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芥川の最大のテーマのひとつに「人間の愛とエゴイズム」がしばしば取り上げられますが、 吉田弥生との破局によってその方向性が決定づけられたといわれます。 非嫡出子の上士族ではなかった女性との結婚に反対した、名家芥川家のエゴイズム。 それに屈し愛を貫けなかった、自分自身のエゴイズム。 この「愛とエゴイズム」は、芥川の今後の作品の中にさまざまな形をとって姿を現します。 事件の直後に友人たちに送った書簡から、 人間のエゴイズムに対する強い芥川の思いがみられますので、 参考までに添えておきます。 「イゴイズムをはなれた愛があるかどうか イゴイズムのある愛には人と人との間の障壁をわたることはできない 人の上に落ちてくる生存苦の寂莫を癒すことはできない イゴイズムの愛がないとすれば人の一生ほど苦しいものはない 周囲は醜い 自己も醜い そしてそれを目の当たりに見て生きるのは苦しい しかも人はそのままに生きる事を強いられる 一切を神の仕業とすれば神の仕業は悪むべき嘲弄だ 僕はイゴイズムを離れた愛の存在を疑う(僕自身にも) 僕は時々やりきれないと思うことがある 何故こんなにしてまでも生存を続ける必要があるのだろうと思うことがある そして最後に神に対する復讐は自己の生存を失う事だと思うことがある。 僕はどうすればいいのかわからない (中略) そのものは僕に周囲と自己とのすべての醜さを見よと命ずる 僕は勿論亡びることを恐れる しかも僕は亡びるという予感をもちながらも此ものの声に耳をかたむけずにはいられない (後略) ~恒藤(井川)恭宛書簡 1915.3.9 また同日付に藤岡蔵六に宛てて書かれた書簡は短歌の連作からなっており、 そこから「エゴイズムを離れた愛」を聖書の詩篇に求めている心情がうかがえます。 わが心ますらをさびね一すぢにいきの命の道をたどりね かばかりに苦しきものと今か知る「涙の谷」をふみまどふこと ほこらかに恒河砂びとをなみしたるあれにはあれどわれにやはあらぬ かなしさに涙もたれずひたぶるにわが目守なるわが命はも 罌栗よりも小さくいやしきわが身とぞ知るうれしさはかなしさに似る われとわが心を蔑しつくしたるそのあかつきはほがらかなりな いやしみしわが心よりほのほのと朝明の光もれ出でにけり わが友はおほらかなりやかくばかり思ひ上がれる我をとがめず いたましくわがたましひのなやめるを知りねわが友汝は友なれば やすらかにもの語る可き日もあらむ天つ日影を仰ぐ日もあらむ あかときかはたたそがれかわかねどもうすら明りのわれに来たれる わが心ややなごみたるのちにして詩篇をよむは涙ぐましも
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