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銅の製法の質問です。原料である黄銅鉱を溶鉱炉でコー

銅の製法の質問です。原料である黄銅鉱を溶鉱炉でコークス、石灰石と加熱すると、硫化銅になりますが、 化学式で表すと、4CuFeS2+9O2→2Cu2S+Fe2O3+6SO2 となり、コークスと石灰石 の化学式が出てきませんが、コークスと石灰石の役割は何ですか? また、化学反応式に出てくる、酸素の役割は何ですか?

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  • kagakusuki
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回答No.1

>原料である黄銅鉱を溶鉱炉でコークス、石灰石と加熱すると、硫化銅になりますが、  それだけでは足りません。コークスと石灰石の他にもケイ砂(主成分はSiO2)も必要です。 >化学式で表すと、4CuFeS2+9O2→2Cu2S+Fe2O3+6SO2 >となり、コークスと石灰石 の化学式が出てきませんが >また、化学反応式に出てくる、酸素の役割は何ですか?  それは溶鉱炉に投入する前の前処理段階を行うための焙焼炉等の中で起きている反応で、焙焼炉等では石灰石は反応に関わっていませんし、コークスも投入されていない場合もあります。  原料である黄銅鉱はいきなり溶鉱炉に投入される訳ではありません。  黄銅鉱は自然に生じたものなのですから、純粋なCuFeS2ではなく様々な不純物を含んでいて、CuFeS2の結晶粒子とその他の成分の粒子が混在しており、1つの黄銅鉱の塊の中にもCuFeS2の含有量が高い部分もあれば低い部分もあります。  そこで黄銅鉱の塊を粉砕して粉末状にする事でCuFeS2の結晶粒子とその他の成分の粒子をバラバラに離し、浮遊選鉱法等の何らかの手法を用いて主にCuFeS2の結晶粒子からなる粉末を得ます。  次に、そうしてCuFeS2が濃縮された黄銅鉱を焙焼炉に投入し、空気を吹き込みながら加熱します。  すると空気中の酸素で鉄分が酸化され、酸化鉄(III)になります。 4CuFeS2+9O2→2Cu2S+2Fe2O3+6SO2  この時、黄銅鉱の中に不純物として含まれていたヒ素(As)やアンチモン(Sb)が揮発しますので、これらの不純物を除去する事が出来ます。  こうして硫化銅(I)と酸化鉄(III)を主成分とする粉末が出来上がります。  しかしこのままではまだ硫化銅(I)と酸化鉄(III)が混ざり合っていて、銅だけを取り出す事が出来ませんから、分離が容易になる液体の状態にするために溶鉱炉などで融かす必要がある訳ですが、溶鉱炉は下から上に向かって熱風を吹き込むという仕組みになっているため、投入する原料が粉末のままでは都合が悪く、風に吹き飛ばされ難く、積み上げた際に風が通り抜けるための隙間が出来る小ぶりな塊にする必要があります。  そこで炉に投入する材料を塊にする「塊成」と呼ばれる工程が行われます。  塊成には、黄銅鉱を焙焼した粉末に石灰石の粉末とケイ砂、それに水を加えて混ぜ合わせてから、型に入れて常温で押し固めて団子状にする「団鉱法」と、粉砕された黄銅鉱に石灰石のとケイ砂を加えて混ぜ合わせてから、高温で焼き固めて塊とする「焼結法」があります。  尚、焼結法を用いる場合には焙焼炉を使わずに、焼結炉で加熱する際の高温で鉄分を酸化させると共に、ヒ素やアンチモンを揮発させる事で、焙焼工程の代わりとする場合もあります。  この塊をコークスなどと共に溶鉱炉の頂部から投入すると、コークスが不完全燃焼する事で一酸化炭素が発生し、一酸化炭素は酸化鉄(III)を還元して酸化鉄(II)に変えます。 2C+O2→2CO 2Fe2O3+2CO→4FeO+2CO2  それと並行して、コークスの燃焼熱によって高温となっている炉内において石灰石の主成分である炭酸カルシウムが熱分解し、酸化カルシウムと二酸化炭素となります。 CaCO3→CaO+CO2  酸化カルシウムは強い塩基性の酸化物ですので、ケイ砂の主成分であり酸性酸化物でもある二酸化ケイ素と結びついてケイ酸カルシウムとなります。 2CaO+SiO2→Ca2O4Si  こうして二酸化ケイ素とケイ酸カルシウムの混合物が生じ、混合物というものは一般的に純物質よりも低い温度で融解して液体になる性質があるため、ケイ酸カルシウムが生じた事によって二酸化ケイ素の融点が低くなり、炉内の高温で融けて液体の二酸化ケイ素となります。  この石灰石の様に、他の材料の融点を下げるために加えられるものの事を「融剤(flux)」と言います。  こうして液体となった二酸化ケイ素の一部は、前述の酸化鉄(II)と結びついてメタケイ酸鉄(II)になり、生じたメタケイ酸鉄(II)は液体二酸化ケイ素の中に溶解します。 FeO+SiO2→FeSiO3  尚、黄銅鉱の中にはCuFeS2以外の鉱物も含まれており、溶鉱炉に投入される「焙焼された黄銅鉱」の中には、浮遊選鉱法でも除去し切れなかった不要な鉱物粒子が含まれているのですが、その大部分はケイ酸塩鉱物や、焙焼の際に塩基性酸化物に変化したものですので、酸化鉄(II)の場合と同様に液体二酸化ケイ素の中に溶解します。  こうして不純物を溶かし込んだ液体二酸化ケイ素は、同じく炉内の高温で融解して液体となった硫化銅(I)との比重の違いによって、液体硫化銅(I)の上に浮かび上がる事で分離します。  前述しました様に、メタケイ酸鉄(II)やその他の不純物は液体二酸化ケイ素の中に溶け込んでいますから、液体二酸化ケイ素が液体硫化銅(I)と分離する事によって、メタケイ酸鉄(II)やその他の不純物は硫化銅(I)の中から取り除かれます。  この上の方の層に浮かんでいるメタケイ酸鉄(II)をはじめとする不純物やケイ酸カルシウムが混じった液体二酸化ケイ素をスラグとして炉外に排出し、残った液体硫化銅(I)を取り出して冷却すれば、硫化銅から成る銅鈹(マット)が得られる訳です。  尚、上記の化学反応の一部は吸熱反応であり、加えて投入した材料が融解する際にも熱が吸収されるため、炉内を加熱し続けていなくては、炉内の温度が低下して製錬し続ける事が出来なくなります。  そこで炉内でコークスを燃やした際の燃焼熱や、黄銅鉱に含まれていた硫黄分の一部が酸化する際の酸化熱によって、炉内の温度を保っています。  つまり、コークスは酸化鉄(III)を還元する還元剤であると共に、炉を稼働させるための燃料でもある訳です。 【参考URL】  銅 - Wikipedia > 6.1 製錬   https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8A%85#.E8.A3.BD.E9.8C.AC  冶金の曙 > 関連情報 > 銅製錬   http://www.geocities.jp/e_kamasai/kanren.html  産業技術史資料情報センター > かはく技術史大系(技術の系統化調査報告書) 分野別全文PDF > V.金属 関連 > 01 「銅精錬技術の系統化調査」 酒匂 幸男 第6集 2006 > 本文(PDF)を見る   http://sts.kahaku.go.jp/diversity/document/system/pdf/020.pdf   ※上記URLのページのpdfファイルの11ページ目にある「4.3 溶錬」の項を参照のこと  スラグ - Wikipedia   https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%B0  融剤 - Wikipedia   https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%9E%8D%E5%89%A4

moke430
質問者

お礼

丁寧なご説明をいただき本当に感謝します。 所々 難しくて理解できない所がありましたが、 全体像をつかむことができました。 誰も答えてもらえないのではないかと不安でしてので答えていただき嬉しいです。 本当にありがとうございます。

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