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質量の増大について

alien55の回答

  • alien55
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回答No.3

この質量増加の問題は、アインシュタインの相対性理論によって見出されたものです。 相対性理論を「イメージもしくは例え話」で説明することは大変なことですが、まぁ、やってみましょう。下の回答で分かりにくけれ ば、補足をお願いします。 アインシュタインの相対性理論が、観測者(あるいは座標系)が異なれば、それらは異なる時間を体験することは知っていますか? 有名な話ですが、地球上で生活している人と、高速の宇宙船の中で生活している人とでは、体験する時間が違っていて、宇宙を旅して きた人の時間の方が遅く進みます。したがって、「宇宙旅行者船が10年ぶりに地球に戻ってきた」と思っても、「地球上では10年以上 の歳月が流れていた」というのは本当に起こりうるのです。 一般に、     静止している観測者Aに対して、速度vで運動している観測者Bが体験する時間t'は、観測者Aの体験する時間tより長い ということが言えます。式で表すと、 t'/t = (1-(v/c)^2)^(0.5) ……(1) です。ただし、cは光速です(これはローレンツ変換から出てくる結果です)。  さて、相対性理論では、     物理法則は互いに等速度運動する2人の観測者(座標系)にとって同じでなければならない ということが根本的な原理となっています。ですから例えば、「運動量保存則」という物理法則も、観測者Aから見てもBから見ても、 同じように成り立たなければなりません。しかし、両者から見た物体の速度は異なるわけですから、運動量保存則が成り立つためには 物体の「質量」をも観測者によって相対的に変化するものであると考えなければならなくなるのです。 注意……運動量とは(質量)×(速度)のことで、運動量保存則は、系の運動量(の和)が一定であるという法則です。速度は観測者に よって異なって見えますが、運動量保存則がどちらから見ても同等に成り立つには、質量が観測者によって違って見えるとしなければ なりません。 質量も(1)式と同じようなことが言えて、観測者Aから見た質量mに対し、それに対して速度vで運動している観測者Bから見た質量をm' とすると、 m/m' = (1-(v/c)^2)^(0.5) ……(2) が成り立ちます。mはAから見た質量なので、静止質量と呼ばれます。これをm'について解くと、     m' = m(1-(v/c)^2)^(-0.5) ……(3) ですが、もしvを大きくしていくと、m'はだんだん大きくなっていきます。 (3)式を知っていると、質量増加の様子が手にとるように分かりますね。色々な値で試してみましょう。 例えば(3)式のvに 0.1c を代入すると、m' = 1.00504m です。 これは、光速の10%の速さで飛行するロケットでは、静止しているとき(m)より、1.00504倍の質量と見えることを意味します。 また例えば(3)式のvに 0.9c を代入すると、m' = 2.29416m です。 これは、光速の90%の速さで飛行するロケットでは、静止しているとき(m)より、2.29416倍の質量と見えることを意味します。 運動している観測者Bの速度が大きくなると、Bから見える質量がどんどん増えていくのです。 なお、vは光速cを超えることができません。v < c です。光速以上の速さで物体が運動できないのは、相対性理論が満たすべき 原則なのです(光速度不変の原理;この原理が相対性理論の根幹となっている)。 もし興味がおありでしたら、(3)式のグラフを書いてみてください(縦軸m'、横軸v)。どのようなグラフになるでしょうか? おそらく、vがcに達する前に無限大に発散してしまうと思いますよ。vを大きくしてcに近づけようと思っても、質量が異常に増大する で、いつまでたってもcに到達できないのです。是非考えてみてください。

noname#5186
質問者

お礼

alien55さん、とても詳細なご説明をいただきありがとうございます。おっしゃるお話を、わたくしも読んだことがあって、このへんまでは何とかほーほーとうなずけるのですが、どんなメカニズムで増えるの?というところが書物には無かったもので、欲求不満のままでした。どうもありがとうございました。

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