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MEMSシミュレーションに必要な知識

過去FEMによる数値解析を、構造解析応用メインで勉強指してきました。 今後興味のある分野として、MEMSデバイス(センサー等)のシミュレーションを考えています。そこで必要となる知識を教えて頂ければ幸いです。分子動力学や量子力学の知識も必要になるのでしょうか? 概要だけでもアドバイス頂ければ幸いです。

  • my3027
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  • inara1
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回答No.1

元・MEMSエンジニアです。 my3027 さんは構造解析の知識はお持ちだと思いますが、最終的にMEMSエンジニアをを目指すのであれば、それ以外に以下の知識を身に着けてください。    (1) デバイスの動作理論    (2) 作製プロセス    (3) 材料物性(機械・電気・熱・流体・光学・表面・半導体物性など)    (4) 物性とデバイス特性の評価手法 (1) は当たり前ですが、センサーが分子動力学や量子力学的な物理で動作しているのならその知識は当然必要です。これは漠然とした知識でなく、定量的(理論的)な知識です。特性の良し悪しを決める要因が何で、どこをどうすればどうなるのかを定量的に理解していないと性能設計(性能シミュレーション)ができません。 (2) も性能設計には不可欠です。作製プロセスを知らなければ、実際に作ることができる構造(材料の組み合わせや形状)がどういうものか分かりません。また、実際にできたモノの性質( (3)に挙げた物性 ) がプロセス条件によって大きく変わることもあります。シミュレータに入っている物性パラメータを使っただけでは現実のデバイスの性能とは大きくかけ離れた結果になるかもしれません。作製プロセスで使われる材料や製造方法を知り、サイズや物性のぶれ幅(バラツキ)、どういう熱履歴を経ているかを把握することで、実際に作ったデバイスの性能解析や安定した性能設計の手助けになります。 (3) はセンサーの種類によって必要な項目が決まりますが、物性の意味を理解するだけでなく、(1) と (2) を知った上で、さまざまな物性が互いにどのように関連しているのか(無関係なのかトレードオフ関係にあるのかなど)、それがどれくらいずれる可能性があるのか、そのうち最終的なデバイス特性に影響するパラメータが何であるかを把握するという意味です。構造解析や電磁気、熱流体シミュレータなどでは数多くのパラメータが必要ですが、真に重要なものは限られています。それを充分理解していないと、天文学的な組み合わせのシミュレーションをする羽目になります。観念的ですが、設計の勘所を押さえるということになるかと思います。 (4) は(3) に必要なパラメータの妥当性を決める部分です。MEMS設計に必要なパラメータはシミュレータやハンドブックに入っていない(値が異なったり条件依存が出ていないなど)ことが多いので、実際に作製したものの物性を実測することが不可欠です。しかしその測定方法が不適切であれば、得られた物性値も怪しくなってきます。市販されている測定器では測定が難しい場合もあるかもしれません(対象が小さかったり複雑で直接測定できないとか、周囲の影響が大きいなどの理由で)。その場合、どういう測定を行えば間接的にでもわかるのか、どういう構造にすれば測定できるのか(テスト用の構造)、その値の信憑性などを考える必要があります。これには (1) から (3) の知識が必要になってきます。デバイス特性の評価の同様です。デバイス特性は構造や物性の統合結果として得られるものですが、その特性が正確でなかったり再現性に乏しいと設計へのフィードバックがうまく機能しません。非常に高性能のデバイスを開発するためには特性評価手法がきちんと確立していることが重要になります。デバイスの性能を表すにはどんな指標が必要か、何を評価すればいいのか、従来のデバイスの性能(長所・短所)はどうなのか、きちんと把握しておくことが重要です。 my3027 さんが大学や研究機関で学んでいるのかメーカのエンジニアなのかで目的とすることが異なります。前者ならいろいろな可能性を示したりトップデータ(性能)を出すこと、後者ならコストや安定性・信頼性を重視することになりますが、いずれの場合でも (1) ~(4) をしっかり押さえておくことが重要だと思います(学ぶ順序もこれでいいと思います)。 以上は私個人の考えですが参考になれば幸いです。

my3027
質問者

お礼

回答ありがとうございます。 特に4)に関しては予想外で、大変貴重なアドバイスを頂いたと思います。やはり実際に携わった方でないとわからない貴重な情報した。

その他の回答 (3)

  • inara1
  • ベストアンサー率78% (652/834)
回答No.4

>CAEで理論計算して設計の方向性を出すのが有用 MEMSの種類にも依りますが、複雑な形状のものや流体を扱うものは、シミュレーションは必須だと思います。ただ、シミュレーションはパラメータを絞った上で、性能を追い込んだり実際の性能とのズレを解析するのには役に立ちますが、基本設計からシミュレータを使うのは時間の無駄(変えるパラメータが多すぎる)だと思います。大雑把な構造やサイズが決まっているのならシミュレータで性能を見てみて、どこをどう変えたらどうなるという使い方をすれば良いと思います(性能に敏感なところを把握する)。実際に作って測定していたら大変なことをシミュレーションで実験してみて、当たりをつけ、その近辺でパラメータをいくつか振った実物を作ってみて、合わせ込むというやりかたが賢いと思います。具体的なセンサが分からないので一般論的なことしかお答えできませんが。 >実際のMEMS設計で、シュミレーション技術をお使いになった事はありますか? ありますが、日本MEMSのは使ったことがありません。いろいろなソフトを比較できるほど贅沢もできなかったので、どれが良いというのは残念ながらお答えできません。 > 解析ソフトの普及率は高いんでしょうか? ソフトはほとんどのところで使っていると思いますが、どれだけ使いこなせているか疑問です。他社のことは良く分かりませんが、実際のデバイス特性にうまく合うようにパラメータを調整するところが大変だと思います。MEMSは時定数の異なるいろいろな物理がからむので、全てを連立させてシミュレーションするのはほとんど不可能だと思います。

my3027
質問者

お礼

勉強になりました。 ありがとうございました。

  • inara1
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回答No.3

>引張りで形状安定させるんですね これは強度を高めるためでなく、両持ち梁のような構造で、梁(膜)をピンと張るような場合に使う方法です。片持ち梁構造で応力を入れると反ってしまいますからこの方法は使えません(そのためMEMSでペラペラの片持ち梁構造を使うことはあまりありません)。 >金属やプラスチックのメカ設計分野では考えられない方法です 薄膜を使ったMEMSは、幅や長さに比べて膜厚が小さいので、応力による反りが問題となります(機械部品というより紙工作物といった感じ)。また、MEMSは複数の構造物をウェハ上に作っていくので、品質の揃った部品を組上げるのとは根本的に違います。半導体デバイスと同様、ある工程で条件がずれてしまったらそのウェハの中のデバイスは全部不良です。 >やはり微小構造ということで、マクロでは無視出来るような影響が大きいんですね 機械部品と違うのは寸法の相対精度が極端に悪いということです。全体が100ミクロン単位でも寸法誤差は1ミクロン、厚さも数%は変動する世界です。表面も凹凸だらけなので摩擦を使った機構はほとんど使えません。 悪いことばかりのようですが、数多くのものをいっぺんに作れるので安くできるという利点があります(半導体の価格が安くなるのと同じ)。

my3027
質問者

お礼

inara1さん 丁寧な説明ありがとうございます。 MEMSセンサーは半導体製造技術の応用なんですね。確かに複雑な部品組み合わせはありませんが、物が小さいだけに微小寸法変化でも影響大ですね。逆に物が小さいだけに、実験でデータ取りが簡単に出来ないので、CAEで理論計算して設計の方向性を出すのが有用な世界かと思った次第です。あと表面の凹凸とかに関しても、微細加工技術の知識必要さを感じるいい例かと思いました。 1つ質問させて下さい。実際のMEMS設計で、シュミレーション技術をお使いになった事はありますか?以下HP等でもあるような汎用解析ソフトの普及率は高いんでしょうか?ご存知でしたら情報頂ければ幸いです。 http://www.jmems.com/MEMS%20Software.htm

  • inara1
  • ベストアンサー率78% (652/834)
回答No.2

(4) について一例を挙げるますと、薄膜を使った表面マイクロマシニングの場合、残留応力が問題となることがありますが、それは成膜条件で大きく変化するので実測するしかありません(形状から応力を計算する方法もありますが、多層膜の場合は個々に分離するのは困難です)。 反りを減らすために、材料やプロセス条件を変えて応力を減らすこともありますが、逆にわざと引張り応力を入れて形状を安定させるなどということも行われます。MEMSの場合、物性値がハンドブック通りなのはSiウェハくらいで、他の材料は条件によっていろいろな変わりますが、それをいかにコントロールするか、あるいは、変化しても性能に影響しないようなうまい構造を考えるということが重要だと思います。

my3027
質問者

お礼

回答ありがとうございます。 金属加工ではショットピーニングという表面改質法で表面に残留圧縮応力残して、割れ防止したりするんですが、引張りで形状安定させるんですね。金属やプラスチックのメカ設計分野では考えられない方法です。 物性値に関しても、構造解析では物性値(E,G,ν,降伏点等)がほとんどの材料わかっていますが、MEMSの場合は条件で考慮が必要なんですね。やはり微小構造ということで、マクロでは無視出来るような影響が大きいんですね。その点を勉強しないといけないですね。

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