• ベストアンサー

財産権について・・・・・

財産権の内容と公共の福祉の関係というのはどのようなものなのですか。具体的な例を含めて教えてください。

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
  • minojun
  • ベストアンサー率50% (32/63)
回答No.3

 またまたminojunです。補足して頂きありがとうございます。では、「何を書けばいいのか」ということで、手元にある資料からこの問題の出題意図を少しご紹介させて下さい。  まず、憲法29条は財産権を保障していて、その1項で「財産権はこれを侵してはならない」と規定しています。ところが、同2項では「財産権の内容は、公共の福祉に適合するように法律でこれを定める」と規定しています。これは、1項で保障している財産権に「公共の福祉」を理由とする場合に限って一定の制約をすることを認めている訳ですね。  そこで、この問題の出題意図はこの一見相反するような1項と2項の規定の内容、つまり1項で保障した財産権の「財産権の内容」とそれを制約してもいいとされる「公共の福祉」との関係について、具体的に制約が認められる事例を挙げながら説明しなさい、ということのようです。  そもそもなぜこのような問題を考えさせるのかというと、まず、29条1項によって保障されている財産権が、単に客観的法秩序としての私有財産制度について「制度的保障」を認めたものなのか、それとも個人の主観的な(その人にとっては大切な)権利として保障される人権であることを明確にする必要があります。というのも、財産権が憲法の保障する人権でなければ、それを制約したとしても何ら人権制約にならないので、この問題を議論する前提を欠いてしまうことになるからです。いわば、財産権を制度的保障と位置付けるのか、それとも明確な人権として位置付けるかということがこの問題の端緒でもあり、中核でもあると言えます。  次に、公共の福祉の意味を検討する必要があります。ここでは、「公共の福祉」に関する伝統的な議論を踏まえて、近時の「違憲審査基準」を議論することになると思います。具体的には「二重の基準論」を展開して、その上で、経済的自由権の制約の際に妥当するとされている「二分論」まで言及する必要があると思います。そして、最後に消極規制の場合と積極規制の場合の具体例をそれぞれ一例ずつ挙げればよいと思います。ただ、原稿用紙10枚という分量はかなりのものですので、以上の内容に加えて、更に財産権を「公共の福祉」によって制約した場合に、私有財産に対していかなる補償をすべきかという29条3項の問題も論じるべきかと思います。  そこで、この問題に答えるために論じなければならない重要な論点としては 1、「財産権の保障」の意味 2、「公共の福祉」の意味 3、二重の基準論 4、二分論 5、具体例 6、3項の「正当な補償」の意味  という感じで書いて行けばいいのではないかと思います。なお、回答の中に出てくる「制度的保障」、「二重の基準論」、「二分論」などは憲法学習の上で有名ですので敢えて内容の説明は省きました。今回のような難しい問題を考えるためにはこれらは専門知識として理解していることが前提です(必要ならばまた改めて回答させて頂きます)。    以下に各論点をもう少し丁寧めにまとめました。 1、「財産権の保障」の意味  1項にいう「財産権の保障」とは、客観的法秩序としての私有財産制度について「制度的保障」を認めたものなのか、それとも、個人の主観的権利としての財産権、すなわち、個人の有する財産権を個別的に保障する意味をも認めているのかという問題。  (1)制度的保障説  (2)財産権説  (3)併存説  (4)判例(最判昭62・4・22、森林法違憲判決)     ↑まさに♯1のkeikei184さんのおっしゃっている判例です。 2、「公共の福祉」の意味  そもそも人権を制約する根拠としての「公共の福祉」とはどのような性質のものなのかを論じます。  (1)一元的外在制約説  (2)内在・外在二元的制約説  (3)一元的内在制約説  (4)判例(最判昭41・10・26、全逓東京中郵事件)       (最判昭47・11・22、小売市場適正配置合憲判決)       (最判昭50・ 4・30、薬局距離制限違憲判決) 3、二重の基準論  上の各判例の違憲審査基準として具体的な代表例がこの「二重の基準論」です。 これは学説上も広く支持されているので反対説などを書くのではなく内容やその必要性を拾って書くとよいでしょう。  (1)それぞれを分けて判断する必要性、精神的自由権優越の根拠  (2)精神的自由権への規制に対する基準「厳格な基準」  (3)経済的自由権への規制に対する基準「合理性の基準」 4、二分論  上の説明で、経済的自由権への規制に対する基準として登場した「合理性の基準」は、更に二つに分けて用いるべきとする理論で、その内容と必要性を書くとよいでしょう。  (1)自由国家的公共の福祉と社会国家的公共の福祉の存在  (2)警察目的による消極的規制とその合憲性判定基準  (3)社会経済政策の手段としての積極的規制とその合憲性判定基準 5、具体例  これまでに挙げた判例以外に、それぞれの制約毎に具体例を挙げます。  (1)警察目的による消極的規制     許可制:(風俗営業・飲食業・貸金業等)     届出制:(理容業等)     資格制:(医師・薬剤師・弁護士等)  (2)社会経済政策の手段としての積極的規制     特許制:(電気・ガス・鉄道などの公益事業)     国家独占事業(郵政事業)     私的独占事業(大型スーパーの出店規制等)   6、3項の「正当な補償」の意味  最後に、全ての問題点に含まれる要件を満たして、個人の私有財産が公共の福祉の名の下に制約されるとしても、その代償としての補償をどの程度まで支払うべきかという問題が残ります。今回の問題の出題意図からはそこまで言及すべきではないかも知れませんが、原稿用紙10枚ということですので、スペースに余裕があればこの問題まで言及することで、より理解しているということが伝わるのではないかと思います。ただ、この問題をあまり厚く論じると、聞かれてもいない問題を力説しているとして逆に理解していないと思われてしまう虞もありますので、本当に余裕があれば軽く触れる程度でよいと思います。  29条3項にいう「正当な補償」とはどのような意味か、いかなる補償をが「正当な補償」といえるのかという問題です。  (1)完全補償説  (2)相当補償説  (3)折衷説  (4)判例(最判昭28・12・23、農地改革事件判決)       (最判昭48・10・18、土地収用法における補償の価格)  以上です。また何か疑問などがあれば補足して下さい。では頑張って下さい。

209belon
質問者

お礼

助かりました。本当にありがとうございました。

その他の回答 (2)

  • minojun
  • ベストアンサー率50% (32/63)
回答No.2

はじめまして、minojunと申します。 間違ってたらごめんなさい、209belonさんはひょっとして資格試験などのお勉強をされているのでしょうか? と言いますのは、ご質問の問題って昭和38年度の司法試験の問題とそっくりなもので(笑)。  ご質問はこの問題の答えをお知りになりたいのか(それなら大まかな答案構成を書きます)、それともこの問題が何を聞いているのかということで多少補足してもらえるとありがたいと思うのですが・・・。

209belon
質問者

補足

実を申しますところ私、「憲法」という講義を大学で履修しておりましてそのレポートの課題の一部をご質問させてもらっているものです。因みに原稿用紙10枚くらい書くことになっています。アウトラインを教えていただいております。 >この問題が何を聞いているのか・・・なのですが私にも教授の考えている意図が読めずわからずに苦戦しているところです。お力を貸してください。よろしくお願いします。

  • keikei184
  • ベストアンサー率51% (165/322)
回答No.1

 憲法29条1項では私有財産制の保障が謳われています。しかし、同時にこの原則は同条2項により、法律の制約を受けることも規定されています。財産権の保障は絶対ではなく、各人が国家に属する以上、一定の要件の元にその権利を制限される場合がある旨述べています。財産権は、権利として当然に存在する内在的制約はもちろん、福祉国家実現の要請から、社会的・国家的な政策的規制にも服することになります。  具体的にどのような規制が公共の福祉として許されるかですが、これを争った有名な判決として、森林法186条に関わる昭和62年判決があります(最大判昭和62・4・22)。森林法186条は「森林の共有者は、民法第256条1項の規定に拘わらず、その共有に係る分割を請求することができない」と定めていましたが、裁判所はこれを、財産権を不当に侵害するものとして違憲無効の判断を下しました。  財産権が制約されるとしても、どのような要件の元で制約が許されるのか、厳格に判断する必要があると言えます。

関連するQ&A

  • 財産権の制限について

       日本国憲法は、「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」として、公共の福祉のために財産権が制限されることがありうると述べている。どのような場合がこれにあてはまると考えられるか。具体例を1つ書きなさい。    という社会の宿題なんですが、さっぱり分かりません。教えてください。

  • 財産区について

    特別地方公共団体で、財産区の事なんですが、この財産区の存在意義ってなんでしょう? もちろん地方自治法や解説書等は見たのですが、今一ピンときません。 具体的にどういったものが財産区になるのでしょうか(具体例などを教えてください) それと財産区にするメリットも教えてください。 念のため、解説書などに書いてある文章そのままというのはご遠慮ください。 既にいくつかを読んだ上で質問させてもらっていますので。

  • 財産上の損害の発生について

    形式的個別財産説、実質的個別財産説、法益関係的錯誤の理論それぞれの違いがよくわかりません。具体的な例でわかりやすく説明していただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。

  • 知的財産

    理系の院生です。 知的財産という仕事に興味があります。 知的財産の具体的な仕事内容を教えて下さい。 メーカーで知的財産の職に就いたら、英語を使う機会が多いのでしょうか? また、転勤は多いのでしょうか? 詳しい回答よろしくお願いいたします。

  • 財産引受け

    会社法の財産引受けの具体例を教えて下さいm(__)m

  • 自由、権利と公共の福祉の関係

    公民の授業で「自由、権利と公共の福祉の関係について具体例をあげてレポートを書くという宿題が出たのですがどのようなことを書けばいいのでしょうか?教えてください!!

  • 地方自治法の「普通財産」

    下記のとおりに理解しているのですが、地方自治法の「普通財産」につき、イメージ的につかめません。 これについて、具体的にやさしく教えてもらえませんでしょうか。 記 ※公有財産: 都道府県や市長村等の地方公共団体が所有している財産全般。 例えば、土地建物等の不動産や航空機、船舶または特許権等。 「行政財産」と「普通財産」に分類される。 ※行政財産: 公有財産の中で、直接に公の目的のために使用されている財産。 具体例として、庁舎や学校、図書館、公民館、市民会館、公園等 これらは、原則として、売却、交換したり、貸付けたりすることができない。 目的を妨げない程度なら使用できる。 ※普通財産: 行政財産以外の財産で、所有している土地や建物を貸付けたり、売却したりして、公共団体の経済的価値を高めている財産。

  • 財産開示請求について

    祖父がなくなり、親戚間で財産分与の事で揉めてます。 私の母は亡くなっているので、私達兄弟は財産分与には関係ないと思っていたのですが、 法的には相続の権利があるようで・・・ 私は財産なんて要らないのですが、叔母が私達兄弟に財産開示請求の訴えを起こすと言ってきました。 具体的にどのような事をしないといけないのでしょうか? 回答宜しくお願いします。

  • 財産区

    地方自治法の財産区というのは具体的にはどんなのがあって、なにをしているのでしょうか? よろしくお願いします。

  • 憲法29条と公共の福祉について

    憲法29条は「公共の福祉」の範囲内での財産権の保障を定めているが、これは経済的自由を考える上で何を意味するのか。 上記について説明して頂きたいのですが、例えば、具体的にどうゆうことなのか、ということも含めて説明してくださると理解しやすいのでとても助かります。 よろしくお願いします。