なぜ代理人による登記の申請が許されるのか?

このQ&Aのポイント
  • 登記の申請は、代理人を通じて行われることが一般的ですが、民法上の代理は法律行為に限られるため、この点に疑問が生じます。
  • 登記申請行為は、公法上の行為であり、民法上の法律行為ではないため、本人と代理人の間には代理関係が存在しないとされています。
  • そのため、登記申請において代理人が同一人であっても、民法に違反するものではなく、無効とされることはありません。
回答を見る
  • ベストアンサー

代理人による登記の申請はなぜ許されるのでしょうか。

代理人による登記の申請はなぜ許されるのでしょうか。 登記の申請は司法書士が双方の代理人になってするものであるというのが、当たり前に思っていたのですが、そもそも民法上の代理は準法律行為を含む法律行為のみ可能なはずです。すると、法律行為でない事務の委託は、代理権を伴わない準委任契約と考えなくてはならないように思えます。 登記業務を行う司法書士は、代理人ではなく、受任者と呼ぶべきなのではないかという疑問です。 この点判例に、以下のようなものがあります。 この判例を読むと、登記申請行為は民法上の法律行為ではない、だから本人と代理人に代理関係はない、と思えてしまいます。ただ何か勘違いしている気もします。どう理解すべきか教えてください。 「登記申請行為は、国家機関たる登記所に対し一定内容の登記を要求する公法上の行為であって、民法にいわゆる法律行為ではなく、また、すでに効力を発生した権利変動につき法定の公示を申請する行為であり、登記義務者にとっては義務の履行にすぎず、登記申請が代理人によってなされる場合にも代理人によって新たな利害関係が創造されるものでないのであるから、登記申請について同一人が登記権利者、登記義務者双方の代理人となっても、民法第108条本条並びにその法意に違反するものではなく双方代理のゆえをもって無効となるものではないと解すべきである。 (最判43.3.民集22-3-540)

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
  • buttonhole
  • ベストアンサー率71% (1601/2230)
回答No.2

>そもそも民法上の代理は準法律行為を含む法律行為のみ可能なはずです。  確かに民法の代理は法律行為の代理を想定してますが、だからといって民法が公法上の行為の代理を禁止しているわけではありません。登記申請の代理が認められるのは、不動産登記法がそれを許容しているからです。(法第17条、同法第18条、不動産登記令第3条3号、同第7条1項2号等は、それを前提にした規定です。)  なお根拠を司法書士法に求めることは間違いです。そこに根拠を求めてしまうと、例えば会社の支配人(司法書士ではない。)は、登記申請ができないということになってしまいます。 >登記業務を行う司法書士は、代理人ではなく、受任者と呼ぶべきなのではないかという疑問です。  準委任契約の受任者ですが、登記申請行為の代理人でもあります。仮に法律行為の代理人を狭義の代理人、登記申請行為の代理人を広義の代理人と定義するのであれば、登記申請代理人は狭義の代理人ではありませんが、広義の代理人と言えます。広義の代理人を単に代理人といっても、通常は、支障はありません。 >この判例を読むと、登記申請行為は民法上の法律行為ではない、だから本人と代理人に代理関係はない、と思えてしまいます。  法律行為の代理ではありませんので、ストレートに108条が適用できないとしても、公法上の行為の代理についても、その性質に反しないかぎり、民法の規定(意思表示の規定、代理の規定)を準用あるいは類推適用されると解されていますから、108条も準用あるい類推適用される余地はあります。ですから、判例も「その法意」という言葉も使用しているのでしょう。

mortgage369
質問者

お礼

丁寧な御回答ありがとうございます。 狭義の代理と広義の代理という言葉で目が覚める思いがしました。 今まで「公法上の行為の代理」という言葉にどうもひっかかっていて、「私法上の法律行為の代理」でないなら、それはそもそも「代理」ではないじゃないか!と納得がいかなかったのです。 代理人自らが意思表示をし、それによって本人に権利義務関係が生じることを「代理」というのであり、既に当事者間で確定した意思表示を伝えるだけなら(出来上がった契約書に基づいて登記申請するだけなら)「使者」に過ぎないではないか。 だから本人の代わりに登記申請をする司法書士は、代理権のない準委任契約の受任者であり、どちからといえば代理人ではなく使者ではないのか、というのが疑問の出発点でした。 ですが司法書士は民法上の代理人ではなく、不動産登記法上の代理人(広義の代理人)だと考えてみればいいのですね。 つまり、登記申請行為は公法上の行為であるから、民法上の代理の対象にはならない(ただし私法上の取引行為の一環である場合は除く→表見代理成立)。 そもそも登記申請行為は民法ではなく不動産登記法に基づいて代理されるものであり、民法上の「代理」と登記法上の「代理」は異なる概念である、と。 登記の申請は、確かに本人の権利変動を新たに生じさせる行為ではないが、本人の不動産物権変動に対抗力を付与するという特別な効果を新たに生じさせる行為であるから、民法上の代理に準じて、登記法上で便宜上「代理」という言葉を使っている、と。 なんだか、こじ付けみたいになってきましたが、そんな風に考えたら納得できる気がしました。 つきあっていただき、本当にありがとうございます。

その他の回答 (1)

  • hirom31
  • ベストアンサー率38% (26/67)
回答No.1

代理人(司法書士)による登記が許されるのは、司法書士法に根拠があるからです。 司法書士法3条1号には、「代理」って書いてありますね。 民法上の「代理人」ではなく、登記をする「代理人(代行者)」と考えればいいと思うのですが・・・。 どうでしょう?

mortgage369
質問者

お礼

ありがとうございます。 こういうことでしょうかね。 供託は第三者のためにする寄託契約(法律行為)という通説からすると、供託は司法書士法3条を根拠条文としなくても代理(民法99条)できる。 登記(対抗要件具備)は私法上の法律行為ではないので代理(民法99条)できないが、司法書士法3条を根拠に代理(書士法3条)できる。 となると、供託については司法書士法で供託の代理が独占業務と定められてなければ代理人を選任することは可能であるが、登記については代理人を選任することは不可能。 なぜなら、供託は性質上代理可能だが、登記申請は法律行為ではなく民法上、代理不可能だから。 登記申請の「代理」は、司法書士法に基づき、「代行」人に登記申請を委託することでのみ可能である。 うーん。どこかに誤謬があるような気がします。納得できなくてすみません。

関連するQ&A

  • 登記申請の代理人には誰でもなれるのでしょうか?

    登記申請の代理人には誰でもなれるのでしょうか? 以前の質問(QNo.2237738)のアンサーで登記申請は業として行わなければ誰でも可能とあったのですが 司法書士法73条1には「司法書士以外は業務を行ってはならない。ただし他の法律に別段の定めがある場合はこの限りではない」と書かれております。他の法律の定めがある場合と言うのは弁護士や土地家屋調査士は登記をしても良いということだと思うのですが「業としてしなければ」登記の代理人になっても良いとはこの条文の文言からは読み取れないように思うのですが「業としてしなければ」登記申請の代理人になれるという根拠はどこにあるのでしょうか。

  • 根抵当権抹消登記を代理申請する時の申請書の書き方について教えてください。

    法務省のHPからダウンロードしたwordの書式を使用して登記申請書を作っているのですが、その中に「権利者」「義務者」「申請人兼義務者代理人」という箇所があります。 前者2つはわかるのですが、最後の「申請人兼義務者代理人」というところで困っています。 1.「申請人」でいうなら権利者本人ではないかと思われますし、 「義務者代理人」でいうなら私ではないかと思います。 でも「兼」となっているので、どちらを書いていいのかわかりません。 ここのところは「申請人」と「義務者代理人」とに、勝手に分けてしまって記入してよいのでしょうか? (法律に縁遠い素人なので、他の点でも申請書のフォームを書き換えるなんてことがOKなのか、非常に戸惑います) 2.もし分けて記入するのでしたら、連絡先の電話番号は、申請人と代理人の両方記入が必要でしょうか? 3.申請先の法務局がちょっと遠いのですが、できあがった書類を近くの法務局でチェックしてもらうことは可能なのでしょうか?また、ちょっとした質問なら電話でも受け付けてもらえるのでしょうか? 全くの素人なので、わかりやすく教えていただけると助かります。

  • 商業登記の代理申請

    商業登記の代理人による申請について、業として行わなければ、司法書士以外の無資格者が行ってもよいとのことですが、その境界はどこらへんになるのですか?(無償ならOK?) また委任状を本人から受け取る場合、受任者が法人(行政書士法人や税理士法人)のときは、業として行ったとされてしまうのでしょうか? よろしくお願いいたします。

  • 商業登記は公認会計士が代理申請可能?

    (再質問です) 公認会計士さんは商業登記に関して、代理申請ができるのですか? 計理士又は公認会計士、会計士補の登記申請書類の作成及び申請代理 について(昭和25年7月6日民事甲第1867号民事局長回答) 計理士又は公認会計士、会計士補が会社その他法人の設立を委嘱された場合その附随行為として登記申請書類(定款、株式申込書、引受書、創立総会議事録等の添付書類を含む)の作成及び申請代理を為すことは、司法書士法(昭二五、五、二二法律第一九七号)第十九条の正当の業務に付随して行う場合に該当し差支えないと考えられますが、いささか疑義がありますので御回示願いたく照会いたします。 回答 照会に係る標記の件は、貴見の通り積極に解して差し支えない。

  • 登記申請の代理人

    登記と言ってもいろいろありますが・・・ 滅失登記、表題登記、保存登記、所有権移転登記(相続含む)のあたりですが、本人以外の他人(友人等)でも、代理申請は出来ますでしょうか? 出来るとしたら、基本的に資格(行政書士等)がない為、金銭を頂かなければ、誰でも出来るという事でしょうか? ご存知の方、よろしくお願いします。

  • 贈与の登記の申請人について

    贈与の登記の申請人について 息子に贈与する土地の登記申請を今回は自分でしますが、申請人兼義務者代理人の例しかわかりません。私(贈与者=権利者)が申請する場合は、申請人兼権利者代理人として私が実印を押せばよいでしょうか? 権利者(受贈者)の氏名の欄に認め印は不要ですか? また、受贈者である息子の委任状は登記申請のみの権限でしょうか?それとも登記識別情報の受領の権限も必要でしょうか?明日には申請書を作成したいので、教えてください。

  • 法人登記の代理人について

    お世話になります。 私はある株式会社の一社員です。 で、しばしばこの会社の登記申請を行うのですが、 無資格の人間が登記申請をしてもいいものなのでしょうか? 登記は当事者(つまり会社なら代表取締役)が行うか、 代理人を立てる場合は司法書士資格が必要・・・と 商業登記法(あるいは商法?)に定められているのではなかったでしょうか・・・? 私はこの会社の役員でもありませんし、司法書士の 資格を持っているわけでもありません。 一度、目的変更登記をしたときは、書類作成は私が 行い、登記申請は代表取締役(社長)にしてもらいました。 社長はそのとき法務局の担当者に、登記申請は代表取締役じゃなきゃ駄目か? と尋ねたそうです。 そうしたら、「代表取締役印を持ち出せる人間ならば良い」 というように言われたそうです。 なので、それ以降は社員である私が申請までしています。 登記申請人名は代表取締役で、代理人は記載していません。 委任状も提出していません。 法務局も書類に不備がなければ、なんの問題もなく受け付けてくれます。 会社としてはどうせ同じことをやらせるのなら、司法書士に高い報酬を払うより、 社員である私にやらせれば安上がり(というか費用がかからない)だと考えているようです。 実際、簡単な登記であれば解説本などを見れば素人である私でも書類は作成できますし、 法務局に行けば丁寧に書き方を教えてくれますので、問題が発生して いるわけではないのですが・・・^^; 以前からちょっと疑問に思っていましたので、よろしかったらご回答下されば幸いです。

  • 代理人と使者

    決定した法律行為を単に伝えるのが使者。 その逆が代理人。 となってますが、 司法書士の申請業務はどうなのでしょうか? 実体法上の権利関係は既に確定しているものを申請依頼されただけで、 役員が再任されたのに、退任と申請できませんし、共同相続でも勝手に法定相続分と異なる持分を決められません、と言う事は、使者に該当しそうですが、代理人となってます。 代理人と使者の違いを教えてください。

  • 登記申請書の例

    司法書士試験の登記申請書を書くに当たっての 登記申請書例がたくさん載った本で お勧めがあったら教えてください。

  • 不動産登記申請について

    購入した不動産に接道する私道を部分所有する方からその持分全部を購入することになりました。 小額な取引のため、この所有権登記を自分(個人)でする積りなのですが、私(買主=権利者)が登記申請することが可能ですか?売主(=義務者)の委任状は入手する予定です。 また、可能であるとして、登記申請書中の申請人に関わる記述は、申請人兼義務者代理人とすれば宜しいでしょうか? さらに、個人での申請に当たって特に注意すべき点がございましたらご教示いただきたく。 宜しくお願い申し上げます。