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ゼノンのパラドックス克服法

asterの回答

  • aster
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回答No.7

  立体を、薄い平面に切って分割して行っても、数学的な幾何学の空間でも、現実の物質の世界でも、この薄い分割された平面は、「分割を限りなく大きくして行けば」、「厚さが限りなくゼロに近づく」のであって、厚さがゼロになるのではないのです。 100万に分割すれば、一つの厚さは100万分の一になりますが、この分割部分を、100万個積み重ねると元の立体に戻るのです。100兆に分割だと、100兆集めると、元に戻ります。 現実の世界で、立体の形の物質を薄く輪切りに出来るでしょうが、削り屑も元に戻すとすると、どんなに薄く輪切りにしても、厚さゼロになって、集めても元に戻らないなどということはありません。第一、現実の物体は、そんな、100万兆だとかに分割できるのか、という疑問があります。 物体は原子で出来ていますから、原子の大きさより小さく分割すると、分割自身ができないか、または、元の物質ではなくなります。原子核の直径よりも小さいところまで分割することはできるのか、という疑問も出てきます。 微分は、Δf(t)/Δt が、Δtが「限りなくゼロに近づくとき」の、ΔtとΔf(t)の「比」が、一定の値に近づくというものです。他方、Δtが0の時が、「或る瞬間」の矢ということなのです。「瞬間」には幅があるのかどうか、つかり、「瞬間点」というものが、時間にはあるのか、という哲学的な問いが、ゼノンのパラドックスなのです。 ΔtとΔf(t)の比が、速度だというのは、Δtが「限りなくゼロに近づき」、かつ、ΔtとΔf(t)の比が、一定の数に近づく場合です。微分では、Δtが0になっては計算ができません。Δtが0の場合が「時間の瞬間点」で、この瞬間の場合を問題にしているのが、「矢の不動」のパラドックスなのです。 「時間の瞬間点」というのは、どうもおかしい。「運動」というのは、現在・過去・未来のあいだで連関し合って成立しているもので、運動する物体の瞬間点での位置というのは、考えるとパラドックスになるというのが、「矢の不動」の意味するところです。 アキレウスと亀のパラドックスでも、これこそ、微分の話に近く、現実の世界の経験的事実では、アキレウスは亀を追い抜くのですが、「追い抜く瞬間」の時間点というものを考えると、その瞬間時間点へと限りなく近づいて行っても、亀は、限りなく小さくなって行く距離分だけ、アキレウスの前にいるという話なのです。 時間は無限に分割でき、最小の単位はないとすると、おかしなことが出てくるので、古代インドの思想では、時間の最小単位を考えました。つかり、或る瞬間と或る瞬間は「飛躍」で結ばれていて、この飛躍の時間が、最小単位になるので、漢語で、この飛躍時間単位のことを、「刹那」と言います。 古代インドの思想には、時間の最小単位があったのですが、ニュートンに始まる古典力学は、空間や時間の無限の細かさまでの「連続性・一様性」を仮定し、「微分可能」という仮定で、「瞬間速度」を、df(t)/dt で表現したので、これは、数学的な近似モデルとして非常に精密で有効なのです。 (微分可能というのは、「微分可能空間」という特別な数学的なモデル空間で、この世界の空間は、「微分可能空間」だとモデルで考えたということなのです)。 しかし、現実の世界の時間や空間は、限りなく一様にどこまで分割可能なものではないと、考えないとおかしい、ということが、最近は、物理学の理論でも、予測されるようになったということです。 立体が、厚さのない平面が、「無限」に集まって出来ているというのは、無限集合論では、そうとも云えますが、(平面と立体の「無限濃度」は同じだからです)、しかし、「体積」とか「面積」というような、「量次元」を考えると、そういうナンセンスなことにはならないのです。  

tess
質問者

お礼

大変分かりやすい回答ありがとうございました。おかげでレポート提出ができそうです。哲学的要素が大きいとは思いませんでした。

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