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FCF計算における支払金利除外の理由

yam113の回答

  • yam113
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回答No.3

すみません。質問をよく読んでいませんでした。 要するに、企業価値=NOPAT÷WACC(加重平均資本コスト)の意味についてのご質問ですね。 「企業価値」の算定方法は数通りあると思いますが、この方法は企業が将来にわたって生み出すCFから求める方法です。 わかりやすくするため、次の例で考えてみましょう。なお、ここでは税金は考えないことにします。 NOPAT=10(永続)、負債=30、負債利子=2%(永続、将来平均予測値)、株主資本=20、株主の要求する期待利益率(配当の将来平均予測値)=3% この場合、WACC=2%×30/(30+20)+3%×20/(30+20)=2.4% よって企業価値=10/0.024=417と算定されます。 この最後のNOPAT/WACCの意味は次のとおりです。 1年先のNOPATの現在価値=10/(1+0.024) 2年先の  〃     =10/(1+0.024)^2 3年先の  〃     =10/(1+0.024)^3 ・・・・        ・・・・  と永続的に続くものを合計したものです。これをSとおくと S=10/1.024+10/1.024^2+10/1.024^3+・・・・(1)式 両辺に1/1.024を掛けると 1/1.024S=10/1.024^2+10/1.024^3+・・・(2)式となり、(1)式から(2)式を引き、Sを求めると S=10/0.024=417となるのです。 つまり、将来永続するNOPATからWACC(金利分と株主期待利益率分)を割り引いたものを合計しているのです。これは「企業の第一責任を金利支払いと株主への還元(WACCのクリア)」と考え、儲け(営業利益)から金利と株主配当を除いた最終的な企業の取り分(留保金=ネットキャッシュフロー)を、企業価値とする考え方です。企業が、最低限超えなければならない収益率の水準という意味でWACCは「ハードルレート」と呼ばれています。 以上をご確認いただいたうえで本題ですが、 NOPADを使わずに税引後利益を使うとすれば、それはつまり「支払金利を差し引いたものからさらに金利分を割り引く」というで、金利分の二重控除ということになります。また、二重控除としないためにWACCから金利分を除くという方法が考えられるかもしれませんが、この発想は、株主への配当分についても最初から控除するという発想(割引をしないという発想)で、上記の例でいえば、企業価値は、10-(30×2%+20×3%)=9.76のネットキャッシュフローの総和(S=9.76+9.76+9.76+・・・・=無限大)となってしまいます。これは負債や株主への配当が「将来」に発生するものであるという時間の概念を無視した考え方で妥当とは言えません。 以上のことからNOPATが用いられているのです。 最後に、企業の価値について、企業を買うという行為自体あくまでも投資(株を買うときのことを思い浮かべてみていただくとわかりやすいと思いますが)ですので、「将来の見込みや期待」に過ぎません。上記で使ったNOPATにしても、金利にしても、株主の期待利益率(配当)にしても(WACCにしても)、すべて将来の予測に過ぎないのです。要するに「企業価値」とは「企業の将来性」(tenyanさんの言われる(将来)「キャッシュを生み出す力」)の価値を現在価値に引き直しものの総和であり、決して絶対確実なものではありません。 なお、この予測にどれほどの意味があるのかとのことですが、経営の指標(自分の会社にどれほどの価値があり、価値を高めるためにはどのような方針を立てればいいか、今後配当政策や内部留保をどのようにしていけばいいか等)となるほか、M&Aや営業譲渡の際の対価の決定、株式価格の決定等大変大きな意味を持っています。

teyan
質問者

お礼

yam113さん、丁寧な説明ありがとうございます。かなりクリアになってきました。つまり、WACCを割引率とすることは、資本提供者である、銀行と株主への利益還元を考慮済みだということですね。だから、それをNOPATから差し引く必要があると理解しました。支払い金利考慮済みの利益では『金利の二重支払い』となってしまうとの理解です。 そこで新たな疑問が湧いてきました。2年目,3年目のFCFを計算する際に何故、割引率を2乗,3乗とする必要があるのでしょうか?割引率が、金利と配当を差し引くための『係数』だとすれば、それはその年に得られるFCFに『係数』をかければ良いのではないでしょうか?割引を続けていくことの意味をどのように見出せばよいのでしょうか? 時間価値と割引率の関係が見えなくなってきました。

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