• 締切済み

非平衡、開放系、定常の定義について。非平衡統計力学の目指すところについ

非平衡、開放系、定常の定義について。非平衡統計力学の目指すところについて。 非平衡の定義について調べていたのですが、 明確な記述がなくて混乱しています。 自分は平衡状態から平衡状態へ移る、 過渡的な状態が非平衡状態だと思っていました。 1.開放系の定義も明確には分かっていません。 2.以下のキーワードの関係に混乱しています。 非平衡、平衡 開放系、孤立系 定常状態、過渡状態 8通りの全組み合わせで、存在しないモノはあるのでしょうか? 非平衡開放系の定常状態 非平衡開放系の過渡状態 非平衡孤立系の定常状態 非平衡孤立系の過渡状態 平衡開放系の定常状態 平衡開放系の過渡状態 平衡孤立系の定常状態 平衡孤立系の過渡状態 3.また、「非平衡開放系の定常状態」の例として以下が挙げられると思います。 「系の上下に異なる化学ポテンシャルの熱浴をつけて、定常状態になった状態」 この時、上下の状態変数を拘束条件とした統計力学を考えてはまずいのでしょうか? 4.また、現在発展途上の非平衡統計力学で説明出来ていない 非平衡現象にはどんなものがありますか。 どのような性質を満たせば、またはどのような計算が出来れば 非平衡統計力学が完成したと言えるのでしょうか。 長くなってしまいましてすみません。 よろしくお願い致します。

みんなの回答

  • dahho
  • ベストアンサー率44% (68/153)
回答No.2

訂正です。 「平衡開放系の定常状態」の例は間違いでした。 別の例として、「同じ水質の水が、一定の水量で流れているパイプの一部分を系と考えた場合。」はどうでしょうか? 成分も濃度も圧力も定常ですが、物質が移動しているので開放系、流入と排出が同じ成分、かつ同じ量なので平衡です。

FunPhysics
質問者

お礼

>非平衡になるには、マクロ量が時間的に変化する(過渡)、もしくは物質・エネルギーが空間的に移動する必要があるようです。 この前回答のコメントを考えると、 コメントパイプを水が流ている系は非平衡かと思うのですが、 いかがでしょうか。 例えば、電圧をかけて電子が流れている(両端子を除いた部分系の)状態は非平衡状態だそうです。 http://www.materials.sci.osaka-cu.ac.jp/RYOSHI/kld_ker.pdf いろいろ伺って思いついたのですが、 「平衡開放系の定常状態」は平衡状態の一部(部分系)を切り出した状態とかでしょうか。 わかりませんが。

  • dahho
  • ベストアンサー率44% (68/153)
回答No.1

正確な定義については、文献などを当たったほうがいいのかもしれませんが、以前に少し非平衡の実験をかじった者としての考えとして、参考になれば。 >平衡状態から平衡状態へ移る、過渡的な状態が非平衡状態だと思っていました。 これは孤立系では正しいでしょうが、開放系では違うと思います。定常な非平衡状態はあります。たとえば、化学プラントなどが温度、濃度、圧力などが一定の状態で稼働している場合です。一方向に反応が進んでいるので平衡ではありません。 定常、過渡はマクロな意味で変化があるかどうか、つまり1時間後に見たときに温度、濃度などが変わっていなければ定常です。 平衡は分子レベルのミクロでは反応が起きているが、同速度で逆反応が起きているのでマクロには定常なこと。非平衡は逆反応が同速度ではなく反応物が生成されている状態。 ある領域を囲って考えて(これは壁があってもいいし、仮想的にでもいい)、外と中との間で物質やエネルギーの移動があれば開放系、すべて内部で完結していれば孤立系。 この理解で考えると 非平衡開放系の定常状態 例:定常稼働の化学プラント 非平衡開放系の過渡状態 例:動き始めたばかりの化学プラント 非平衡孤立系の過渡状態 例:断熱容器内での化学反応(反応中) 平衡孤立系の定常状態  例:反応が終わった断熱容器内 平衡開放系の定常状態  例:2層分離した液体の片方を系と考えた場合? 平衡開放系の過渡状態と、平衡孤立系の過渡状態は、おそらく定義的に矛盾していると思います。 過渡的な平衡というのは想像できません。 ただし、過渡=非平衡ではなく、過渡は非平衡の十分条件。つまり過渡ならば非平衡は正しいが、逆は正しく無いのではないかと。 「非平衡孤立系の定常状態」これが最初の >平衡状態から平衡状態へ移る、過渡的な状態が非平衡状態だと思っていました。 というコメントに関係する状態だと思います。直感的には、この状態は存在しないと思うのですが・・・ 非平衡になるには、マクロ量が時間的に変化する(過渡)、もしくは物質・エネルギーが空間的に移動する必要があるようです。 どうも、開放系・孤立系というところにヒントがありそうな気がします。どこまでを系と考えるか、という問題です。 宇宙全体を考えてしまえば、非平衡孤立系過渡状態ですが、系を小さく区切る(ただし分子レベルではなく人間サイズで)ことに意味があるように思えます。 系が分子レベルに小さくなってしまうと定常状態などありえなくなりますし。 私の理解ではこんなところでしょうか。 プリゴジンなんかをじっくり読んでみれば何か深遠なことが分かってくるのかもしれませんが・・・ >また、現在発展途上の非平衡統計力学で説明出来ていない非平衡現象にはどんなものがありますか。 理論は詳しく知りませんが、個人的に面白そうなのは、シマウマの縞のパターンなどの空間的な構造でしょうか。生物の模様などはDNAで決まっているかのように言われていますが、DNAで決まっているのはタンパク質の種類と濃度などの条件だけであって、生物の模様は非平衡な反応でパターンが作られていくようです。原料、温度などの環境をどのような条件にしたら、どのような空間的なパターンができるのか解明できたら、自己組織化のような本来の意味でのナノテクノロジーができてくるのではないかと思います。

FunPhysics
質問者

お礼

非常に丁寧にご回答いただきましてありがとうございます! 具体例を挙げていただいたおかげさまで、 感覚が伝わってきたように思います。 何点か質問させてください。 >定常、過渡はマクロな意味で変化があるかどうか、つまり1時間後に見たときに温度、濃度などが変わっていなければ定常です。 >平衡は分子レベルのミクロでは反応が起きているが、同速度で逆反応が起きているのでマクロには定常なこと。非平衡は逆反応が同速度ではなく反応物が生成されている状態。 非平衡は反応物が生成される状態、 ということは生成物の量が時間的に増えていると見ることができてしまって 過渡状態の定義に当てはまってしまわないでしょうか? 生成元の物質と反応物は外の系から流入出していて、 時間的に部分系での量は変化していないということでしょうか?? >「非平衡孤立系の定常状態」これが最初のコメントに関係する状態だと思います。直感的には、この状態は存在しないと思うのですが・・・ 孤立系に限ると非平衡状態は平衡状態から平衡状態へ移る過渡状態だけ、 と言えるのではないかということでしょうか。 >原料、温度などの環境をどのような条件にしたら、どのような空間的なパターンができるのか解明できたら、自己組織化のような本来の意味でのナノテクノロジーができてくるのではないかと思います。 非常に勉強になります。こういったマクロパラメータでパターンを制御することは出来ていないということですね。 非平衡を理解するモチベーションが上がります。

関連するQ&A

  • 統計力学(初歩)の問題

    外界から孤立した互いに接触している2つの系A,Bが平衡状態にあるとき 温度 T(A)=T(B) 圧力 P(A)=P(B) 化学ポテンシャル μ(A)=μ(B) であることを統計力学的(ミクロカノニカル集団)な考え方から示せ。 という問題があります。どなたかわかるかたいませんか? 方針だけでもいいですのでお願いします。

  • 平衡の条件と化学ポテンシャル

     よく、系が平衡状態にあるとき、化学ポテンシャルが一様になっているということを示す場合に、教科書では「ギブスの自由エネルギー」から説明しているのをみかけます。  でも実際には「ヘルムホルツの自由エネルギー」や「エントロピー」、「内部エネルギー」からも化学ポテンシャル自体は定義できて、これらの量と平衡状態の条件をから、化学ポテンシャルは一様になるということが示せると思います。 ■質問(1)種々の熱力学関数は、教科書で、なんとなく理解できるのですが、どういった状況(例えば熱平衡状態における結晶中の電子密度)でどれを採用すべきなのでしょうか?自分的には熱力学の第一法則、第二法則から「エントロピー」という量を用いて、平衡状態をすべて記述できると考えているのですが・・・ ■質問(2)例えば2つの孤立系を1つにしたとき(系間でエネルギーも粒子も交換可能)2つの孤立系での「化学ポテンシャルの差」が粒子の移動を発生させるというところまでは理解できますが、この「化学ポテンシャルの差」は物理的にどのような意味を持っているのでしょうか?(化学ポテンシャルは多粒子系を統計的に扱うときに初めて出てくる量なのでイメージがつかめません。)

  • 熱力学第2法則の統計力学的説明。

    熱力学の第2法則の統計力学的な説明ってどうなるのでしょうか? S=klnW W:状態数 において、状態数が最大な場合はもっとも実現しやすいからというのは 理解してます。ただしこれは状態数のすくない状態(非平衡)より状態数の 多い状態の方が実現しやすい。すなはち、「平衡状態では状態数が最大化する。」という説明です。 この説明は、非平衡状態と平衡状態を比較して、後者が実現しやすいというものであり、非平衡な状態から出発してエントロピーが時間的に変化して 最終的に最大化するまでの間の時間変化には触れていません。 私が疑問なのは、この間のエントロピーの時間発展をどう説明するのか? というものです。 例題として念頭においてるのは非平衡な状態から平衡状態への系の緩和過程 を考え、その間のエントロピーの時間変化を追って、「エントロピーが増えるでしょう」という説明が可能か?というものです。 もともとは平衡状態定義されたエントロピーという概念を非平衡系 にも拡張して理解しないといけないという困難がつきまとう問題で、 単純にはエントロピーを S=S(q ,p): q,pは相空間上の点 のようにミクロな量として定義してその時間発展を追えばよさそうで、 実際、エントロピーを何か 微視状態の平均として定義する方法は あり、 S=k∫ρ(q p)lnρ(q p) :ρ(qp)は確率密度関数。 と定義できるのですが、愚弟的にこの定義で非平衡状態からの時間変化を 追う方法がよく分りません。 また本質的な問題として、上の定義はρ(qp)で時間発展が決まりますが、 ρはリウビルの定理から時間反転に対象であり、そもそも不可逆過程を 表現する式になっていません。 ここ数年ことあるごとに気になっていますが、いまだに分りません。 みなさまのご意見お待ちします。

  • 統計力学 密度

    田崎さんの統計力学IIの演習10.3でつまづいてしまいました. 問題の設定は 単位体積当たりの1粒子状態密度が定数c>0によってν(ε)=c(ε>=0),それ以外で0とあらわされる理想フェルミ気体の逆温度β,密度ρの平衡状態を考える. フェルミエネルギーεfを求めよ.という問題で解答ではいきなり ρ=cεf となっています.なぜこうなるのかを本を読んで考えた結果 ρ=∫_{0}^{εf} ν(ε) dε を使っているのかなと思いましたが,この式は基底状態でのみ成り立つと思います.しかしこの問題では逆温度βの平衡状態であるので基底状態ではないですよね. ぼくはどこを間違えてしまっていますか?よろしくお願いします.

  • 熱力学的温度の定義について質問です

    熱力学的温度の定義は平衡状態の分子の力学的エネルギーをエントロピーで微分したものだそうですが、エントロピーは klogW, (Wはとりうる値の数)Wは整数値しかかとらないためエントロピーは離散的な量だと思います。なぜ離散的な量で微分できるのでしょうか?

  • 統計力学で出てくる差積について

    統計力学の本に、以下のような差積(以下ではΠ)の式 分配関数Z=1/(2πh)f ∬…∬exp(-H/kt) Π(iからf)dPidQi  iは添え字です。式がうまく書けなくてすいません。 があったのですが、式後半の差積(Π)をなぜ式中に入れるのかがわかりません。数学で習う差積の定義と結びつかなくて良くわかりません。 古典統計力学近似などの単元でよく差積の入った式を見かけるのですが、差積の意味を教えてください。大学の物理を勉強し始めたばかりなので、基本的な内容から説明していただけると助かります。

  • ∇・j = 0 (量子力学)

    独学で量子力学を勉強中にわからないところが出てきました. 以下 h は h bar を表すものとします. 波動関数を ψ(r,t) ,フラックスを  j(r,t) = (h/2mi)[ψ*∇ψ - (∇ψ*)ψ] としたとき,定常状態では  ∇・j = 0 が成り立つという記述を見て,以下のように示そうとしました.  (h/i)∇・j = -(h^2/2m)[ψ*(△ψ) - (△ψ*)ψ] シュレディンガー方程式を用いると = ψ*{ ih(∂ψ/∂t) - Vψ } - { -ih(∂ψ*/∂t) - V*ψ* }ψ = ih( ψ*(∂ψ/∂t) + (∂ψ*/∂t)ψ ) - (V-V*)|ψ|^2 ここで第1項目は,定常状態のシュレディンガー方程式より  ψ(r,t) = φ(r)f(t) のように変数分離して f(t) の具体的な形を求めることで 0 になることがわかりました. 問題は第2項目なのですが,これはポテンシャルVが 実数でなければ0にならないと思います. 「定常状態 ⇔ ポテンシャルは実数」 ということは言えるのでしょうか? また,上の式変形も自信がないので すでにおかしなことをやっているのであればご指摘ください.

  • 統計力学についての質問

    「ミクロカノニカル分布、カノニカル分布、グランドカノニカル分布」と 「マクスウェル・ボルツマン(MB)分布、フェルミ・ディラック(FD)分布、ボース・アインシュタイン(BE)分布」の違い(?)がわかりません。 というか、この『分布』という言葉は同じ意味として受け取っていいのか?ということです。 (あるときはグランドカノニカル分布、あるときはFD分布というように同じ括りで考えていいのか?という疑問です。) ミクロカノニカル分布:平衡における孤立系での分布 カノニカル分布:熱溜に接する系での分布 グランドカノニカル分布:さらに、粒子のやり取りがある系での分布 MD分布:下記二つの古典的極限 FD分布:フェルミオンの従う分布 BE分布:ボソンの従う分布 というような個々の定義や、ミクロカノニカル→カノニカル→グランドカノニカルの導出、FD、BE→MBの導出のそれぞれについては何とか理解できるのですが、これら二つの「分布」がどうにも結びつきません。 調べてみると、古典統計的なカノニカル分布、古典統計的なグランドカノニカル分布、量子統計的なカノニカル分布、量子統計的なグランドカノニカル分布があるようですが(1粒子状態を考慮する=量子統計だったかと)、それでは「古典ならMB」とか「量子ならFDもしくはBE」とかいう考えは間違っているのか?などの疑問が沸きます。 細かい部分では、前者の分布は「カノニカル"集団"における分布」と表現されるのに対して、後者の分布は「フェルミ"統計"に従う粒子の分布」と表現される違いがあったりするので、同じ『分布』として捉えていいのかすら分かりません。 (例えば、熱溜に接する系でのフェルミオンの分布は、カノニカル分布かつFD分布になるというおかしな?ことになるのかなぁとか) 質問の論旨が漠然としていてスミマセン。よろしくお願いします。

  • 統計力学(量子統計) 演習問題

    田崎さんの統計力学IIの演習10.4の問題でわからないところがあります. バンド幅wの2つのバンドがエネルギーギャップgで隔てられているような1粒子状態密度を考えます. 1粒子状態ν(ε)=0 or c です. フェルミ理想気体の逆温度β,密度ρ=cwの平衡状態を考える. フェルミエネルギーを求めよ. というような問題(いろいろ省いてしまいました.)でフェルミエネルギーεfは ∫_{0}^{εf}ν(ε)dε=cw を満たすことから求めればよい,と思ったのですが,この方法だとεfはw<εf<c+gのどこでもよいということになると思うのですがあっていますか? 解答では対称性から εf=c+g/2 になると書いています. 宜しくお願いします.

  • ボルツマン因子について(統計力学のはじめのほうです)

    最近統計力学を勉強し始めたものです。 ボルツマン因子のeにかかる-E/KTに関しての質問です。 わかる方がいましたら、教えてください。以下がその内容です。 ピストンに閉じ込められ1個の自由粒子を考える。 簡単のために、ピストンを1次元的に考える。 ピストンは固体であるが、やはり分子からできているので 粒子と及ぼしあう力は、粒子がピストンの表面に近づき ピストンにのめりこもうとすれば急激に大きくなる斥力である。 この力は粒子が分子の大きさδの距離まで近づいた時にだけ働く。 このとき、ピストンと粒子の相互作用のポテンシャルをWとすると、 粒子の存在確率はボルツマン因子eの-βW乗に比例する。β=1/KT とありますが、なぜボルツマン因子の肩に乗っている数値は ポテンシャルと運動エネルギーを合わせたE(q,p) (位置と運動量の関数)ではなくて 単にポテンシャルだけなのでしょうか?