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熱帯雨林が破壊されると回復しにくいのはなぜ?

starfloraの回答

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  • starflora
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回答No.4

    これは、南アメリカ、特にアマゾン流域の熱帯雨林については当てはまるのですが、一般的な熱帯雨林についても当てはまるのか、少し自信がないので「自身なし」とします。しかし、こういうことなのだとも思います。     アマゾン流域の熱帯雨林が特徴的なのですが、熱帯雨林には、巨大な樹木が生え、複雑な植生があり、多様な生物のエコシステムや、水や栄養素や大気の循環などがあるのですが、この生態システムは、密生する人の入れないジャングルというイメージから齎される荒々しさというか、力強さの見かけと違って、かなり微妙で、脆いものだという考えが一般になっています。     なかでも、脆いのは、熱帯雨林が生育している土壌というか、正確には、植物の繁茂に不可欠な「腐植土」と呼ばれる、栄養に満ち、また多様な生物を維持し、更に、水の保水力の大きな土壌が、熱帯雨林植生の地域では、温帯の森林や平野に較べ、貧困であるということが挙げられています。     エジプトのナイル川流域と、ナイルデルタ地域を比較すると分かるのですが、アスワン・ダム、ハイ・ダムを建造する以前は、ナイルの年毎の氾濫が、流域に豊かな土壌を運んで来た訳で、エジプトの文明は、このナイルの氾濫に支えられていたとも言えます。しかし、ナイル流域の土壌は、かなり薄いものであったのです。毎年の氾濫による土壌補給を得ないと、それは枯渇するほど貧弱であったということになります。ナイルデルタも、同様ですが、こちらは、土壌蓄積がかなりあり、そもそもデルタというのは、それ自体が、流れてきた土壌・栄養に富む腐植土の集積です。ナイルデルタの方が、より、地に力があったし、土壌も強固で豊かであったのです。また、エジプトには、ケムの国と、シェムの国という言い方があったと思います。これは、どちらがどちらか忘れましたが、「赤土の国」と「黒土の国」のことです。「赤土の国」は熱帯雨林の土壌の国で、「黒土の国」は、温帯的な腐植土の豊かな土壌の国だっと思います。     温帯の森林や野における土壌の構造は、基本的に水性堆積層が岩盤の上に載っていて、その上に、腐植土などの土壌がかなり厚く蓄積している構造になっています。熱帯の土壌にも、岩盤の上に、厚く堆積層がある場所もあるのかも知れませんが、熱帯は、地質学的年代の歴史において、時として砂漠化し、またそれが復活して緑の森になったという歴史を非常に長い年月に渡って繰り返して来ました。熱帯の場合、気候変動などで森林が消えると、むき出しの大地には、かなり強力な太陽の光が当たり、植物の生長に不可欠な腐植土のなかの有機成分を分解してしまい、地力の非常に低い土壌に変えてしまいます。また、森林がなくなった場合の熱帯の土壌は、簡単に水に洗い流されることがあり、こういうことの結果で、熱帯雨林が繁茂している基盤の土壌は、表面には、土壌があり、その上に腐植土が覆っているように見えても、その底の方は、少し表面の土壌がはげると、岩盤が出てきたり、また過去の歴史の結果である、砂漠性の土……不毛な砂と岩の層が現れて来たりすることになります。温帯の土壌の場合、こういうことはないのですが、熱帯の土壌には、この傾向が大きいのです。強力な太陽が、土壌を分解してしまう過去の歴史があったからです。     そこで、アマゾン流域の熱帯雨林が典型にそうなのですが、多様な森林は、非常に薄く脆い腐植土層の上に成立しています。ここで、樹木を切ると何が起こるかと言うと、雨が降ると、簡単に貴重な表面の腐植土層が洗い流されてしまうということです。もっと複雑な過程があるのですが、熱帯雨林が健全な時は、単に、樹木の根などが、腐植土や土壌を守っているだけでなく、厚く繁った樹林が、いかなる豪雨でも、上の葉や枝で、その圧力を吸収し、地面に届く頃には、樹木が大部分を吸収し、雨の水分は、地面のこけなどにも吸収され、事実上、上では、大豪雨でも、地面では、水分が幾らか増えたぐらいのものになります。     しかし、樹木を切ると、このような機構は崩壊し、豪雨が降ると、元々薄かった腐植土層は、見事に洗い流され、岩盤が露呈したり、不毛の砂漠のような地面が出てきます。温帯であれば、腐植土層は、非常に遅々としているとはいえ、徐々に回復するのですが、熱帯の場合、腐植土層が蓄積され、仮に雨がそれを流さないとしても、太陽が有機物を分解し、腐植土としては、有効でない土壌に変えてしまいます。こうして熱帯では、腐植土層が失われると、回復に何万年とか、何十万年が必要になります。     一度熱帯樹林を切ると、流れた土壌は回復しないので、再植林しても、まず定着しないのです。温帯の森林の場合、同じように、土壌が硬くなったり、浸食を受けたりしても、再植林し、腐植土などを移入すれば、まだ数十年とか、数百年の時間規模で回復する可能性があり、従って、人間が努力すると、目に見える形で、回復のゆっくりした進行が分かるのですが、熱帯雨林を破壊すると、基本となる腐植土の回復に、何十万年とかかり、植林しても、失敗となり、回復しないということです。     長い文章ですが、熱帯の場合、強力な太陽が、有機物を分解してしまい、植物の生長に不可欠な腐植土層の再生を容易に可能としない。それが、熱帯での樹林の破壊の跡の回復以上に、熱帯での森林の回復を困難にしている条件だということです。また、長い地質時代の歴史を通じ、そもそも、土壌が、温帯のように、元々豊富でないのです。表面の土壌が消えると、後には、岩盤か、砂漠性の地面が露出してくるので、これには、どうしようもない、というのが、回復が困難というより、不可能な理由なのです。  

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