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「僕」と「わたし」

kzsIVの回答

  • kzsIV
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回答No.10

江戸・東京の夫婦間の呼び方はこの150年間に、おおむね次のように変化してきました。    夫                妻 おれ─────てめえ     あたし─────おまえ  ↓                ↓ おれ─────おまえ     あたし─────おまえさん  ↓                ↓ ぼく─────きみ      わたし─────あなた もともと上下の身分での呼び方からきていますので、男尊女卑の感は否めません。代名詞だけでなく。文体全体にも、男女差が意識されるようになるのは、1890年ころからです。 1950年ころ、小学校で、級友と話すときには、男児は僕・君、女児はわた(く)し・あなた と指導されていたようです(当時の小学国語辞典による) 1980年ころの小学国語辞典では、「ぼく=対等・目下に言う」「きみ=親しい言い方」「おまえ=ぞんざいな言い方」「きさま=卑しめて言う」そして「おれ」の記述はなし。 私は幼いころにも「おれ」「おまえ」という言い方はしませんでした。「おれ・おまえ」は今でも「けんかことば」だと思っています。級友とは「ぼく・きみ」で通しましたが、女子の級友とは話す機会も少なかったので覚えていません。おそらく「です・ます体」を使ったと思います。 代名詞の使い方で、男の級友は3グループに分かれていたようです。 1「おれ・おまえ」を使う。   2「ぼく・きみ」を使う。1が2と話すときは2にあわせます。したがって1のグループがどれほどいるか2にはわかりません。 3「わたし・(苗字+さん)」を使う。1人だけでした。この友にはたいていの級友が「ぼく・(苗字)+さん」で応対しました。 さて、裏通りの長屋のせがれも表通りの「おたな」の息子も「おれ・おまえ」を正し、「ぼく・きみ」を使い、「わたし・あなた」に慣れて社会に育ってゆく。 というぐあいには、なかなかすすまない。「ぼく・きみ」ですら言いにくいのに、「わたし・あなた」などと。  パパ・ママ から おとうさん・おかあさん になかなか進めず、結局は「おやじ」「おふくろ」へ。  おにいちゃん・おねえちゃん といっていたのを おにいさん・おねえさん と呼び変えるのが恥ずかしく、結局「あにき」「あねき」と悪童ぶる。 それにも似た気持ちでしょうか。  「ぼく・きみ」は長州の奇兵隊で出身身分の上下にかかわりなく、兵士に対等に使わせたのが始めだという説があります。 しかし「ぼく・きみ」は未だに対等か対等以下の男子専用の語とされています。これに対する「わたし・あなた」は対等か対等以上の男女共用の語とされています。そうなると男が「ぼく・きみ」を使い、女性が「わたし・あなた」を使うと、その会話の場では、おのずと女性は男と対等以下であり、かつ男は女性と対等以上ということになります。  男女同席の場で安易に「ぼく・きみ」を使う方、ある日突然「なあ、君。君は一体何が言いたいんだね」と同僚女性社員に言われて、ひっくり返らないように注意してください。  それでも、言葉の性差は少しずつ解消しているようです。「女性語」を研究するために、マーカーを選び集計していったところ、2年もしたらマーカーを選びなおさねばならなくなった、という話があります。つまり「女性語」だったのを男性も使うようになったのです。男性も、オネエ言葉などと馬鹿にせず、言語表現の自由を広げましょう。 最後に、少女コミックに登場する「おれ」「ぼく」というヒロインたちを紹介しましょう。 沖倉律子『脱走行進曲』1985、『ケンカ友だち』1990所収 集英社  高校1年の吉田美加、独白「おれはこの街(まち)がキライだ!」とともに登場する出だしは圧巻です。不良少女ではない。それでいて「オレ」がサマになってる。この種の少女としてはピカ一。 くらもちふさこ『いろはにこんぺいと』1982- 長崎君子は小学1年。わき役として登場。「おれ魚きらい。」などと言う。最後の1ページに中1になった君子。将来が期待される。吉野美加に並ぶ「おれと呼ぶ少女」の双璧となるでしょう。」 あいざわ遥『ガラス色のボーイ』1991-  高1の小早川那智は、成績優秀、スポーツ万能。 椎名あゆみ『無敵のヴィーナス』1991-  松下楓(中2) 高橋亮子『つらいぜ! ボクちゃん』1974-  田島望(高2)、 いずれも「男言葉」を駆使することによって、精神の自立を勝ち得た少女たちの物語です。BFとの対話も対等ゆえスムーズで、よくある「もうタメグチはやめよう」といったあとの、女が男についてゆく式の不自然さはありません。

awayuki_china
質問者

お礼

ご丁寧に教えていただき誠にありがとうございます。由来はわかるようになりました。いろいろとても参考になりました。

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