TMRの原理に関する質問
- TMR(或いはGMR)の原理は、強磁性体を絶縁体で挟んでそのスピン平行のときにはON状態で反平行のときにはOFF状態である
- TMRはパウリの原理の性質を利用していると考えられる
- 強磁性体に用いる材質はHOMO準位に常に一つ以上の空きがあるものに限られる
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TMRの原理に関する質問
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20041101/zu2.html TMRの原理について教えて下さい。 TMR(或いはGMR)の原理は上記のページにあるように、強磁性体を絶縁体で挟んでそのスピン平行のときにはON状態で反平行のときにはOFF状態である、というものですが、なぜこのようなことになるのでしょうか? また、同じくパウリの原理では、電子を下の準位から埋めていったときに、HOMO準位でスピンが平行になった方が安定であるというような性質と 同じスピンは同じ準位を占有することが出来ないという2つの性質がありますが、 TMRは前者の方の性質を利用していると考えて良いのでしょうか? とすると、強磁性体に用いる材質はHOMO準位に常に一つ以上の空きがあるもの(f軌道だとするとf電子が4個以下の物質)に限られることになると思うのですが、合っていますでしょうか? f軌道の場合でf電子が5個以上の物質をTMRに用いた場合には、 スピン平行のときにはOFF状態で反平行のときにはON状態と、 上記のサイトとは逆になると思うのですが、どうなのでしょうか?
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TMRとは、磁性金属の間に絶縁障壁を挟んでトンネル効果を利用し、両金属の磁化の向きで大きな抵抗差を付ける効果です。従って、質問者が考えているような、電子軌道に電子を付与する現象ではありません。 まず、金属なので孤立した電子準位では無くて、バンド構造で考えます。トンネル現象では、電子のトンネル確率は、障壁を挟んだ両金属のフェルミ面付近の電子状態密度の積にほぼ比例します。 磁性金属の場合、一般的にはフェルミ面近傍では、磁化方向にスピンが向いた電子(マジョリティスピン電子)の状態密度D(up)が、磁化と逆方向を向いたスピンを持つ電子(マイノリティスピン電子)の状態密度D(down )より十分に大きくなります。ここでは、例えば両側の磁性金属が同じ物質で、D(up)=9、D(down)=1としましょう。 また、TMR現象に寄与する伝導は、トンネル時にスピン方向を変えないので、試料の磁場方向に対し、同じ向きのスピンを持つ電子のバンド間でしかトンネルは起こりません。 まず、両側金属A,Bの磁化方向が揃っている場合を考えます。A,B金属共にマジョリティスピンは磁場方向を向いたupスピンで、マイノリティスピンはdownスピンとなります。従って、金属Aのマジョリティスピン電子は金属Bのマジョリティスピン電子バンドへ、マイノリティスピン電子はマイノリティスピン電子バンドへトンネルしますから、トンネル確率=導電率は、9x9+1x1=82となります。 次に、金属Aの磁化が磁場方向を向いているが、金属Bは工夫をして磁場方向とは逆に向けておきます。この場合、磁場に対して金属Aのマジョリティスピンはupスピンですが、金属Bのマジョリティスピンはdownスピンとなってしまいます。従って、トンネルは、金属Aのマジョリティスピン電子が金属Bのマイノリティスピン電子バンドへ、金属Aのマイノリティスピン電子は金属Bのマジョリティスピン電子バンドへトンネルすることになり、全トンネル確率=伝導率は、9x1+1x9=18となり、先に述べた金属A,Bの磁化が平行の場合より伝導率が圧倒的に小さくなります。 TMRとは、このような磁場に依存した大きなトンネル抵抗の差を利用した効果なのです。
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