• 締切済み

IS曲線とLM曲線

bigorange9の回答

回答No.1

初歩的にはなかなか理解しにくい箇所だと思います。 1.均衡を維持することの意味 ・たとえばIS曲線の場合。右下がりになるのは、所得Yが増えたとき、(ケインズ型の消費関数を前提とすると)消費Cが増え、貯蓄も増えることになります。ところが、このままだとS>Iとなって、財市場が均衡しません。均衡させるためには、Iが増える必要があります。Iは利子率の減少関数ですから、「均衡国民所得を維持するには」利子率が低下しなければいけない、ということになります。 ・ここで、「均衡を維持するには利子率が低下しなければいけない」という書き方に注目してください。このことは、実際に均衡するかどうかを問題としているのではなく、「財市場が均衡するところで国民所得が決まる」とした場合に、IS曲線上で所得が維持されるための条件を示している、ということです。ですから、実際には不均衡かもしれないし、利子率があまり低下しないかもしれないのですが、理論モデル上は、「右下がりのIS曲線」という議論のお膳立てをしたので、その前提のもとで、経済変数がどう動くか、という思考実験をしているわけです。 ・このように、「ある前提の下で均衡を維持するにはどのように動くべきか」といったような、「べき論」を議論する経済学の方法論を「規範的分析」といいます。一方、「では実際に国民所得は均衡水準にあるのか」とか「所得の増加に対して利子率は低下したのか」を確かめようという方法論を「実証的分析」といいます。経済学では、作法として理想的な前提の下での規範的な議論をたててから、それがどの程度現実を描写しているかを実証する、というスタイルをとるので、このような二本立てになっているのです。 2.内生変数と外生変数の区別 ・その際に、すべての変数を同時に動かすと議論が複雑になってしまうので、経済モデルの中で決まってくるものを内生変数(ないせいへんすう)といいます。一方で、モデルの外側から所与の条件として与える変数を外生変数(がいせいへんすう)といいます。通常、簡単なIS-LMモデルでは、所得Yと利子率rだけが生変数です。グラフの横軸がY、縦軸がrですよね。一方、政府支出は政府が勝手に決めるという前提なので、外生変数というわけです。 3.定義式と均衡式(行動方程式)の区別 ・加えて、経済学の式には定義式と均衡式の区別というものがあります。定義式は、たとえば 「需要YDは消費Cと投資Iと政府支出Gの和である」 すなわち YD=C+I+G と予め決めてしまうものをいいます。決めの問題なので、それ以上でもそれ以下でもありません。左辺は右辺で表現される、と言っているだけです。 一方、需要と供給は企業と消費者の合理的な行動によって、市場で均衡する、という状態を YS(供給)=YD(需要)=C+I+G と書きます。この場合は、左辺は企業の都合で決まる変数、右辺は消費者の行動で決まる変数、それが合理的に均衡した状態だと言っています。形は定義式と似ていますが、文脈から均衡を表現しているということですね。似たような例に、通貨需要関数 MD(通貨需要)=L(所得、利子率) があります。これは、左辺が右辺で表される、という定義式です。 一方、金融市場の均衡式としては、 M(均衡通貨量)=MS(通貨供給)=MD(通貨需要)=L(所得、利子率) となります。ほかにも似たような話はいっぱいありますが、定義式なのか均衡式なのかは、文脈によって判断することとなります。 以上の説明を前提にして、Y=C+I+Gを色々と変形させて考えてみてください。定義式なのか均衡式なのか・・・だんだん慣れてくると思います。

_julius
質問者

お礼

非常に詳細なご説明,誠に有り難う御座います!!!! >1.均衡を維持することの意味 すごく分かりやすかったです!特に「規範的分析」と「実証的分析」の話は,なるほどなあ,と思いました。 例えば減税とIS曲線の移動の関係について, 規範的分析の観点から「利子率が上昇すべき(Iを増やすために)」という話なのに, さも「減税すると利子率が上昇する」と考えてたのが誤りでした。 この点,申し訳ないのですが,さらなる質問なのですが, 【質問3】 減税という財政政策は,可処分所得の増加を通じて消費を増やすことが目的なのであって, それによってC+I+GとC+S+Tの均衡が崩れた(両辺のCは同じだけ増えるが,右辺のTが減るから)なら, その均衡を再度実現する(利子率を上げることでIを減らすとか,Gを縮減するとか)行為は, 減税という財政政策とは別の行為(次に考えなければならない問題)だ,ということでよろしいのでしょうか? >2.内生変数と外生変数の区別 この点は一応分かっていたつもりなのですが,より頭がスッキリした気がします。 IS曲線が右下がりになることの説明の時には,内生変数がからんでくるが, IS曲線が平行移動することの説明のときには,外生変数もからんでくる,ということかと理解しています。 >3.定義式と均衡式(行動方程式)の区別 ここが一番目から鱗でした!!!! やっぱり,「一致させるべき」という等式(均衡式。「一致させるべき」というか,イコールになっていれば「均衡している」と言える)と, 「自然と一致する」等式(定義式)があるのですね!!ご回答をヒントに調べてみて,恒等式,というのも知りました。 ご回答を参考に,まとめると, GDP=C+I+G+(X-M),Yd=C+I+G,Ys=C+S+Tは定義式(恒等式?)かと思います(つまり,Yd>C+I+Gなどは概念矛盾)。 一方,Yd=Ys,Md=Lは均衡式かと思います(つまり,Yd>Ysという事態もあり得る)。 ところが,今一歩理解できないのが,Yを表す式です。 【質問4】 「消費税率上昇で可処分所得の減少を通じ民間消費が抑制するから,政府支出を増やさなければ,国民総生産を減少させる」 ことの説明として,テキストに, 「Y=GNP=C+I+Gだから」 という風に書かれています。 GNP=C+I+Gは定義式だと思うのですが,これとYとの関係は何なのでしょうか? やはり同様にY=C+S+Tというのもありますが,これは恒等式だと思っていたので, Y=C+I+Gまで恒等式だとすると,Y=C+S+Tという恒等式と合わさって C+I+G=C+S+Tが恒等式ということになり, 結局,Yd=Ysが恒等式ということになってしまいます。 しかし,上述のようにYd=Ysは均衡式だったはずで,パニックになります。 Y=C+S+TやY=C+I+Gという式の意味するところは何なのでしょうか? ご迷惑をお掛けし申し訳ありませんが,お時間のありますときにアドバイス頂けると幸いです。

関連するQ&A

  • IS曲線とLM曲線

    IS曲線 http://www.findai.com/yogow/w00404.htm >「利子率が上がると国民所得が減少し、 >利子率が下がると国民所得が増加する」という関係を表します。 なぜ利子率が上がると国民所得が減少するのですか? >「国民所得Y=消費C+投資I+政府支出G」 借金して投資できなくなるから国民所得Yが減少する認識でよろしいでしょうか? LM曲線 >「利子率が上がると国民所得が増加し、利子率が下がると国民所得が減少する」 >という関係を表します ISと逆な関係になるですがなぜですか? 利子率が高いと借金できなく投資できなくなるのでは?混乱してます

  • IS曲線について

    ある参考書で、IS曲線の導出の際、 Y=C(可処分所得)+I(利子率)+Gとして 左辺のYが増加した場合に右辺では可処分所得に依存するCが限界消費性向分増加し、利子率が下がって投資Iが増加することによって均衡する。だからIS曲線は右下がりになるとなっていました。 この内容に関して質問があります。 なぜ国民所得Yが増加すると利子率が低下するのでしょうか?実際には利子率は上がりそうな気がするのですが、どなたか具体的に説明をお願いします。

  • IS・LM曲線の方程式

    Y=C+I+G C=0.8(Y-T)+20 I=100-1000i M/P=Y-1000i この時の ・IS曲線・LM曲線の方程式 ・均衡産出水準及び利子率 を求めよとの問題なんですが 貨幣需要がナイのにどうやって求めたらいいんでしょう??

  • IS曲線とLM曲線の求め方がわかりません。

    C=200+0.5(Y-T) I=1000-4000r G=400 T=400 実質貨幣需要(M/P)d=Y-100000i 実質貨幣供給:M/P=1000 予想物価上昇率:π=0 で与えられているとき、IS曲線、LM曲線を求めよ、という問題がわかりません。 答えは LS曲線:Y=1000+10000i LM曲線:Y=2800-8000r らしいのですが、なぜそのようになるのですか??

  • 経済学 IS-LM曲線について

    Y=C+G+I C=20+0.8y I=40-1000i M/p=y-1000i この式におけるIS・LM曲線の求め方、 G=10、M/p=50のときの均衡算出水準、利子率の求め方、 △G=5だけ政府支出があったときの新しい均衡算出水準とそのときに発生したクラウディングアウトの量を求めよ。 と言う問題に取り組んでいますが、LM曲線の求め方からわからなくなってしまい困っています。 どなたか教えていただけ無いでしょうか。

  • LM-IS曲線の方程式の計算について

    基礎的な計算法について質問です。宜しく、お願いします。 C=150+0.6Y I=350-20i ただしY=国民所得、C=消費、I=投資、i=利子率 と仮定する。 財市場の均衡条件は、 Y=C+I であった。  代入すると Y=500+0.6Y-20i ・・・(1)式 となる。これを整理して、 0.4Y+20i=500 上記の式において 式を整理した後の0.6Yが0.4Yになっているのは、どのような式の展開で得られるのでしょうか?

  • IS-LM曲線についての問題です。自分では解けなかったのでよろしくお願

    IS-LM曲線についての問題です。自分では解けなかったのでよろしくお願いします。 Y=C+I+G C=52+0.6(Y-T) I=80-12r G=20 T=20 M/P=L M=340 P=2 L=120+0.5Y-10r 以下の問題について答えよ。ただし、1と2はYについて解いた形(Y=~)で答えよ。 1、IS曲線を表す式を導け 2、LM曲線を表す式を導け 3、均衡国民所得と均衡利子率を求めよ 4、完全雇用国民所得が300の時、これを達成するためにどれだけの追加的政府支出の拡大が必要か答えよ。ただし、金融政 策は行われないものとする。 5、完全雇用国民所得が320の時、これを達成するためにどれだけの追加的マネーサプライの増大が必要か答えよ。ただし、財 政政策は行われないものとする。 という問題なのですが計算過程も記述してくれるとありがたいです。 よろしくお願いします。

  • IS LMモデルについて。

    IS-LMモデルについての問題です。(マクロ経済学) ・国民所得: Y=C+I+G ・家計消費: C=0.6Yd+12 ・家計可処分所得: Yd=Y-T ・所得税: T=70 ・民間投資: I=250-0.4r ・公債発行: B=50 ・貨幣需要: L=LA+LB ・資産需要: LA=5000-1.5r ・取引需要: LB=2Y+2750 ・貨幣供給: M=8400 ・資本設備 K=4400 ・技術進歩率: g=0.03 ・労働力: W=6400 ・人口増加率: n=0.02 で表される。ただし、 G は政府支出、政府の財源は所得税と公債発行のみ、財政収支は均衡している。 r は利子率、物価水準は一定、資本設備は 100%稼働、労働力は完全雇用とする。 以下の空欄に当てはまる数を求めよ。 1) 財政政策(公債)として、「公債発行の増額」により確保した財源を用いて「政府支出の 70 単位増加」を実施した場 合、均衡国民所得は[ 625 ]、均衡利子率は[ 400 ]、家計消費は[ 345 ]、民間投資は[ 90 ]、貨幣の資産需要は [ 4400 ]、貨幣の取引需要は[ 4000 ]である。 という解答だったのですが、何故こうなるかが理解できません。試験で出るかもしれないので解けるようにしておきたいため、解法を教えていただけないでしょうか。

  • IS-LM曲線がよくわかりません。

    IS-LM曲線が理解できません。 このグラフは、縦軸に利子率、横軸に国民所得をとったものである。のでありますが、これでなにが分かるのでしょう?こんなのわかって当然かもしれませんが・・・。 価格水準がそこからわかり、さらにここから価格水準の変化が国民所得に与える影響もわかるようなのですが、なぜですか? わかりやすいサイトなどありましたら、教えて欲しいです。

  • IS-LMの計算問題

    基本的な問題だと思うのですが、 どうしてもわからないので、教えてください。 IS-LMの問題で、2つわからない問題があるんです・・・ まず一つ目は、『政府支出を全て租税収入で賄う』というのが、 どう計算していいのかわかりません… ↓問題です Y=C+G+I+NX (Y:GDP C:民間最終消費支出 I:投資 G:政府支出 NX:純輸出) C=130+0.9(Y-T) (T:租税(収入)) I=70-100r (r:利子率) NX=80ー0.05Y  L=0.05Y-50r (L:貨幣需要) M=L (M:貨幣供給) 政府が政府支出Gを全て租税収入Tで賄う財政運営を行ったとする。貨幣供給が110のとき、政府支出を60だけ行うとGDPと利子率の水準はいくらになるか。 これは、政府支出乗数とか租税乗数を使って解くのですか? それとも、G=Tとしていいのですか? 二つ目も、多分類題だと思うんですが… C=200+0.8(Y-T) I=100-1600r L=Y-2000r 中央銀行は、貨幣供給を850だけ行ったとする。 政府が所得税のみをT=0.1Yとなるように課税して、その租税収入Tと財政支出Gが均衡するように財政運営を行ったとする。このとき、実現するGDPと利子率の水準はいくらか。 という問題です。これも、所得税率がある場合の政府支出乗数を使うという事なんですか? 答えがないので、どれが合っているのかわからないんです・・・ よろしくお願いします。