦8月15日は秋の真ん中だから「仲秋の明月」ということになります。 なお、「花火」が「秋」とされたのは、京都の大文字焼きなどと同様に、お盆の行事としてとらえられていたからだそうです。 江戸で有名だった両国の花火(涼み舟を出すことが許される、隅田川の川開き)は旧暦5月28日に行われていたようですが、両国の花火の元々の起こりは、大飢饉や疫病による死者供養の目的もあったようです。でも、花火は夏のものという実感は江戸時代からあったかもしれませんね。 なお、旧暦は年によって違いますが、新暦(現在の暦)と比べて1ヵ月ぐらいはずれているので注意が必要です。(今日3月6日は、旧暦では1月23日です。) それから、 > 「暑さ」、ですか、「暑く」ではだめですか? ダメじゃありません。たとえば「西瓜割り」は夏の季語ですが、「西瓜割る」と動詞の形で使っても季語として認められます。 No.2 の方が言っていらっしゃるように、「暑さ」「暑し」「暑き」あるいは「暑く」と品詞が変わったり、活用したりしても季語になります。 テストなんかで「季語は」と聞かれたら、「暑く」と句中の語で答えて言いと思います。 一つの句に二つ(以上)季語が入るのを「季重(きかさ)なり」といい、感動の中心がぼやけてしまう危険性があるので、「できれば避けた方がいい」ということになっています。 御質問の句では、「花火」を待っている気持ちが句の中心だと思われます。「暑く」の方は「暗く」「大群衆と」と並べられて、あくまで「花火」を待っている状況の説明です。したがって、「花火」が主、「暑く」が従ということになり、季重なりで感動の対象が分散して、感動が薄められるといことにはならないと思います。
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