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原子力発電がなくなったら

mekuriyaの回答

  • mekuriya
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回答No.13

難しい質問です。長文ですが参考にされたい。 1.2003年の特殊条件について 2003年は春先のエルニーニョ現象で記録的な冷夏になることが予想され、電力会社は原発の一斉点検に踏み切りました。「記録的な冷夏だった」という重大な事実を隠蔽して原発なしでも電力が足りたとする妄論に注意。2003年の経験に学ぶべきことは「電力需要は、気温の変動で大きく変わる」という事実です。それだけ電力需要に占める冷暖房の比率が大きく、それが電力需要の季節変動の正体です。 2.発電能力と発電量の違いについて 発電能力と発電量を混同して「原発なしでも電気は足りている」と訴える悪質な代議士に注意。現実には発電能力=発電量は成立しないからです。地球温暖化問題は深刻です。京都議定書の締約国は、172か国にも及びます。つまり地球温暖化温室効果ガス主犯説は、世界の共通認識です。したがって日本は電力会社を含む諸産業に対して温室効果ガス排出量の上限を定めています。こういう認識の無い論客は無邪気にも火力をフル稼働させろと叫びますが、現実にはそうはいかない。火力は温室効果ガスを排出するからです。とはいえ背に腹は替えられないので、各電力会社はCO2排出権を海外から購入してまで電力増産に努めています。しかしこのような無理は決して長続きしません。 3.水力発電と電力需要の増大について 戦前、日本は火力が主要な電源でしたが、戦争遂行の為に非人道的なタコ部屋労働まで強いて水力の開発に努めました。もう戦前のうちに開発し尽くしてしまったのです。水力には既得水利権者との利害対立という問題があります。狭い国土で膨大な人口を抱える日本では、水は農業用水、消防用水、工業用水、生活用水とありとあらゆる用途で既に利用されつくしています。手付かずで残されている河川など無いに等しい。今般、マイクロ水力発電が注目されています。しかし、既得水利権者との利害対立という問題は避けられません。それはどんな電源にもいえることです。学者はバラ色の夢を描いて、自分を売り出そうとしますが、現実にはそう簡単ではない。技術的な問題だけに捉われてはいけないのです。かつて日本は水力発電だけで60%以上の電力を賄っていた。通勤客は冷房もない乗車率300%のラッシュにも耐えた。パチンコ客は手打ちでチューリップが開いただけで喜んでいた。しかし現代日本人は段々横着になって楽をすることを覚えてしまった。電力需要は50年間で6倍にも増大し、水力発電のシェアは10%にまで落ち込んでしまいました。今後も電力需要は長期的に伸び続けることは間違いありません。 リニア中央新幹線は既存新幹線の3~4倍も電力を消費するともいわれています。また現在鉄道各社は駅や電車のバリアフリー化を推進しています。また踏み切りを廃止する為に鉄道と道路の立体交差化事業が逐次進められています。駅が高架化されるにしろ地下化されるにしろ、エレベータやエスカレータといった設備が新たに必要になります。ここでは鉄道だけにテーマを限定しましたが、どれも電力需要増大につながることなのです。長期的な視野が必要です。 4.輸入資源依存の問題について 火力発電所は石炭・石油・天然ガスといった化石資源を燃焼させます。しかし、どれも日本ではほとんど産出しません。エネルギー革命の前までは日本は国内炭鉱で産出した石炭が主要なエネルギーでありました。しかし悲惨な爆発事故、落盤事故や採掘コスト増大、公害病といった要因で、ほとんどの炭鉱は閉山に追い込まれました。現在ではどれも海外からの輸入に頼っている。国策で石炭から石油に主要エネルギーを切り替えた。それがエネルギー革命です。ところがその日本を待ち受けていたのが、想定外のオイル・ショックでした。37年前の電力制限令はこの時です。どっぷり石油づけになっていた日本は中東産油国の原油価格5倍引き上げという暴挙に対して何の抗弁もできなかった。電力不足に苦しんだ国民は、原子力発電を夢のエネルギーと持て囃し、推進を急げと叫びました。電力会社は石油から石炭・ガスにシフトしました。自動車メーカーは燃費向上技術開発を急ぎ、諸産業も省エネ技術を開発しました。今般、ガスコンバインドサイクル発電が熱効率の良さなどの何点かの優位性で注目されています。しかし決してどっぷりガスづけになってはならない。将来、ガス・ショックが起こらないという保証はありません。オイル・ショック時代の愚を繰り返してはならない。日本は国内事情だけに捉われても駄目で海外にも眼を向ける必要があります。電力需要が伸び続けているのは日本だけでなく、世界のどの国もそうなのです。特に注目すべきは中国・インドといった人口大国・新興国の資源需要の急拡大です。現在、インドでは一人当たりにすれば石油も電力も日本人の1/10しか消費していません。しかしそれでも人口が巨大なので、市場に与えるインパクトは大です。地球温暖化に伴う冷房需要の増大に加えて、新興国の需要増大が資源需給逼迫・価格高騰の主因なのです。今後、中国・インドは日本のように50年間で6倍といった伸びを示すかもしれません。日本人が冷房を使いたいならインド人だって冷房を使いたいのです。ガスコンバインドサイクル発電が有望なら、どの国にとっても有望です。日本にとってだけが有望である理由など全く無い。となれば今後はガス価格も高騰することは容易に予想されます。現に都市ガス各社は5ヶ月連続で料金を引き上げています。趨勢として今後もそうなるでありましょう。温室効果ガス問題だけでなく、資源需給逼迫という観点からも火力発電の依存度を減少させねばなりません。現代日本人が世界ほど資源需給逼迫という現実を認識していないのは円高と膨大な国際収支の黒字という日本の特殊要因によります。一部の悪質な論客は、資源枯渇はありえないといった宣伝を繰り広げて、火力発電に安心感を与えようとしていますが、それは間違いです。より本質的な問題は資源枯渇ではなく資源需給逼迫だからです。現在、原子力発電の稼働率低下と火力発電の稼働率向上が行われています。しかしそれは輸入増大を意味しますから、国際収支を赤字方向へ向けることになります。日本は食糧の60%と資源の大部分を輸入に頼っているので国際収支を赤字にすることはできません。資源枯渇どころが外貨準備高が枯渇してしまえば、日本経済は成立しえない。現在、電力不足によって主要産業に電力制限令が発せられています。しかしこれは輸出産業の体力を奪い、国際競争力を弱めることになるのです。それは円安圧力になります。円安になれば、国際的な食糧価格高騰、資源価格高騰の影響をダイレクトに浴びてしまうことになります。ありとあらゆる商品・サービスが値上げラッシュとなるでしょう。こういう異常な政策が続けば、企業は海外に脱出せざるを得ません。海外に脱出できない電力会社などは債務超過に陥り倒産します。 5.再生可能エネルギーについて 今後の日本は長期的・漸進的に火力・原子力から再生エネルギーに軸足を移していくべきであろうと思います。ただし、それは円高と膨大な国際収支の黒字を損ねるものであってはなりません。また脱原発よりも脱火力が優先であることも忘れてはいけない。2年前、当時の鳩山総理大臣は国連で温室効果ガス排出量25%削減を国際公約しました。口約束とはいえ約束は約束ですから、決して踏みにじってはなりません。民主党の川内博史氏に至っては鳩山元総理から選挙の際に応援演説を受けたにもかかわらず、火力で足りると妄言を吐いているのですから呆れて声もでません。菅総理は再生可能エネルギー促進法の成立に執念を燃やしております。温室効果ガス排出量25%削減という文脈からいえば、合目的的と評することは可能です。しかし電力政策のあるべき姿としては私は同意できない。そもそも法律一本で足りるという認識は大きな間違いです。ドイツが先進的な再生可能エネルギー開発に成功したのは、環境問題・地球温暖化問題に対する危機意識を政・官・学・財・民で共有し、環境庁が主導したからです。是に対し、日本ではオイル・ショック以来エネルギー源の多様化という目的で推進されたのです。日本では環境問題・地球温暖化問題に対する危機意識が共有できていない。だから節電の意味さえ理解していない。そうして日本では経済産業省配下の資源エネルギー庁が再生可能エネルギー開発を管轄しました。原子力発電が推進されたのもオイル・ショック以来エネルギー源の多様化政策に基づくものでありました。経済産業省配下だったから再生可能エネルギー開発が停滞してしまったのです。資源エネルギー庁には電力需給という視点しかないからです。資源エネルギー庁には環境問題・地球温暖化問題という問題意識が全く存在しなかったからです。オイルショックを財・民の努力で乗り越え、電力危機を乗り切ってしまうと再生可能エネルギー開発の動機が無くなってしまったのです。一部の論客は原発利権が再生可能エネルギー開発をつぶしたなどととんでもない非難を加えていますが、それは的外れです。資源エネルギー庁から電力会社への天下りが公然と行われているような癒着がある限り、電力会社の利益にそぐわない政策は実現できません。再生可能エネルギー開発を推進するには法律以前に国民的目的意識の共有、管轄官庁の見直し、開発スキームの構築が必要です。出発点から抜本的に失敗の原因を総括するべきなのです。 6.終わりに 文字数制限が無いなら、今後の電力システムのあるべき姿と新エネルギー開発スキーム構築についても論じてみたいのですが、そうもいかないようです。またの機会に。

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