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有限長ソレノイドコイルの磁場解析

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回答No.3

式(1)の出し方を書いておきます(ANo.1では最後の ] が抜けていましたので以下に訂正します)。    dH = dI*r^2/[ 2*{ r^2 + ( x- x0 )^2 }^(3/2) ] --- (1) この式に線要素 ds が入っていないのは、円コイルとして円周上ですでに積分した結果だからです。 最終的な磁界の式の導出も書いておきます。以下の計算法を理解すれば、どんな形状のコイルでも、中心軸上だけでなく任意の場所の磁界も計算可能です(解析的に積分できるとは限りませんが)。 【円コイルの中心軸上の磁界】       x       ↑        ・ P ( x, 0, 0 )       │      O└───→ y      / φ\    /      ・  z         Q ( 0, r*cosφ, r*sinφ )  xyz空間のyz平面上に半径 r のコイルがあって、その中心が原点 O にあるとします。そのコイル上の点を Q としたとき、ベクトルOQ_ とz軸とのなす角を φ とすれば、点Qの座標は上図のようになります。ここで円周に沿って、φ の増分方向に電流が流れているとします。点Qを始点として、その電流の方向に沿った微小ベクトル(線要素)を ds_ とすれば、それは円周の接線なので、その成分は    ds_ = ( 0, -ds*sinφ, ds*cosφ ) であらわされます。ここで ds はベクトル ds_ の大きさで    ds = r*dφ --- (2) です。 ベクトル ds_ の方向に流れる電流が作る磁界 dH_ は、ビオ・サバールの法則 [1] により    dH= = I*ds_×QP_/( 4*π*QP^3 ) --- (3) で表わされます。I は電流の大きさです。ベクトル QP_ の成分は、点P, Q の座標から    QP_ = ( x, -r*cosφ, -r*sinφ ) なので、ベクトル積 ds_×QP_ の成分は    ds_×QP_ = ( r*ds, -x*ds*cosφ , x*ds*sinφ ) --- (4) となります [2]。QP_ の長さ QP は    QP = √( r^2 + x^2 ) --- (5) なので、点P での磁界成分は、式(2), (4), (5) を式(3)に代入すれば    dHx = I*r^2*dφ/{ 4*π*( r^2 + x^2 )^(3/2) }    dHy = -I*x*r*cosφ*dφ/{ 4*π*( r^2 + x^2 )^(3/2) } --- (6)    dHz = I*x*r*sinφ*dφ/{ 4*π*( r^2 + x^2 )^(3/2) } 円コイル全体が点Pで作る磁界の成分は式(6)をφ = 0 から 2*π まで積分したものですが、コイル電流が一様のときは    Hx =∫[φ = 0 ~ 2*π] I*r^2*dφ/{ 4*π*( r^2 + x^2 )^(3/2) } = I*r^2*/{ 2*( r^2 + x^2 )^(3/2) }    Hy = Hz = 0 となって、z方向成分だけが残ります。 円コイルが x = x0 の位置にある場合は x → x - x0 で置き換えればいいので    H = I*r^2*/[ 2*{ r^2 + ( x - x0 )^2 }^(3/2) ] --- (7) となります。これが、半径 r の円コイルに電流 I を流したときのコイル中心から距離 x - x0 での磁界の大きさです。 【内径2a、外径2b、長さ2Lの多層コイルが作る磁界】 式(7)は多層コイルの一部の単コイルが作る磁界なので、これを r = a ~ b、x0 = 0 ~ 2*L に渡って積分すれば、多層コイル全体が作る磁界 H になります。コイル電流 I は全体の電流 N*I の一部なので、単コイル当りの電流を dI と書けば    H = ∫[ r = a ~ b ] dr ∫[ x0 = 0 ~ 2*L ] dI*r^2*/[ 2*{ r^2 + ( x - x0 )^2 }^(3/2) ] dx0 ここで、 x - x0 = r*tanθ とおけば(この θ は∠OPQ になります)    x0 = x - r*tanθ --- (8)     r^2 + ( x - x0 )^2 = r^2*{ 1 + ( tanθ )^2 } = r^2/( cosθ )^2 なので式(8)より    dx0 = - r*( tanθ )' = -r*dθ/( cosθ )^2 です( 動かしているのは x0 ですから点Pの位置 x はx0とは無関係な定数とみなせます。θは x0 の関数です)。積分範囲 x0 = 0 ~ 2*L は θ = arctan(x/r) ~ arctan{ ( x - 2*L )/r } になるので    H = ∫[ r = a ~ b ] dr ∫[ θ = arctan(x/r) ~ arctan{ ( x - 2*L )/r } ] 〔-dI/2*cosθ〕 dθ     = -dI/2*∫[ r = a ~ b ] 〔 sin[ arctan{ ( x - 2*L )/r } ] - sin{ arctan(x/r) } 〕 dr さらにここで、θ1 = arctan{ ( x - 2*L )/r } とおけば、tan(θ1) = ( x - 2*L )/r なので    sin(θ1) = ( x - 2*L )/√{ r^2 + ( x - 2*L )^2 } → sin[ arctan{ ( x - 2*L )/r } = ( x - 2*L )/√{ r^2 + ( x - 2*L )^2 } 同様に、θ2 = arctan( x/r ) とおけば、tan(θ2) = x/r なので    sin(θ2) = x/√( r^2 +x^2 ) → sin{ arctan( x/r ) } = x/√( r^2 +x^2 ) したがって    H = -dI/2*∫[ r = a ~ b ] [ ( x - 2*L )/√{ r^2 + ( x - 2*L )^2 } - x/√( r^2 +x^2 ) ] dr      = dI/2*∫[ r = a ~ b ] [ x/√( r^2 +x^2 ) - ( x - 2*L )/√{ r^2 + ( x - 2*L )^2 } ] dr --- (8) 式(8)の積分の第一項において、r + √( r^2 +x^2 ) = s とおけば     r = ( s^2 - x^2 )/( 2*s ) なので    dr = ( s^2 + x^2 )*ds/( 2*s^2 ) 一方、積分範囲は s = a + √( a^2 +x^2 ) ~ b + √( b^2 +x^2 ) さらに √( r^2 +x^2 ) = ( s^2 + x^2 )/( 2*s ) なので    ∫[ r = a ~ b] x/√( r^2 +x^2 ) dr = ∫[ s = a + √( a^2 +x^2 ) ~ b + √( b^2 +x^2 )] x/s ds                          = x*ln[ { b + √( b^2 +x^2 ) }/{ a + √( a^2 +x^2 ) } ] --- (9) 式(8)の積分の第二項は、第一項の x を x - 2*L に置き換えたものなので    ∫[ r = a ~ b] ( x - 2*L )/√{ r^2 + ( x - 2*L )^2 } dr = ( x - 2*L )*ln〔[ b + √{ b^2 +( x - 2*L )^2 } ]/[ a + √{ a^2 + ( x - 2*L )^2 ) } ] 〕 --- (10) したがって式(9), (10)を式(8)に代入すれば    H = dI/2*【 x*ln[ { b + √( b^2 +x^2 ) }/{ a + √( a^2 +x^2 ) } ] - ( x - 2*L )*ln〔[ b + √{ b^2 +( x - 2*L )^2 } ]/[ a + √{ a^2 + ( x - 2*L )^2 ) } ] 〕 】 残る dI ですが、これは、コイルの中心軸で切ったときのコイルの断面積全体に渡って積分したときに、N*I になるので    dI*2*L*( b- a ) = N*I → dI = N*I/{ 2*L*( b- a ) } よって    H = N*I/{ 4*L*( b- a ) }*【 x*ln[ { b + √( b^2 +x^2 ) }/{ a + √( a^2 +x^2 ) } ] - ( x - 2*L )*ln〔[ b + √{ b^2 +( x - 2*L )^2 } ]/[ a + √{ a^2 + ( x - 2*L )^2 ) } ] 〕 】 N = 2*L*( b- a )/d^2 だから    H = I/( 2*d^2 )*【 x*ln[ { b + √( b^2 +x^2 ) }/{ a + √( a^2 +x^2 ) } ] - ( x - 2*L )*ln〔 [ b + √{ b^2 +( x - 2*L )^2 } ]/[ a + √{ a^2 + ( x - 2*L )^2 ) } ] 〕 】 [1] ビオ・サバールの法則 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%82%AA%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87 [2] ベクトル積 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%B9%E7%A9%8D

colonelnic
質問者

お礼

丁寧な解答をありがとうございます。 どうやら計算間違いをしていたようです。 すべて納得がいきました。 ありがとうございました。

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