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貯留施設の特徴とその限界

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  • mayutaro
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回答No.2

水資源開発には次の3つの方法があると考えます。 1)ダムからの補給 2)他の河川からの導水 3)水利権の転用(例えば農業用水を上水に転用する) ちなみに、森林整備でダムの役割を果たそうとする、民主党の「緑のダム構想」は、科学的根拠があまりにも希薄です。科学的に見ると、森林はダムの代わりには到底なりえません。 さて、ひとつ目の質問、貯留施設(ダム)による水資源開発の特質ですが、ダムには水を貯める機能とその水を下流に補給する機能があります。ダムへの流入量が多く、利水補給の対象となる河川の流量が十分にある場合には、流入量>放流量となり、ダムへ水を貯めることができます。その貯めた水を利水補給の対象となる河川の流量が不十分な時にダムから放流して河川から水を取水できるようにするのがダムによる水資源開発です。 では、その他の水資源開発方法に目を向けてみます。2)の導水ですが、有名なのが利根川の水を荒川に導水している武蔵水路です。ただし、武蔵水路による水資源の水源は全てダムに頼っています。つまり、理論的にはダムに頼らない単独の導水計画もあり得ますが、現実的には、導水の水源のためにダムが必要になります。3)の水利権の転用ですが、最近、農業用水が余ってきていることが指摘されています。その農業用水を水道用水に転用できれば、最も安価な水資源開発と言え、注目すべき方法と考えます。ただし、この方法を採用するには利水者間の調整が非常に難しく、実現した例はほとんどないのが現状です。 したがって、ダムが最もその機能を十分に発揮できる確実で現実的な水資源開発の方法であると言えます。 一方、ダムによる悪影響を列記してみます。 1)ダムを建設するには莫大な費用がかかります。  ダム建設には、ダム本体だけではなく、工事用道路や水没する道路の付け替えなど道路工事にもかなりの費用がかかります。また、用地買収費もかなりの額になります。 2)水没による住民移転が伴います。  多くの場合、水没によって、生活の場を失う住民が出てきます。その住民にとって大問題であることはもちろん、地元自治体にとっても産業構造が変わるなどの影響があり、ダムができるということは、そこに住む人にとって、非常にインパクトの強い出来事になります。 3)自然環境が変化します。  もともと川だったところが湖になるわけですから、自然環境が激変すると言っても過言でないでしょう。 このように、ダムは最も確実かつ現実的な水資源開発方法ですが、悪影響も見落とせません。したがって、ダムを建設するかどうかを判断するには、悪影響の的確な予測と水資源開発の必要性の見極めが非常に重要になります。 長くなりましたが、ふたつ目の質問に移ります。後発の水資源開発ほどダム建設は不利となる理由です。ダムの貯水容量を開発水量で割った値を開発効率と言います。後発のダムほど開発効率が大きくなる、すなわち、同じ開発水量を生み出すのに必要な貯水容量が大きくなり、したがって、ダム建設費も高くなるというのは事実です。それは何故か? 最初の質問で説明したとおり、ダムからの水の補給は、河川の流量が少ない時に行います。ダムのない状態の河川の流量は、ダムがある場合に比べて、大きく変化しますから、先発ダムの補給は「穴埋め」のような感じで行います。ダムが増えてくると河川の流量変化が小さくなりますから、流量を増加させようとするダムからの補給は「上乗せ」のような感じになります。つまり、「穴埋め」よりも「上乗せ」の方がより多くの水量が必要になるというのが理由です。

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