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化学平衡の移動について
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原因と結果とをごっちゃにしてはいけません。 また、平衡状態そのものを理解していますか? H2+I2=2HIの「化学平衡の状態にある」とは、 言い換えると、H2,I2,2HIが見かけ上増えもしないし減りもしないという「絶妙のバランス」にある状態のことです。 その絶妙のバランスを保っていたところに 原因:H2を増やす という行為を行ってしまうのです。するとバランスが崩れてしまいます。 その後、バランスを取り戻す方向に反応が起こった結果、また新たなバランスがとれた状態になります。このときのH2,I2,HIの濃度を最初の状態から比べると、I2は濃度減少、2HIは濃度増大であったというだけです。
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- jamf0421
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ル・シャトリエの法則は、質問者さんの言われている例のような開放系の組成緩和については簡単ではありません。(面倒でしたら途中は読み流して最後の方だけでもご覧になって下さい。) A=-ΣνiμiというAffinityを考えます。μは化学ポテンシャル、νiは反応式の係数(化学量数)で、生成系について正、原系について負とします。系が平衡ならA=0です。AはdQ'=Adξによって、反応進行度dξと非補正熱dQ'に関係付けられる量です。dQ'はdS=dQ/T+dQ'/Tで表されるものでdQ'>0が不可逆過程に対応するものです(エントロピー生成)。dQ'/dt=Adξ/dt=Av≧0が必ず成り立ちます。(dξ/dt=v;反応速度です。) 系に摂動が起こりAがδAシフトしたとき、原系はA=0だったので摂動系のAffinityはδA、また摂動系の反応速度をv'とすればδAv'>0という要請が出ます。これが「考えている因子が受けた変化と反対に変化するような補償的な変化が起こる」という根拠になります。 これから多くの前提とかなり長い計算で結局 (1/νi)(∂A/∂ni)_T,P<0...(1) ということになります。_T,Pは偏微分するときに定数としたものです。さらに途中を省略して結局理想系(これの説明も面倒なので省きます)では (1/νi)(∂A/∂ni)_T,P=(RT/νi)(ν/n-νi/ni)...(2) を得ます。ここでν=Σνiです。 (1)と(2)から組成の緩和は (1/νi)(ν/n-νi/ni)<0...(3) 即ち、 1/ni>(ν/νi)(1/n)...(3)' あるいはモル分率xiを用いて 1/xi>ν/νi...(3)" となり、この条件のときに緩和が起こります。(これが理想系についての結論です。)つまり開放系についてル・シャトリエの原理による組成緩和は反応の種類とモル分率に依存することになります。例えばν=Σνi=0なら(3)"は必ず成立します。質問者さんの例では H2+I2→2HI...(4) で、νH2=-1, νI2=-1, νHI=2でν=Σνi=0ですから必ず緩和がおきます。水素を入れれば水素を減らすほうに動きます。よってHIができます。 ν≠0でも緩和が起きる例として例えば N2+3H2→2NH3...(5) があります。νN2=-1, νH2=-3, νNH3=3, ν=-2となります。N2について緩和の条件を考えます。(3)"を見れば、 1/x(N2)>(-2)/(-1)...(6)(x(N2)はN2のモル分率) 即ち x(N2)<1/2...(7) です。この場合、N2のモル分率が1/2より小さければT,P一定でN2を系に少量加えればN2が消費され、アンモニアができます。しかしN2が1/2より大きければ少量N2をいれると却ってアンモニアが解離します。もしアンモニア添加について考えるならば 1/x(NH3)>(-2)/2=-1...(8) でこれは常に満たされます。系にアンモニアを少量添加すればかならずアンモニアの解離で緩和が起きます。 なんだか上手に説明できなくて申し訳ありませんがこんなところです。
お礼
回答ありがとうございます。 もう、なんか、めちゃめちゃ難しいですね。というか奥が深いですね。 ありがとうございます。
- htms42
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>ある物質の濃度を増大させると、その物質の濃度が減少する方向に平衡が移動する 「濃度を増やすと濃度が減る」・・・ 「何やこれは?」ということになりますね。 よく質問を受けました。 教科書ではたぶん 「平衡に関係しているある物質の濃度を変化させると、その変化の影響を和らげる向きに平衡が移動する」 と書いてあると思います。 これでもまだ分かりにくいです。 容器の中にA、B、Cの3つの気体があるとします。 各物質の物質量をaモル、bモル、cモルとします。 この状態で気体Aの物質量を増やす(外部から追加する)とします。 追加するAの物質量をαモルとします。 容器の中の各物質の量はどうなるでしょう。 Aは(a+α)モル、Bはbモル、Cはcモルになると考えられます。 水素、酸素、窒素の混合気体の場合などでしたらこのように考えます。 ところがこれが成り立つのは反応しないという場合についてです。 H2,I2,HIの場合はどうでしょう。 初めaモルあったH2にαモルの水素を追加しても一部がHIに変わってしまうので平衡状態でのH2の物質量は(a+α)モルよりも少なくなってしまいます。 αモル増やしたはずなのに実際の増加分はαよりも少し少なくなっています。ルシャトリエの法則はこういうことが起こるということをいっているだけです。 目をつけているのは外部からの操作で変化させた物質の濃度だけです。 この変化が起こるとI2の濃度もHIの濃度も変化します。 I2、HIの濃度の変化はH2の濃度変化に伴って引き起こされたもので2次的なものです。 U字管があって途中に栓がついているとします。 (1)栓を締めて左側に深さhまで水を入れたとします。 この状態で水を追加します。深さがh+aになったとします。 (2)栓を空けて深さhまで水を入れます。 この状態で(1)の場合と同じ量の水を左側に加えたとします。 (2)での液面の高さはhよりは高くなっていますがh+aよりは小さいです。左側に入れた水の一部が右側に移動するからです。両方の高さが等しくなるところでつりあいます。 これも平衡移動です。 太さの異なる管を使った連通管であれば移動する量は変わってきます。でも移動は必ず起こります。 釣り合いが実現した時の量の関係を表すのが平衡定数ですから管の太さの関係と似たような役割です。 栓の所の穴の大きさが変わると釣り合いが実現するまでの時間が変わります。でもつりあいの位置は変わりません。 反応速度と平衡状態の関係もこれと同じだと考えていいでしょう。
お礼
回答ありがとうございます。 丁寧な解説、大変参考になりました。
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お礼
回答ありがとうございます。 >バランスを取り戻す方向に反応が起こった結果、また新たなバランスがとれた状態になります。このときのH2,I2,HIの濃度を最初の状態から比べると、I2は濃度減少、2HIは濃度増大であったというだけです。 大変参考になりました。原因と結果がごっちゃになっていました。