Solid NMRについての理解と縦緩和と横緩和

このQ&Aのポイント
  • Solid NMRはゼーマン相互作用、dipole-dipole相互作用、anisotopic 相互作用があり、幅広いピークが生じる。
  • ハイレゾリューションの測定にはcross polarization や Magic angle spininngが使われる。
  • 固体NMRでは縦緩和と横緩和が考慮され、その時間測定によって詳細な情報が得られる。
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solid NMR 緩和時間 T1 T2に関して

Solid NMRに関して質問です。 以下の私の理解があっているか確認をお願いできますか? Solid NMRは Liquid NMRに対して、ゼーマン相互作用、dipole-dipole相互作用、anisotopic 相互作用があるため、幅広いNMRのピークになってしまう。 そこで、cross polarization や Magic angle spininng を応用し、幅狭いピークを得る。 上記の理解が間違っていましたら指摘願います。 縦緩和と横緩和も固体NMRでは考慮すべきなようですが、それはなぜですか? その時間を測定することの利点、そしてその測定時間により何がわかるのでしょうか? お忙しい所申し訳ございませんが、どなたか教えて頂けますと大変助かります。

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「Solid NMRは Liquid NMRに対して、ゼーマン相互作用、dipole-dipole相互作用、anisotopic 相互作用があるため、幅広いNMRのピークになってしまう。」  ↓ 「Liquid-state NMRでは、dipole-dipole相互作用やchemical shift anisotropyなどのanisotropic 相互作用が溶液中の速い分子運動により平均化されるため、幅の狭いNMRピークが得られる。それに対してsolid-state NMR では、これらのanisotropic 相互作用が平均化されずに残るため、幅広いNMRのピークになってしまう。」 ・ゼーマン相互作用は、固体NMRでも溶液NMRでも同じようにあります。 ・双極子-双極子相互作用は、溶液NMRにおける緩和の主な原因となります。ですので、「固体にはあるが液体にはない」と言ってしまうと、誤解のもとになります。 ・dipole-dipole相互作用は anisotropic 相互作用のひとつです。異方的な相互作用は他にもいくつかありますけど、C-13 NMR では、化学シフトの異方性と双極子-双極子相互作用が、線幅を増大する主な原因になります。 「そこで、cross polarization や Magic angle spininng を応用し、幅狭いピークを得る。」  ↓ 「そこで、high-power decoupling や magic angle spinning を適用し、幅の狭いピークを得る。」 ・交差分極は、幅の狭いピークを得るためではなく、測定時間を短縮するために使います。 ・溶液のC-13 NMR では、プロトンとのJ結合を切るために、プロトンの共鳴周波数のラジオ波を試料に照射しながらNMRを測定します。これを(広帯域)プロトンデカップリングといいます(単にプロトンデカップリングということも多いです)。固体のC-13 NMR では、J結合よりもずっと強いプロトンとの双極子-双極子相互作用を切るために、溶液NMRのときよりもずっと強いラジオ波を照射します。これを高出力デカップリング(または双極子デカップリング)といいます。 「縦緩和と横緩和も固体NMRでは考慮すべきなようですが、それはなぜですか?」  ↓ 解釈1「固体NMR装置が使える環境にあるのなら、スペクトル測定だけではなく縦緩和時間測定と横緩和時間測定も行ったほうがいいようですが、それはなぜですか?」  あるいは 解釈2「固体NMRスペクトルを測定する際には縦緩和と横緩和のことをしっかりと考えておかないと測定に失敗することが多いようですが、それはなぜですか?」 どちらにせよ、そんなことないです。 1:溶液NMRでも緩和時間測定はできますけど、測定する必要がなければ、ふつうは測定しません。固体NMRでもそれは同じです。あえていうなら、溶液NMRスペクトルと比べると固体NMRスペクトルから得られる結果はショボいことが多いので、少しでも多くの結果を出したいがために緩和時間測定も試してみる、ということかもしれません。 2:溶液NMRでも、それなりに緩和のことを考えておかないと測定に失敗しますから、緩和について考慮しなければならないのは、固体NMRに限ったことではないです。そして、固体の測定でも、溶液のときと同じくらいの気遣いで十分なことが多いです。ただし、固体試料では、縦緩和時間が溶液と比べるとべらぼうに長くなることが多いので、CPが使えないときは注意が必要です。 > その時間を測定することの利点、そしてその測定時間により何がわかるのでしょうか? 溶液のときと同じです。適当な緩和機構を仮定して測定結果を解析すると、分子運動の運動モードやその速さ、プロトン(あるいは重水素)の交換反応の速度、常磁性体であれば電子スピンの揺らぐ速さ、などがわかります。

chimiemarina
質問者

お礼

本当に分かりやすい回答ありがとうございます。フランスで勉強しているのですが、授業がフランス語で理解が難しいので自分で勉強しているところなので、本当に助かりました。 今から、 TchとT1pHに関して勉強するので、その点に関して また質問させて頂くと思うのでよろしくお願い申し上げます。

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