ジギタリスの作用による「Na/Ca交換チャネル」と心収縮力増強
- ジギタリスの作用により、細胞内のNa濃度が上昇し、心収縮力が増強します。この作用は「Na/Ca交換チャネル」によって引き起こされます。
- 「Na/Ca交換チャネル」には細胞内のCaを細胞外へ、また細胞外のNaを細胞内へと輸送する機能があります。
- ジギタリスの作用により、細胞内のNa濃度が上昇し、「Na/Ca交換チャネル」の輸送機能が亢進します。これにより、細胞外のCaが細胞内に取り込まれ、心収縮力が増強します。
- ベストアンサー
Na/Ca交換チャネルについて。
ジギタリスを投与するとその作用により、細胞内のNaを細胞外へ、また細胞外のKを細胞内へと輸送する「Na/Kポンプ」の機能が阻害されるので、そのため細胞内のNa濃度が上昇し、そこへ「Na/Ca交換チャネル」が作用して心収縮力が増強すると聞きました。 ここで色々調べたところ、この「Na/Ca交換チャネル」の作用機序がどうも二説あるようで、 (1) 細胞内のCaを細胞外へ、また細胞外のNaを細胞内へと輸送する「Na/Ca交換チャネル」 (2) 細胞外のCaを細胞内へ、また細胞内のNaを細胞外へと輸送する「Na/Ca交換チャネル」 以上の作用のどちらかが正しいのかが、分かりません。 (1)の場合では、ジギタリスの作用により細胞内のNa濃度が上昇したため、これ以上細胞内のNa濃度を上昇しないようにと「Na/Ca交換チャネル」の機能が低下し、結果細胞内のCaが細胞外に輸送されなくなって心収縮増強とする。 (2)の場合では、ジギタリスの作用により細胞内のNa濃度が上昇したため、「Na/Ca交換チャネル」におけるNaとCaの輸送機能が通常以上に亢進し、たくさんNaを細胞外へ出す分、たくさんCaを細胞内へ取り込むことで心収縮増強とする。 どちらも、心収縮増強には繋がるのですが、(1)の機序によるものなのか (2)の機序によるものなのかはっきりしません。 どなたか、出来れば裏づけで正しいご説明をよろしくお願いします><
- ippon-torareta
- お礼率84% (38/45)
- 生物学
- 回答数1
- ありがとう数5
- みんなの回答 (1)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
- ベストアンサー
通常「Na/Ca交換チャネル」は(1) 細胞内のCaを細胞外へ、また細胞外のNaを細胞内へと輸送するのですが、 細胞内のNa濃度が一定量を超えると(2) 細胞外のCaを細胞内へ、また細胞内のNaを細胞外へと輸送するそうです。 つまり一方向性の輸送ではなく、条件によっては可逆的ということです。 参考(Wikipedia,英語,Reversibilityの項目など):http://en.wikipedia.org/wiki/Sodium-calcium_exchanger また、この手の実験ではジギタリス投与後、細胞内Caの濃度が上がっているようなので、輸送停止よりも逆行輸送の方が説得力があるかと。 以上のことから、「Na/Kポンプ」にジギタリスが結合するとNa+の細胞外への排出が阻害され、細胞内のNa+濃度が増加、 それに伴い「Na/Ca交換チャネル」が通常とは逆に細胞内のNaを細胞外へ細胞外のCaを細胞内へと輸送する、という仕組みが考えられます。 おまけ:「Na/Ca交換チャネル」がジギタリスによる細胞内Ca濃度上昇のキーであることは、この遺伝子を破壊したノックアウトマウスの実験でも確認されています。
関連するQ&A
- 細胞内Caイオン濃度の上昇活性を指標としてグレリンを発見??
○グレリン(Ghrelin)の発見とその新しい機能の解明 http://www.ncvc.go.jp/restopics/ghrelin.html 上記URLのグレリンの発見の項に以下の一文があります。 「GHS-Rの安定発現細胞系を用い、細胞内Caイオン濃度の上昇活性を指標として、GHS-Rに特異的な内在性リガンドを胃組織から精製、構造決定することに成功した。」 ここでなぜ,細胞内Caイオン濃度の上昇活性がGHS-Rのリガンドの指標になるのか解りません。ご教示ください。
- ベストアンサー
- 生物学
- 血漿caイオンと血中ca濃度の違い
血液中のカルシウム濃度は、副甲状腺ホルモンの作用によって調節されていて、副甲状腺ホルモンは、血中カルシウム濃度を上昇させるホルモンであることは 確認がとれたのですが、血漿caイオンとの違いがイマイチ理解できませんでしたのでよろしくお願い致します。
- ベストアンサー
- 生物学
- 二次能動輸送について
生理学で二次輸送を習ったのですが、わからないところがあるので質問します。 一次能動輸送では、ATPの加水分解エネルギーにより、濃度勾配に逆らいイオンを輸送します。 ここで、Na-KポンプではKを細胞膜内へ2分子、Naを細胞外へ3分子輸送することで細胞膜内はマイナスに帯電します。 二次能動輸送では、陽イオンの電気化学ポテンシャル勾配でイオンを輸送すると習いました。 ここで疑問なのですが、二次「能動」輸送というからには、濃度勾配に逆らって物質輸送するはずです。 ここでの濃度勾配とはKが細胞膜外へ、Naが細胞膜内へ移動しようとすることでいいのでしょうか? また正しいのなら、二次能動輸送において陽イオンがどのように働きイオンを輸送するのでしょうか? 細胞内から細胞外にKが移動することで、細胞内がマイナスに、細胞外がプラスに帯電することにより、陽イオンであるKが細胞膜内に引き寄せられるのでしょうか? もしそうならKの細胞膜内外の正味の移動はなくなりませんか? この場合一次能動輸送と二次能動輸送の存在意義って何でしょう? なくてもいいじゃんって思ってしまいます。
- 締切済み
- 生物学
- インスリン分泌の制御機構を発見していくには?
インスリンの分泌経路において、 グルコースが細胞内へ取り込まれ、グルコキナーゼによりグルコース6リン酸へと変化し、解糖系・TCA回路を経てATP濃度が上昇する。ATP感受性Kチャネルが閉じ、脱分極が起きることで、電位依存性Caチャネルが開口し、細胞外から細胞内へCaが流入する。細胞内Ca濃度が上昇し、インスリンが細胞外へと放出される。 という経路がありますが、そのほかにも、cAMPの増加によりインスリンが分泌される経路が見つかったりしているようです。 インスリンの分泌経路には、まだ未解明の経路が複数あると思われます。このようなインスリン分泌での複数の制御機構を発見していくには、どのような方針で研究していけばよいと思いますか?
- 締切済み
- 生物学
- GABAaの興奮性神経の抑制について
何方かが表題の質問をしていました。これを機会に知識の深化を目指したのですが,老人は相手にされませんでした。次のような理解の仕方で間違い等をご教示いただけたらと思います。MiJunさんなら真っ先にご教示くださるのでしょうが残念です。また,心配です。 細胞体部ではCl-ポンプ-ATPaseによる外向きCl-イオン輸送活性が高いため,細胞内Cl-濃度は低い。 突起部ではNa+/K+/2Cl-共輸送体による内向きCl-輸送活性が高いためCl-濃度は高い。 GABAA受容体刺激により,Cl-チャネルが開くが,神経細胞体ではCl-の流入により過分極が引き起こされ,突起では流出により脱分極が起こる。よって 【シナプス後抑制】 Cl-チヤネルが開きCl-流入 → 過分極(-70mV以下となる)→ 例え-7mV~-10mV変化しても閾値(およそ-65mV)を越えにくくなる → 活動電位は生じない 【シナプス前抑制】 Cl-チヤネルが開きCl-流出 → 脱分極 → 脱分極しているからその電位のため電位依存性Na・Caチャネルは閉鎖される → シナプス小胞開口せず
- ベストアンサー
- 生物学
- 降圧薬と利尿薬について
降圧薬について↓ アドレナリンα₁受容体遮断薬・アドレナリンβ₁遮断薬は ともに降圧薬としてもちいられることがあるが、 副作用として起立性低血圧を引き起こすことがあるそうです。その理由は何なんでしょう? 循環反射を参考にして説明をお願いしますm(__)m 利尿薬について↓ (1)Na⁺‐K⁺‐2Cl⁻共輸送体 (2)Na⁺‐K⁺交換系を阻害する薬物 (3)Na⁺‐Cl⁻共輸送体を阻害する薬物 (4)バソプレシンの作用を増強させる薬物 (1)~(4)のうち利尿薬として用いることができる薬物はどれなんでしょう? 教えて下さいm(__)m
- ベストアンサー
- 生物学
- カルシウムイオンの役割
カルシウムイオンの役割がいまいち分かりません。 カルシウムイオンは筋萎縮に重要なものなのはわかるのですが、(1)細胞外液のカルシウムイオンが上昇すると神経・筋細胞の膜が安定化して脱分極が起こりにくくなる。(2)細胞外液のカルシウムイオンが低下すると神経・筋細胞の脱分極に要する電位差が低下して被刺激性が高まる。 この(1)と(2)の文章の意味がよく分かりません・・・。 カルシウムイオンが上昇すると筋肉は萎縮するのでは?と思っていたのでなぜ低Ca血症になるとテタニー症状が出るのか分かりません。 (1)と(2)の文章を分かりやすく説明した上でカルシウムイオンの作用機序、なぜCaイオンが低下すると筋萎縮するのか教えてください。 分かりにくい文章で大変申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。
- 締切済み
- 生物学
お礼
詳しい解説のおかげで疑問が解けました! 本当にありがとうございました><