相転移の次数とは?

このQ&Aのポイント
  • 相転移の次数が一次か二次かはどこで決まるのでしょうか。
  • 相転移の次数は材質や形状によって変化します。
  • 一次相転移では秩序パラメタに対してエネルギーが途中で極大を持つ。
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相転移の次数を知るには

相転移の次数が一次か二次かはどこで決まるのでしょうか。 融解が一次で磁性と超伝導が二次、理想系のBEが三次というのは、 どの教科書にも書いてありますが、磁性でも一次のものも存在 します(MnOなど)。超伝導体でも、材質や形状(薄膜や微粒子) で次数が変化します。 先見的に、こういう転移なら、何次だとか、おそらく何次に なるだろう、という予言(あたらなくとも、もっともらしければ良い) はできないものでしょうか。 たとえば、ランダウの現象論では、一次相転移では自由エネルギー F(or G)の秩序パラメタによるべき展開に、複数の極小点が同時に 存在することを考えると、F=E-TSなのですから、 「一次転移では、秩序パラメタに対して、エネルギーEが単調減少 するのではなく、途中で極大を持つはず」 のような気がするのですが、どうでしょうか。

質問者が選んだベストアンサー

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  • siegmund
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回答No.3

無茶苦茶難しい話になってきました. こりゃ,物理学会の統計力学,物性基礎論(今は領域11といいますが)の 分科会場での会話みたいなもんですな. 前にも書きましたように, 同形のハミルトニアンでもパラメーターの値の組み合わせによって 相転移が1次になったり2次になったり, というようなことがあることを考えますと, 単純な判定条件というのはどうも難しい気がします. > Fを計算すると、キンクが出たから、というのでは結果論で、 > 現象の説明にはなっていないような気がするのです。 そういう考えの方は大勢います. つまるところ,モデルの相転移で重要な核になる部分を単純にわかりやすい形で 引き出すことができればよいのでしょうが,なかなか困難ですよね. まあ,相転移関係でメシ食っている人が簡単には失業しないということですか(^^;). 数値計算結果から相転移が1次がか2次かを判別するのはこれも難しいようです. 学会でも,「数値計算では1次か2次かよくわからない」という報告もよく目にします. これは,きっと,扱ったモデルのパラメータ (あるいは,拡張してパラメーターを増やしたモデルのパラメーター)が ちょうど1次転移と2次転移の境目近くにあるんでしょうね. 全然回答になっていないような気もします.

cuprate
質問者

お礼

ありがとうございます。恐れ入ります。 もともとは、「学部生に一次と二次の違いを説明するには どうしたらよいか」という疑問だったのですが、フィロソフィー まで絡んだ話なのですね。教えていただきわかったことは、 1) 一次二次は、微妙な話であり、連続的である。 あ、自分でも、超伝導の一次・二次は、試料の形状で決まることも あるとか、受け売りで言ってますね。(よくわからんままに、、、) 2) 同じ形のハミルトニアンでも一次二次はどうなるかわからない。 P.S. >>そういう考えの方は大勢います. 誰だろう、S.M. H.K. M.S. G.T.いろんな先生の顔が走馬灯のように 浮かんできました。そういう考え方、逆にそうでない考え方の教科書 等(あるいは参考文献)、ありましたら教えていただけるとありがたいです。

その他の回答 (2)

  • siegmund
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回答No.2

>> ハミルトニアンで決まります > 繰り込み可能かどうかということでしょうか? そういうことではなくて,ハミルトニアンがすべてを決めてしまう, という意味です. 統計物理学の標準的手法に従えば, ハミルトニアンがわかれば分配関数を経由して自由エネルギーがわかり, 自由エネルギーの異常性を調べれば相転移の性質がわかる, という組み立てになっています. ただし,このシナリオを忠実に実行することは通常不可能です. 相転移の重要な性質(臨界指数など)は, ハミルトニアンの細かい性質によらずに対称性,成分の数,次元数,などの もう少し大雑把な性質で決まるというのがユニバーサリティ(普遍性)の概念ですが, 場合によってはこの概念に修正が必要な場合もあります. ランダウの現象論はそういういみでの引き合いでしたか. 納得しました. > 最初にハミルトニアンを見た際、あるいはしばらくいじりまわした > 後、「これは何次になりそうだ」とか言うsiegmundさんの「物理的直感」 > みたいなものがありましたら教えていただければ大変ありがたいと思います。 > (企業秘密かも知れませんが)。 企業秘密ってことはありませんが,万能な方法は誰も持っていないでしょう. 厳密解があるモデルとの関連を考えたり, 重要な状態を拾い出した実効ハミルトニアンを導いたり, 繰り込み群などの手法, 種々の数値計算法, そこらへんの総動員でしょうか. 研究者(あるいはグループ)によって得意の手法が違います. 私も間違った予想をしたことがあるので,あまり大きな顔はできません. 逆に「従来の説は間違っていますよ」ということを示したこともあります.

cuprate
質問者

お礼

ありがとうございます。 そうですか、やはり、厳密な話としては、HからFを出してきちんと 温度依存性を見る(キンクがあるかどうかなど)ということを、一つ 一つのケースについて調べないといけないわけですね。 なにかしらの経験則(当たる必要が全くない)ってのは無いもの なのでしょうか。例えば「フント則」のようなものが、、、。 (あれば、名前くらい出ているんでしょうねえ、、、)。 たとえば、ちょっと加減に、「融解は〇〇だから一次元、磁気転移は、 ××だから、二次元」、という説明が出来ないものでしょうか。 Fを計算すると、キンクが出たから、というのでは結果論で、 現象の説明にはなっていないような気がするのです。 === それから、ユニバーサリティについてなのですが、スケーリングが 適用出来るのは二次だけでのようですから、一生懸命、不動点を探した 挙句、結局、一次だったのでうまく行かなかった、なんてことがあり そうです。それを避けるためにも、一次か二次のどちらになりそうか、 という直感は必要じゃないかと思うのです。

  • siegmund
  • ベストアンサー率64% (701/1090)
回答No.1

> 相転移の次数が一次か二次かはどこで決まるのでしょうか。 ハミルトニアン(の相転移に関係する部分)で決まります. > 先見的に、こういう転移なら、何次だとか、おそらく何次に > なるだろう、という予言(あたらなくとも、もっともらしければ良い) > はできないものでしょうか。 非常に困難だと思います. もちろん,具体的モデルについて相転移が何次であるかという議論は しばしばなされます. というより,統計物理学の中心的話題の1つであると言っても過言ではありません. 多体問題ですから厳密な結果が得られる場合はごくごく限られているわけで, その他の場合はいろいろな手法が用いられます. 厳密な結果以外はいずれもある意味で近似ですから, 近似によって相転移の次数を誤って見積もってしまうこともあります. 同形のハミルトニアンでも,パラメーターの値の組み合わせによって 相転移が1次になったり2次になったり,というのも珍しくはありません. そもそも,相転移以前に,どういうハミルトニアンでどういう相が現れるか, ということ自体が大変難しい問題です. この方面の専門家の大多数は, 「我々の気がつかない相がいっぱい眠っているだろう」 と考えています. 大きなところでは,量子ホール効果なんて言うのがありました. これは,強磁場下の2次元電子系がある特別な相にあるということの反映でした. これほどインパクトは強くないにせよ, 新しい相を発見したというのはいっぱい報告があります. なお,ランダウの現象論は一般の相転移を正しく記述しないことが 現在では明らかになっています. F が秩序パラメーターでべき展開できるという仮定が誤りなのです.

cuprate
質問者

お礼

詳しいお話をありがとうございます。やはり困難ですか。 大雑把な話でよいので傾向のようなものがわかれば良いと思いま して質問に及んだのですが難しいわけですね。 >>ハミルトニアンで決まります 繰り込み可能かどうかということでしょうか? >>なお,ランダウの現象論は一般の相転移を正しく記述しない >>F が秩序パラメーターでべき展開できるという仮定が誤り 臨界指数の値等まで定量的に合わせられるかどうかではなく、 定性的な話で良いと思って引き合いに出したのです。 (それでも臨界発散するかどうかまで合わないこともありますね)。 最初にハミルトニアンを見た際、あるいはしばらくいじりまわした 後、「これは何次になりそうだ」とか言うsiegmundさんの「物理的直感」 みたいなものがありましたら教えていただければ大変ありがたいと思います。 (企業秘密かも知れませんが)。 勝手なことを申しましてすみません。

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