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ナフタレンのスルホン化について

室温ではナフタレン-1-スルホン酸が、170℃ではナフタレン-2-スルホン酸が生成しますが、このとき熱力学的に安定なのはどちらでしょうか?どのように考えればよいか教えてください。 ΔG=ΔH-TΔSを使うのでしょうか?

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  • 2benzene
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回答No.1

 高温条件では反応の活性化エネルギー以上の分子が多くなり、可能なあらゆる反応が起こります。そのため、時間がたつと最も安定な生成物が主としてできるようになります(熱力学的支配)。一方、低温条件や短時間では反応が起こりにくくなるため、生成しやすいものが主にできるようになります(速度論的支配)。  1-Naphthalenesulfonic Acid は1位のスルホ基と8位(peri位)の水素との立体障害により2-Naphthalenesulfonic Acidよりも熱力学的に不安定になります。一方、中間体のσ錯体の共鳴構造を考えると、1位のσ錯体では5つの共鳴構造の内2つがベンゼン環を保っているのに対し、2位の場合は5つの共鳴構造の内1つしかベンゼン環を保つものはありません(図1)。よって、1位の方が中間体が安定なため速度論的には1位が主生成物となります。また、軌道論の観点においても、ナフタレンのHOMOを見ると、1位の係数が2位よりも大きいことがわかります(図2)。このことからも速度論的には1位の方が生成しやすいことがわかります。

syosinsyaA
質問者

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丁寧な解答をありがとうございます! 熱力学的支配ですが、ナフタレンのスルホン化に関わらず、高温条件と低温条件で生成物が変わる場合、高温条件の生成物の方が安定しているという考え方でよいでしょうか?

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  • 2benzene
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回答No.2

>熱力学的支配ですが、ナフタレンのスルホン化に関わらず、高温条件と低温条件で生成物が変わる場合、高温条件の生成物の方が安定しているという考え方でよいでしょうか?  基本的にそう考えて良いと思います。一応詳しく解説しておきます。  活性化エネルギーが低いほど反応は速く、高いほど遅くなります。     k=A exp (-E/RT)     (Arrheniusの式) 低温ではエネルギーの高い分子は少なく、可逆反応であっても逆反応が起きにくくなります。そのため、一度生成系に行ったものは生成物の安定性にかかわらず戻ってこなくなり、起こりやすい(活性化エネルギーの低い)反応の生成物が多くなります。一方高温では、逆反応も活発に起こります。ここで、熱力学的に安定な生成系からの逆反応は活性化エネルギー(E)が大きく反応速度が遅いため、時間がたつにつれ熱力学的に安定な生成物がたまっていき、やがて平衡状態になります。   <蛇足>  ΔG=ΔH-TΔSについても言及しておきます。高校化学でも出てくるエタノールの脱水反応を考えるとわかりやすいと思います。エントロピー項は温度Tがかかっているため、高温条件で寄与が大きくなります。エタノールが分子間脱水をしてジエチルエーテルを生成する反応は、2分子のエタノールが1分子のジエチルエーテルになるため、エントロピーは低下します。一方、分子内脱水によってエチレンを生成する反応は1分子のエタノールから1分子のエチレンを生じるため、エントロピーの変化は小さいです。このことから、低温ではジエチルエーテルが、高温ではエチレンが生成することがわかります。  ではナフタレンのスルホン化はどうでしょうか。1位、2位のどちらで反応しようが分子数は変化しないため、エントロピー項の寄与はそんなに大きくないと考えられます。そのため熱力学的な安定性の違いはエンタルピー項の寄与が殆どだと考えられます。

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