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民話の年越しについて

大変つまらないことを聞いているのかも知れませんが… 最近民話が気になってよく読むのですが、笠地蔵とか年末の客とか、年末にあることをした結果、正月に福を得る、というパターンの民話は結構多いように思います。民話も研究するといろいろ構造的に分析できるようですが、このパターンの民話に共通する何か寓意というか、隠された意味のようなものがあるのでしょうか。 それともやはり、単に正月はもの要りだから、ということに過ぎないのでしょうか。 下らないことかも知れませんが、下らないなら下らないと知りたいもので、どなたか詳しい方宜しくお願いします。

noname#9289
noname#9289

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  • neil_2112
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回答No.3

民俗社会では確かに年越しにかけて福がもたらされる、という民話がたくさんあります。 一番よく説明に出されるのは、#2のご回答にもあるように異人(マレビト)の来訪です。折口信夫の論考に代表されますが、正月など境界的な時期に人々を祝福するために訪れてくる異人、つまり来訪神の存在が古代日本には広く信じられており、人々はこの異人を歓待することを通じて福徳を得ていたことがこういう民話の素地になっている、というわけです。 実際に、「神を迎える」といって大歳の夜に火を焚く習俗は日本各地に今も残っています。大歳の夜の食事を特別視したり儀式化する風習もあります。こういう場合はむしろ「歳神」と呼ばれるのが多いと思いますが、いずれの場合も年が改まる際に家に神々を迎え入れ、丁重に扱うことで福をもたらしてもらおうとする信仰があると解釈されます。 この視点に立てば、「大歳の客」はこの「異人・歳神」信仰そのままだということになるでしょうし、笠地蔵のほうはその上に地蔵菩薩という仏教的な脚色が施された民話だ、ということになるでしょう。 ただ、これらの民話には別の解釈もされていないわけではありません。 特に大歳の客やその変奏である大歳の火など、異人の死と金という要素が強いことから、この民話の背景に、異人(この場合は神ではなく、ムラの外から訪れる遊行僧や旅の巡礼など)殺しと金品の強奪というモチーフを読み取る論考もされています。 これは小松和彦「異人論」で展開される論理ですが、異人の排除(死)によって金品がもたらされた、という記憶が歴史的に変形されたり、ある家の突然の隆盛がムラ人の集合的意識の中で伝説的に語られたりする中でこのようなパターンの民話が生まれるのではないか、と説明するものです。この場合は、上に述べた「歳神」の来訪に引き寄せられるようにして年末の出来事として語られるのだ、ということになるでしょう。 またさらに、「年越しにおけるケガレの逆転」といった解釈もされています(新谷尚紀の論考など)。 ケガレは両義的で微妙な概念です。普通は忌み嫌われるものですが、これが適切に祓われ処理された場合には、価値が逆転して福徳に転じるとする感覚がある、とするのです。 一方の異人そのものが「福徳と災厄」どちらの面も有した両義的で不安定な存在でもあります。ムラ人は、年末にあたりその両義的な異人に自分たちのケガレを託すことで、災厄をはらい、価値を転換して福徳がもたらされると考えたというわけで、これはちょうど厄年の人が厄払いのために大勢の人に餅や金品、ご馳走をふるまう心性がよりはっきりとした形で表されているのが、こういった民話なのだ、ということになります。 年越しは、古い一年が終わって新しい年が始まる、つまり一切の価値の更新が行われる時期ですから、特にこのケガレを祓うことが意識された時期であった、ということになります。 (これに関しては、特に葬送習俗の観点からも「笠地蔵」との関係も論じられますが、長くなりますのでここでは立ち入らないことにします)

noname#9289
質問者

お礼

ご回答どうもありがとうございます。 年神の来訪を中心にしつつ、しかしいろいろな解釈があるということですね。 異人の排除というのは年末との関係では少ししっくりこないところも正直あるのですが、最後の解釈はうなづけるものがあります。かえって、これが正解というものが断定できないところに民話の裾野の広さを感じました。 下らないことかと思っていましたが、また興味を広げて頂き御礼申し上げます。 ところで、 >特に葬送習俗の観点からも「笠地蔵」との関係も論じられますが と書かれているのが大変気になるのですが。 また新しい質問を立てさせてもらいたいと思いますのでその節にはよろしくお願いします。

その他の回答 (2)

  • suma21
  • ベストアンサー率19% (5/26)
回答No.2

年末は一年の区切りにあたり、異界から異人がやってくると考えられていたようです。それが、年神と考えられたりします。この異人(神、精霊)が福を授けてくれると考えられたようです。 年神もそうですし、大歳の客といわれる話も同様と考えられると思います。 異界から来るものが福を授けてくれるのは、鬼の持つうちでの小槌の例など多いようです。

noname#9289
質問者

お礼

ご回答どうもありがとうございました。 「大歳の客」ですね、間違って書いていました。お恥ずかしい。 福を授ける異人が年の区切りにやってくる、ということですね。大変勉強になりました。

noname#118466
noname#118466
回答No.1

ほとんどの民話は「昔むかしあるところにおじいさんとおばあさんがいました」というような語り口で、ある事件を語り、その中に人としてしてはいけないことや、進んでするべきことを教えています。これは読み書きの出来ない庶民に仏教の教えを民話の形を借りて教えたものと思われます。因果応報とか情けは人のためならず、といってもピンと来ない庶民に民話の中で、助け合いの精神や思いやりが結局は巡り巡つて自分の幸せにつながることを教えているのでしょう。 年末や正月との関係はよく分かりませんが、おそらく仏教渡来前からの生活習慣に年末は身辺を整理整頓して新しい年を迎える習慣があったのでしょう。昔は寒くて食料も不十分な冬を乗り切ることは大変なことだったので、自然に 年越しの行事が生まれたものと思われます。現在でも北米の先住民などは年数を冬で数える習慣があります。「たくさんの冬が過ぎた」とはいっても「たくさんの春が過ぎた」とは言わないようです。

noname#9289
質問者

お礼

ご回答どうもありがとうございました。

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