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混成軌道について
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電子式がわかれば混成の状態はある程度わかります。 結合を作るにせよ、作らないにせよ、基本となるのは電子対の反発です。 たとえば、メタンの炭素とアンモニアの窒素を比較してみて下さい。 前者は4組の結合電子対を持っており、後者は3組の結合電子対と1組の孤立電子対を持っています。 すなわち、「電子対の合計」を考えれば両者とも4組になります。 4組の電子対が空間的に最も離れることができるのはsp3混成になる場合です。 したがって、両方ともsp3混成となります。 乱暴な言い方をすれば、そもそも、結合電子対も孤立電子対も似たようなものであり、その先の原子核(ここではH)の有無だけの違いということになります。 これまた乱暴な言い方ですが、分子などの形状は主として電子配置によって決まるものであり、原子核は電荷を中和しているに過ぎないともいえます。 それに対して、BF3のBには3組の結合電子対があり、孤立電子対はありません(すなわち2p空軌道があることになります)。この場合には、3組の電子対の反発が最小になるような混成軌道であるsp2混成になります。 すなわち、sp3になることによって、空軌道(あるいは存在しない電子)のために無用な空間を確保するよりも、その空間を「有効利用」したsp2混成軌道となった方が安定になるわけです。 BCl2では、同様の理由(結合電子対2組、孤立電子対なし)でsp混成になります。 まとめますと、結合電子対と孤立電子対の合計が4ならsp3、3ならsp2、2ならspということです。 なお、二重結合や三重結合の場合には1対の原子間のσ結合は1本だけであり、それ以外のπ結合は上述の考えから除外して下さい。 たとえばアセチレンでは、2本のπ結合の分を除外すると、結合電子対(σ結合分)2組ということになり、sp混成ということになります。1対の原子間の電子対は1組だけということになります。混成軌道となるのはσ結合のみであることを考えれば当然とも言えます。 なお、d軌道の関与する混成は除外してあります。 また、芳香族性や共鳴などが関与する場合には例外もあります。
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話がややこしくなってきましたので、単純にまとめてしまいます。 結合電子対にしろ、孤立電子対にしろ、「電子対が4組あれば正四面体型(sp3)が安定で、3組であれば平面状(sp2)が安定」ということです。 電子の入っていない軌道は混成には使われませんし、原子がなくても電子対があれば(すなわち孤立電子対でも)混成に使われます。 sp3、sp2というのは、それぞれ4組および3組の電子対の反発が最小になる(すなわち空間的に最も離れる)形の混成なのです。
お礼
わかりました!説明ありがとうございました。
- DexMachina
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No.3です。 > sp2の残ったp軌道がそれだけ大きな影響力をもっているということなのですか。 ある意味ではそういえます。 つまり、sp2混成の3つの軌道に対して、混成していない残りのp軌道は、3つのsp2混成軌道全てに対して90°になっているため、軌道間の距離が短くなっているので、p軌道に電子が入るかどうかが、大きく影響することになるのです。 (「p軌道が特別」ということではなく、「p軌道が他の軌道となす角度が、特別小さい」(120°⇔90°)ということです)
お礼
説明ありがとうございました!混成軌道について、理解することが出来てすっきりしました。
- DexMachina
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横レス失礼します。補足です。 > sp3混成軌道よりも、p軌道の方が空間的に場所をとらないということなのですか。 sp,sp2,sp3の各混成軌道がなす角度(→結合角)は、それぞれ sp(→直線型)=180° sp2(→正三角形型)=120° sp3(→正四面体型)=109° になります。(ちなみに、p軌道同士の角度は90°) この角度が小さいほど軌道同士が近づくので、その中の電子の反発力の強さは、 sp混成軌道2つ < sp2混成軌道(全部で3つ)の2つ < sp3混成軌道(全部で4つ)の2つ という順序になります。 従って、BF3のように電子対が3組の場合は、sp2混成の軌道3つに入った方が、全ての電子対の角度が120°を取れるので、sp3になって109°になるよりも反発が小さくなります。 一方、NH3のように電子対が4組(結合電子対3、孤立電子対1)の場合、もしsp2になってしまうと、残ったp軌道にも電子が入ります。すると、sp2軌道同士は120°でも、sp2軌道とp軌道の角度は90°になってしまい、かえって反発が大きくなるので、sp3混成軌道となって109°(→実際のNH3は若干異なりますが)になった方が有利になります。
お礼
説明ありがとうございます!ちょっと疑問に思ったことがあったので質問してよいでしょうか。 >NH3のように電子対が4組(結合電子対3、孤立電子対1)の場合、もしsp2になってしまうと、残ったp軌道にも電子が入ります。すると、sp2軌道同士は120°でも、sp2軌道とp軌道の角度は90°になってしまい、かえって反発が大きくなるので、sp3混成軌道となって109°(→実際のNH3は若干異なりますが)になった方が有利になります。 sp2の残ったp軌道が、それを考えない場合ではsp3軌道よりも電子の反発が弱いsp2軌道の安定性を崩し、sp3軌道より不安定にするというのは、sp2の残ったp軌道がそれだけ大きな影響力をもっているということなのですか。p軌道に入った1つの電子がその他のsp2軌道と相互作用して、電子間の反発を強めると考えても良いのですか。教えてください。お願いします。
補足です。 BF3が、sp3になったとすると正四面体構造の1つの頂点方向に電子のない空間ができてしまいます。 そうすると、残りの空間に残りの3組の電子対が押し込められることになり、電子対の反発が大きくなります。 したがって、sp3混成となって空軌道のための無用な空間を確保するよりも、その空間を有効利用できるsp2混成になった方が、電子が遠ざかることができて反発が小さくなるという意味です。 p軌道が空間を取らないというよりも、p軌道は存在しないと考えて下さい。 電子の入っていない軌道というのは、概念としては存在しても、それに対応する電子がありませんので、電子の反発を考える際には存在しないと考えるのが妥当です。 混成に使われないp軌道は無視して下さい。
お礼
なるほど。混成軌道について理解が深まりました。丁寧な説明ありがとうございます!
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