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自由エネルギーについて

ヘルムホルツの自由エネルギーの物理的意義は何でしょうか。どうして、ギブズの自由エネルギーがあるのに、このような物理量を考えるのでしょうか。両者の違いが分かるように回答していただけると幸いです。

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■ 物理的意義 ヘルムホルツの自由エネルギーは、化学熱力学と統計力学の橋渡しをするのに使われます。 熱力学第二法則に深いかかわりを持つ熱力学量には、エントロピー S, ヘルムホルツの自由エネルギー A, ギブズの自由エネルギー G があります。これらのうちで統計力学的にもっとも計算しやすいのが、ヘルムホルツの自由エネルギー A です。  A(T,V,N) = -NkTlnZ(T,V,N) ..... (1) ただし、k はボルツマン定数、T は温度、V は体積、N は粒子数、Z(T,V,N) は分配関数です。 エントロピー S も、統計力学を使うと内部エネルギー U と体積 Vと粒子数 N の関数として  S(U,V,N) = klnW(U,V,N) ..... (2) のように計算できるのですけど、U,V,N の関数として場合の数 W(U,V,N) を数え上げるのは、手のつけられないほど難しいことが多いです。ですので、W(U,V,N) が簡単に計算できるいくつかの例を除けば、式(2)を使って S を計算することは、ほとんどありません。S は式(1)で求めた A(T,V,N) から  S = -∂A(T,V,N)/∂T と計算されます。 ギブズの自由エネルギー G を、AやSを経由しないで統計力学的に求める方法というのは、もしかしたら上級の教科書には載っているのかもしれませんけど、ふつうの統計力学の教科書には載ってないです。G を求めるには、まず式(1)で求めた A(T,V,N) から圧力 P を  P = -∂A(T,V,N)/∂V と求めた後で  G = A + PV とします。あるいは、可能であれば PV の項を省略して G≒F と近似します。この辺りの事情は、エンタルピー H を計算するのが面倒くさいので H≒U と近似するとか、定圧熱容量 Cp を計算するのが面倒くさいので定積熱容量 Cv でこれを近似するとか、と似ています。 化学熱力学では、U, Cv, A よりも H, Cp, G の方が重要な物理量ですけど、統計力学では H, Cp, G よりも U, Cv, A の方が簡単に計算できるので、さしつかえがなければ、このような近似をして計算の手間を減らすことが多いです。 ■ 両者の違い A と G では、自然な変数が違います。 A の自然な変数は T, V, N です。つまり、T, V, N の関数として A が分かっていれば、U,H,G,S,P,μ,Cv,Cp,... などの他のすべての熱力学量を関数 A(T,V,N) から求めることができます。 G の自然な変数は T, P, N です。つまり、T, P, N の関数として G が分かっていれば、U,H,A,S,V,μ,Cv,Cp,... などの他のすべての熱力学量を関数 G(T,P,N) から求めることができます。 T, P, N は A の自然な変数ではないので、かりに T, P, N の関数として A が分かっていたとしても、例えば S を A(T,P,N) から求めることはできません。化学熱力学では、T, V を変数にとるよりも T, P を変数にとることの方が圧倒的に多いので、A(T,V,N) よりも G(T,P,N) の出番の方が圧倒的に多くなります。

NRTHDK
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