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イオン化にかかる時間
こんにちは。 光吸収などで起こるイオン化過程における軌道緩和(電子再配置)について質問があります。 イオン化エネルギーの求め方として、複数の考え方があると思います。 まず一つ目は、凍結軌道近似に基づくクープマンズの定理から求める考え方で、基底状態における分子軌道の軌道エネルギーから計算する方法です。もう一つは、基底状態の全エネルギーと、電子状態を最適化したイオン化状態の全エネルギーのエネルギー差から計算する方法です。 これについて、僕は今まで前者はかなり荒い近似であり、後者は励起状態の軌道緩和を含めている分、比較的信頼できるものであると考えていました。しかし、よくよく考えてみると、イオン化が電子再配置よりも圧倒的に早いタイムスケールで瞬間的に起こるものだとすると、イオン化の瞬間は基底状態とイオン化状態の軌道エネルギーに違いは少なく、凍結軌道近似を使うのもあながち悪くないのではと思うようになりました。 むしろ、もう一つの方法である、基底状態と電子状態を最適化した励起状態の全エネルギー差からイオン化エネルギーを求める方法では、電子状態が最適化された状態を終状態と考えて計算するわけで、もしも電子状態の最適化よりもイオン化の方が圧倒的に早いとすると、おかしいような気がしてきたのです。 そこで質問なのですが、イオン化にかかる時間と電子再配置(軌道緩和/電子状態の最適化)にかかる時間にはどのくらいのオーダーの差があるのでしょう?イオン化がほんの一瞬で起こるなら、凍結軌道近似で求める方が正しいのではないかと思います。もしそうではなく、イオン化と電子再配置の早さが同じようなオーダーであれば、それら2つが同時に起こることとなり(イオン化しながら電子再配置もする)、上記のどちらの方法もあくまで近似的にしかイオン化エネルギーを求められないことになると思います。
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