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反語法によって書かれた小説はあるのか?

 川柳の本質はアイロニーであるという趣旨を、尾藤三柳氏は「平成サラリーマン川柳傑作選  二匹目」の中の「川柳一問一答2」で述べておられます。「アイロニー」を「反語法」と捉えるならば、  反語法で書かれた文学は小説にも存在するのではないかと思いました。反語法によって小説全編が書かれることはほとんどないだろうと思いますが、小説の一部でも反語法で書かれているということで、有名な作品と作家名を教えてください。できるならば、読みやすくわかりやすい、エンターテイメント性に富むものを教えてください。難解で専門性に富む作品は、私にはほとんど歯が立たないと思うからです。

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  • TANUHACHI
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回答No.2

 こんにちは。「アイロニー」の理解ですが、これは「反語」とは異なります。「反語」というのは「~であろうか」との表面的には問い掛けの形をとりながら、実際には「いや、そうではない」と問いかけの前提に対する否定を表す形を指します。この意味からすれば、「アイロニー(ドイツ語ならば、イロニー)」と理解することが誤りといえます 。「アイロニー」は皮肉であり、あてこすりや厭味と同じで、少しばかりのユーモアも含みます。さしづめ「毒舌」といったところでしょう。  こうした理解に立つならば、近代そして現代文学殆どをシニカルもしくはアイロニカルと呼ぶことも可能で、その端緒を求めるなら漱石や龍之介そして太宰あたりまで遡ることもできます。戦後文学でも安部公房さんの『壁-Sカルマ氏の犯罪』や開高健さんの『裸の王様』は有名なところです。  エンタテイメント性がどの様な志向かは存じませんが、肩の凝らない読み物をお求めなら、文学よりも読み物をお薦めもします。さしあたっては、星新一さんのショートショートの一つ『装置の時代』あたりがおもしろい作品ですね。  朝の起床にはじまり身の回りにある全てを機械装置がサポートしてくれる「おかげ」で便利にはなっている。そしてその装置とやらはめったやたらに故障を起こさないとはいうものの。その装置の故障を発見する装置によって、何かの機械にトラブルが生じた時にはそれをいちいち修理に出さねばならないとの不便さがあり、それに振り回されているとの皮肉を、最後の一言で端的に表現してもいます。「何が便利だ」とキレてしまいぼやく姿が滑稽ですらあるとの星新一さん独特の筆致で書かれてもいる作品です。

untiku1942
質問者

お礼

 おはようございます。勉強となるご回答ありがとうございます。昨日御地は、大雪の被害に遭われませんでしたか。当地は昨夜来の雪がまだやまず、積雪10cm程度でまだ積もりそうですが、これは例年どおりであって平気です。  私の「アイロニー」の理解は、広辞苑の浅い読みの程度であったなと反省いたしました。川柳の本質は皮肉・毒舌にあるのだと理解していきたいと思いました。ご回答にあった安部公房氏や開高健氏、星新一氏の名前は存じ上げておりましたが、作品はほとんど読んだことはありませんので、これから読んでみようと思います。  我が身の浅薄な語彙理解を反省する機会を与えてくださった、ご回答ありがとうございます。

その他の回答 (1)

回答No.1

一応確認ですが、ご質問の反語法とは、いわゆる修辞疑問ではありませんよね? ・誰がやるか。(=誰もやらない) ・誰にやるか。(=誰にもやらない) アイロニーということであれば、皮肉ですが、文学ならば風刺(サタイア satire)と呼ばれるでしょう。 風刺文学で有名どころといえば、 ジョナサン・スウィフト :『ガリヴァー旅行記』 ジョージ・オーウェル : 『1984年』『動物農場』 オルダス・ハクスリー : 『すばらしい新世界』 カート・ヴォネガット・ジュニア :『猫のゆりかご』 アンソニー・バージェス:『時計じかけのオレンジ』 芥川龍之介 : 『河童』 沼正三 : 『家畜人ヤプー』 政治体制や人間社会を当てこする作品なので、どうしてもディストピア文学やマゾヒスティック文学が多くなりますね。 映画なら、チャップリンの 『独裁者』とか、キューブリックの『博士の異常な愛情』『2001年宇宙の旅』などがありますけど。

untiku1942
質問者

お礼

 おはようございます。当地は昨夜来の雪が降り続き止みそうになく、10cmほど積もってまだまだ積もりそうです。御地は昨日、雪の被害にあわれませんでしたか。深みのあるご回答、まことにありがとうございます。  私の「アイロニー」の理解は、広辞苑に書かれた意味の浅い受け取りのレベルでした。ご回答の「修辞疑問」に相当するものでした。また「ディストピア文学」や「マゾヒスティック文学」は初めて目にする言葉でして、やはり広辞苑やyahoo検索に頼って、ご回答を理解しようといたしました。川柳の本質としてのアイロニーは、「皮肉」と捉えるべきだなと思いました。ご教示いただいた文学作品の数々は、「ガリヴァー旅行記」や「1984年」、「河童」以外は読んだ記憶がないものばかりでした。  勉強になりました。ありがとうございます。前記以外の作品も読んでみようと思います。

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