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遷移金属のbohr磁子数の解釈

3d遷移金属のbohr磁子が整数値をとらない理由として4sを遍歴していて、状態密度を考えるとき平均をとるためとの一般的な説明がありますが、もう少しスッキリした説明はないのでしょうか?

質問者が選んだベストアンサー

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  • kenojisan
  • ベストアンサー率59% (117/196)
回答No.1

その一般的説明はかなり簡潔なんで、むしろすっきりし過ぎている気がするぐらいで(笑)質問者さんは、どこらあたりが、すっきりとしないのか分からないのですが、もう少し詳しく説明してみます。 酸化物や希土類系の磁性体では、磁気モーメントの大きさを測定すると原子当たりの値がボーア磁子のほぼ整数倍となり、磁性原子に属している電子の配置を考えれば、その合成スピンで説明がつきます。このような磁性体は、磁性原子にはっきりと所属している(局在している)電子が、磁気モーメントを発生しているので「局在系磁性体」と呼ばれます。 一方、質問者さんが書かれているように、金属系磁性体の代表格であるFe,Co,Niのような3d遷移金属磁性体を調べると、その磁気モーメントの原子当たりの大きさは、どうしてもボーア磁子の整数倍からかけ離れており、前記のような局在モデルでは説明出来ません。そこで、詳しく調べてみると、どうも磁気モーメントの発生に寄与している電子は、一つの原子に完全には所属せずに、原子間を有る程度動き回っている(遍歴電子)ようなのです。Fe,Co,Niの場合で言うと、3d電子が狭いバンドを形成して(つまり、動きの悪い遍歴電子)、局在系のように整数スピンのカウントが出来ないのです。 おそらく、磁性の教科書では、この二つのモデルを、「局在系」では電子スピンの合成で、「遍歴系」ではバンドモデルを使って説明されると思いますが、同じ磁気モーメントの発生メカニズムの説明なのに、あまりにも話が違い過ぎますよね? 当然、磁性研究者もそう感じており。この二つのモデルを統一的に説明出来るようなすっきりとした理論モデルをいろいろと試行錯誤してきているのですが、残念ながら未だに決定的な綺麗なモデルは作られておらず、遍歴性の強い物質にはバンドモデルを、局在性の強い物質には局在モデルを、という都合の良い使い分けをしているのが現状です。 従って、実は質問者さんが教科書などで読まれているのは、非常にすっきりとしているかのごことき説明で、現実は逆にすっきりとしていないのが実情です(笑)

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