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守秘義務
Yorkminsterの回答
- Yorkminster
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守秘義務を契約しなくても、信義則(信義誠実の原則)に基づいて守秘義務が認められる場合はあります。従って、その場合に秘密を漏らせば、損害賠償を請求できる可能性はあります。 問題は3つ。 1つ目は、何が守秘義務の対象かはっきりとしないので、実際に裁判をして、裁判所が「それは信義則に照らして秘密にすべき事柄だ」と判断してくれない限り、相手の責任を問うことができません。従って、「これと、これを秘密とする」と契約すること自体に意味があります。そうすれば、秘密を破ったこと自体が契約違反として直ちに、確実に責任を問えます。 2つ目は、あくまで損害賠償を請求できるに止まるので、「どうやら相手が勝手に秘密をバラまきそうだ」と思っても基本的に打つ手がありません。契約で守秘義務を課している場合は、この契約上の義務を被保全利益として仮処分により相手の行為を差止められる可能性があります。 ちなみに、不正競争防止法上の営業秘密に当たる場合は差止請求が認められますが、営業秘密というためには秘密管理性が要求されるので、守秘義務を課さずに相手方に開示した情報はもはや営業秘密と認められない可能性が高いです。この意味でも、「これは秘密情報だ」と明示する必要があります。 蛇足ながら、従って、法律は基本的に「保護してほしいなら秘密にする努力をしろ」と言っている訳で、守秘義務も課さずにベラベラ喋っておきながら、あとで「それは信義則上の秘密だ」と文句を言うことは想定していません。信義則というのは「日本中の法律を隅から隅までひっくり返しても書いてないけど、誰がどう考えても不正義な場合」を救済する安全装置です。裁判で信義則を主張して勝てることは、まずないと思った方が良いです。 3つ目に、発明やノウハウはいったん世間に公開されてしまうと実質的な価値がなくなるので(公開された発明は特許にならない)、回復できない重大な損失を被る可能性が高いです。すなわち、損害の事後的な填補である損害賠償では不十分なので、最初から損害の発生を防ぐために、明示的に守秘義務を課しておくことが必要なのです。
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