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クーパー対について
超伝導状態の物質で、クーパー対というものができると本で読んだのですが、 疑問が解消されないので質問させてください。 クーパー対は運動量がkと-kの電子の対だそうですが、 超伝導状態の物質で電流が流れるということは、この電子対が 移動しているということですよね? 運動量がkと-kの対ということは、この 二つの電子は正反対の向きに運動しているということになり、 トータルで考えると電流は流れないような気がするのですが、 私はなにか勘違いをしているのでしょうか?? それとも、運動量がkと-kだからといって電子の運動する向きが 逆かどうかはわからないということでしょうか。 よろしくお願いします。
- jyape2
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電荷保存則により、相転移前後での自由電子の数は不変です。 これとBCS近似により、超電導状態のときの状態密度Ns(E)=N(0) Re{E/√(E^2-Δ(E)^2)}が導かれます。エネルギーEはフェルミエネルギーを0としたもの、N(0)は常伝導状態のときのフェルミエネルギーのときの状態密度です。(フェルミエネルギーとギャップエネルギーΔ(E)のスケールが違うため、N(0)としている。) エネルギーギャップが開く際、ギャップエネルギーの上下に状態密度が集中します。 結果的に、自由電子の状態数も保存されます。 クーパー対は、フェルミ粒子である自由電子が相互作用したフォノン媒介のボーズ粒子です。ギャップ近傍の上部と下部にある自由電子が対をなすというイメージです。対をなしたり離れたりするので、自由電子がフェルミ粒子⇔ボーズ粒子の間を行き来します。超伝導では、対をなしていない自由電子を準粒子と呼び、自由電子=2×クーパー対+準粒子のようなイメージです。対をなしたあとは速やかに準粒子に戻る必要があるので、準粒子の状態数は自由電子全体の状態数と同じである必要があります。
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- アウストラロ ピテクス(@ngkdddjkk)
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すみません、もう一個。 >結果的に、自由電子の状態数も保存されます。 これはBCS近似を行っているので、厳密ではありませんが成り立ちます。
- アウストラロ ピテクス(@ngkdddjkk)
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すみません、混乱させてしまうので、補足です。 >超電導状態のときの状態密度Ns(E)=N(0) Re{E/√(E^2-Δ(E)^2)} これは準粒子の状態密度です。
- アウストラロ ピテクス(@ngkdddjkk)
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そうです。 3次元の固体中の自由電子の状態密度は、エネルギーの1/2乗に比例します。これにフェルミ分布関数をかけたものが実際の電子が存在するエネルギー帯を表します。ここで、超伝導は十分低温でみられるので、電子の存在できるエネルギーはほぼフェルミエネルギーまでです。 クーパー対は、このフェルミエネルギー近傍に開いた狭いエネルギーギャップの中にある電子のみがなすものであるので、自由電子全体で考えたらごく一部になります。
お礼
詳しいご回答をいただき、ありがとうございます。 おっしゃっている意味は、このような理解であってますでしょうか?つまり・・↓ 「超伝導になる温度での自由電子の数は、それ以上の温度のときよりも少ない ↓ 超伝導状態の時にわずかにフェルミ面から出ている電子がそれ同士で クーパー対を作っているから、常温の時の自由電子の数に比べたら数はとても少ない」 ということでよろしいのでしょうか。 それとも、超伝導状態でもクーパー対になってない電子が自由電子のうち 結構な数いるということですか? 長々としつこく質問してしまいすみません。 ご回答をいただければ幸いです。 どうぞよろしくお願いいたします。
- アウストラロ ピテクス(@ngkdddjkk)
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クーパー対は、2つの互いに逆向きに走ってきた電子が、数psほどの僅かな時間相互作用を及ぼしあう現象です。 クーパー対を形成した後、走り去った電子はその先でまた別の電子と対を成していきます。 ですので、見かけ上クーパー対の重心が移動しているように見えるのです。 (電子の数は10^23個といった莫大な数ですので、ほぼ連続的に対をなします。)
お礼
お礼が大変遅くなり、すみません! 詳しく教えてくださってありがとうございます! 瞬間的に形成される電子の対、ということなのですね。 運動の向きが逆なので、対のはずなのにどんどん 離れていくという解釈になり違和感を覚えておりました。 クーパー対の数は、その物質中の自由電子数のうちのごく一部 だとも聞いたことがあるのですが、そうなのですか? (質問を重ねてしまってすみません)
- kendosanko
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二体問題と同じで、重心の運動量はある。 あなたが言っているのは、クーパー対の相対運動の話。
お礼
そうなんですか! 相対運動の話なんですね?! 疑問がすっきりしました! ありがとうございます!
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