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民法の物権/債権についての問題

今まであまりに法律に縁遠かった事を反省し、一念発起して民法の勉強を始めてみたのですが、いきなり疑問にぶつかりました。 周囲に聞ける人もいないので、こちらで質問させてください。 なるほど民法1基本編(山本浩司)という書籍の中の事例です。 事例5(物権編)  Aはその所有する特定の宝石の売買契約を締結し、買主Xは代金を支払った。その後、Aは同じ宝石をYに贈与して宝石を引き渡した。 事例8(債権編)  Aは自己所有の宝石をXに売却し、Xは代金を支払った。Aはその後、同一の宝石をYにも売却し、宝石を引き渡した。 という事例説明があり、 事例5は所有権の問題だから、宝石はYのもので決まり。とあるだけでそれ以後の事は記載がありませんでした。 事例8は契約の問題だから、AY間では契約はつつがなく終了。AX間では債務不履行だからXに損害賠償請求権が発生すると記載されていました。 ここで疑問なのは、事例8は納得出来る話なのですが、事例5ではこのままでは買主Xが払い損です。事例5の場合にも、買主Xに売主Aに対する損害賠償請求権が発生して、支払った代金の返還を請求出来るという理解で良いのでしょうか? 著者が物権編、債権編という順番で分けて書き進めているため、あえて損害賠償云々の話を書かなかっただけですか? ものすごく基本的なお話でお恥ずかしいのですが、よろしくお願いいたします。

  • lama6
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noname#61929
noname#61929
回答No.2

#その本を読んでいないので記載内容の趣旨は厳密には分りかねます。ですので質問記載の事例から言えることだけを述べます。 おそらく理解の通りで正解だと思います。問題の本を読んでいないので推測の域を出ませんが、正直に言えばあまり親切な事例設定ではないです。 一言で言えば、「その事例で何を説明したいのか」ということが読者に正しく伝わっていない、ということでしょう。そして「何が」以上のことは逆に「説明する気がない」ということも。 5の事例について「何が説明したいのか」ということを考えると、5の事例が問題にしているのは「特定の宝石」の所有権の帰趨であって、それ以上の話はしていないと考えるしかありません。つまり、5の事例は物権法の「動産の対抗要件」の話を説明したいだけでそれ以上のことは説明する気がないということです。ですから、宝石の所有権の帰属だけを述べてXに対する債務不履行の話は何もしていないというわけです。つまり、質問者の理解で合っているということになります。 ……この事例は、Xと売買の約束をしたが代金等の支払いが一切ない内にYに売買の約束をして引渡したとかした方が分りやすいかもしれません。代金支払いがないことにしておけば、いずれにしろ債務不履行であることは間違いありませんが、Xには対価の出捐がないのでとりあえず損害賠償を無視しても違和感は少ないでしょう。無論、代金を支払っていないというだけで法律上損害賠償責任が生じないわけではありません。念のため。 ところで本題とは直接関係がありませんが参考に一つ指摘をしておきます。5の事例のミソは「特定の」と付いていることです。「特定の」でないと話が成り立たなくなります。「特定の」でないと、Yに贈与しても別の宝石を用意してXに渡せば何の問題もないし、またそうしなければならない義務を負うので「宝石の所有権がXYいずれに帰属するか」を論じる前提がなくなってしまいます。いずれに帰属するかが問題だからそれを決める対抗要件の問題になるのであり、いずれに帰属するかが問題にならないのであれば対抗要件の問題にならないのです。 動産物権変動においては、引渡しが対抗要件になります。ですから、XとYのいずれが所有権を取得するかと言えば、先に引渡しを受けたYということになります。ここでXが売買契約、Yが贈与契約ということは「何の関係もありません」(その意味ではなぜ同じにしなかったのかとは思います。また代金を支払ったとか言わなければ話は分りやすい。つまり余計なことを書きすぎ。よって「不親切」。)。 ここまでが5の事例で言いたかったことです。それ以上のことは言っていないということになります。しかしながら、事例の設定が不適切なために知らない人が読んだらそれ以上の話が気になるのは当然で、まさにそのために今回のような質問になってしまうわけです。 ついでですから、確認あるいは補充の意味で一応「それ以上の話」説明しておきます。 簡単に言いますと、 Yが確定的に所有権を取得したことでXとAの間の売買契約は履行不能となる。履行不能となったのが当事者AのせいなのでAはXに対して債務不履行責任を追及できる。債務不履行責任の内容としては、強制履行、損害賠償、解除が考えられるが、履行不能の場合は強制履行は問題にならないので、損害賠償と解除の問題になる。損害賠償請求は、支払った代金相当額だけにとどまらない。それ以上の損害があればそれも請求できる。解除した場合は代金返還請求権は損害賠償請求権ではなく不当利得返還請求権となる。この場合も、それ以外に損害があれば損害賠償請求が可能である。 といったところです(細かいところは端折ってますので念のため)。 ちなみに8の事例でも解除した上で不当利得として代金返還請求をしてなお損害があれば損害賠償請求ができます。

lama6
質問者

お礼

こんにちは。 whooo様の知識量に圧倒されております。 ご説明、誠にありがとうございました。 非常に丁寧かつ詳細なご説明のお陰で疑問が氷解いたしました。 ありがとうございました。 やはりそういう理解でよかったのですね。ちょっと安心しました。 この書籍の著者は、本の構成上あえてこういう説明を取ったのだと思います。 分かり易いと評判の良い本のという事なのですが、私にはどうも説明がしっくりこなくて、ついこちらで質問してしまったのですが、正解だったようです。 感謝いたします。

その他の回答 (1)

  • wodka
  • ベストアンサー率65% (167/255)
回答No.1

事例5の場合、売買契約により買主は代金支払義務、売主は特定の宝石を引き渡す義務が発生します。 ところが、Aはその特定物をYに引き渡してしまったのですから、Yが宝石の所有権につき対抗力を有することになったので、仮にXがYに引き渡しを要求しても勝てません。 そこで、質問者様のご理解のとおり、XはAの債務不履行責任を追及することになります。 事例5は「動産の所有権の対抗力」に絞り、どちらが勝つかという説明をするため、債権的な処理は省略させ、初学者の混乱を避けたものと思います。

lama6
質問者

お礼

ご回答、ありがとうございました。 こちらの理解のとおりという事でちょっと安心しました。 著者の意図は混乱を避けるためと理解出来たのですが、その配慮で逆に混乱してしまいました。。。 しかし、お陰様で疑問が氷解いたしました。 ありがとうございました。

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