• ベストアンサー

古典 ぬ(打ち消し)+なり ってできるの?

kimosabeの回答

  • kimosabe
  • ベストアンサー率59% (137/230)
回答No.2

長文の回答でごめんなさい。 断定の助動詞「なり」は、体言および連体形に接続します。連体形にはいくつかの働きがありますが、その中の一つに「準体法」があります。   川の流るるを見る。 の「流るる」は連体形ですが、これは連体形だけで「流れること」といった体言相当の意味を表しています。こんな連体形の働きが「準体法」です。連体形だけで体言相当ですから、当然その下に断定に助動詞「なり」はくっつくことができるわけです。 さて、「ぬめり」です。古典作品から実例を挙げながら回答します。 「ぬなり」は、 (1)打消しの助動詞「ず」の連体形+断定の助動詞「なり」 (2)完了の助動詞「ぬ」の終止形+伝聞・推定の助動詞「なり」 の二つがあります。どちらが多いかはなんとも言えませんが、両者とも相当数存在します。 1、夢にも人にも逢は[未]ぬなりけり(伊勢物語・九) 2、み船も行か[未]ぬなり。(土佐日記) 3、また聞けば、侍従の大納言の御むすめなくなり給ひ[用]ぬなり。(更級日記) 4、皆人は花の衣になり[用]ぬなり(古今和歌集) 打消しの助動詞「ず」は未然形接続で、完了の助動詞「ぬ」は連用形接続です。したがって、1と2は明らかに未然形の下ですから(1)に該当し、3と4は明らかに連用形の下ですから(2)に該当します。このように、「ぬなり」の上にある動詞が四段、カ変、サ変、ナ変、ラ変動詞ならば、「ぬなり」の識別も簡単です。 5、明けぬなり。(源氏物語) 6、過ぎぬなり。(更級日記) 7、御覽じ出だされぬなり。(徒然草・二三八) 5の「明け」は下二段動詞、6の「過ぎ」は上二段動詞、7の「れ」は助動詞「る」ですから形の上からは未然形なのか連用形なのか判断できません。したがって(1)か(2)かの判断も難しくなります。こんなときは前後の文脈を見て、(1)(2)どちらの解釈が自然かを考えてください(聴覚に関わるものがあるかも含めて)。 5′鐘の声かすかにひびきて、明けぬなりと聞こゆるほどに、 6′聞けば、かたはらなる所に、さきをふ車とまりて、「おぎの葉、おぎの葉」と呼ばすれど、答へざなり。呼びわづらひて、笛をいとおか しく吹き澄まして、過ぎぬなり。……おぎの葉の答ふるまでも吹きよ らでたゞに過ぎぬる笛の音ぞ憂き 7′ただ今御所にて、紫の朱うばふことを悪むといふ文を御覧ぜられたき事ありて、御本を御覧ずれども、御覧じ出だされぬなり。 5′は(2)です。 (時を告げる)鐘の音がかすかに響いてきて、「夜が明けてしまったようだ」と聞こえる時に。 といった解釈が自然で、「まだ夜は明けないのだ」は不自然です。 6′も(2)です。 (外の様子を)聞いていると、隣の家に先払い付きの車が止まって、「おぎの葉、おぎの葉」と(女の名を)呼ばせるけれど、(女は)答えないようだ。(男はそれ以上)呼びかねて、笛をとても上手に吹き響かせて通り過ぎてしまったようだ。…(中略)…おぎの葉が答えるまで吹き続け言い寄りもしないですぐに通り過ぎてしまった笛の音の(男のほうが)気にくわない。 「通り過ぎないのだ」では、あとの和歌に続きません。 7′は(1)です。 ただ今御所で(帝が)「紫の朱うばふことを悪む」という文章を御覧になりたいことがあって、ご本を御覧になった(=お探しになった)けれど、お見つけになることができなかったのだ。 「ご本をお探しになったけれど、お見つけになった」は不自然です。 ちなみに、「ざんなり」「ざなり」「(ざるなり)」の「なり」は伝聞・推定の助動詞と相場が決まっています。 以上です。

marries
質問者

お礼

読みごたえのある回答をありがとうございます; 大変参考になりました^^

関連するQ&A

  • 古典の助動詞についてです

    助動詞の「なり」についてなのですが、 終止形に接続(ラ変型→連体形 ) →推定・伝聞 連体形に接続→断定 ラ変型の「なり」→推定・伝聞 形容動詞型の「なり」→断定 このように習ったのですが、ラ変型の「なり」の場合連体形に接続し、それは断定を表しますが、ラ変型の「なり」は推定・伝聞のはずではずなのになぜ、連体形に接続するラ変型の「なり」は断定なのでしょうか?

  • 【古典】撥音便「ざ(ん)なり」について

    こんにちは。 助動詞撥音便は 「ず」「たり」「なり(断定)」「べし」「まじ」に 「なり(伝聞・推定)」「めり」がくっついたときになりえますよね? 「ざんなり」 についてですが、伝聞推定のなりは終止形接続ですよね? しかし「ず」の終止形にあたる「ざる」は存在しないことになっています どう解釈したらよいのでしょうか?

  • 古典文法 「なり」の識別

    古典の文法問題をやっています。わからないことがありました。教えてください。 ( )内の語を適当な活用形に直せ。 心に任す( まじ )なり。 「なり」 は 終止形接続の伝聞・推量の「なり」と 連体形、体言接続の断定の「なり」と二つ考えられると思います。 もし、この「なり」が終止形接続の伝聞・推量の「なり」ならば(まじ)→(まじかる)に、連体形、体言接続の断定の「なり」ならば(まじ)→(まじき)になるのかなと思うのですがどっちなのでしょう?どのようにして判断したらよいのでしょうか?文脈ですか? それともうひとつ質問なんですが、この問題の場合 連体形、体言接続の断定の「なり」だったら(まじかる)ではなくて(まじき)になるのは知っているのですが どうしてなんでしょう? お願いします。

  • 「思へるなり」の「なり」は?

    完了の助動詞「り」の連体形の後に「なり」が接続して、 思へるなり といった表現になっている場合の「なり」は、ラ変型の連体形に接続しています。理論的には、断定でも伝聞推定でも構わないと思いますが、これまで見た用例だと断定ばかりだったような…考え方と用例を挙げていただければ助かります。よろしくお願い致します。

  • 早稲田 商学部 2018 古文

    伝聞推定「なり」を選ぶ問題なのですが、 ロ)言い出せるなり ニ)宿直人の皆起きぬなり という二つの選択肢まで絞れて、 ロ)を 「言い出だす」の未然形+助動詞「れ」の終止形+伝聞推定の「なり」と解釈し、 ニ)を 「起く」の未然形+助動詞「ず」の連体形+断定の「なり」と考えたのですが、解答ではどちらも僕の解釈とは違って、ニ)が正解となっていました。 僕のどこが間違っているのか教えて欲しいです。 よろしくお願いします。

  • 古典・・・・

    こんにちは。。 早速なんですが、 格助詞「に」と断定の助動詞「なり」の連用形「に」とナリ活用の連用形の語尾「に」 この3つの「に」の区別がつきません。 どうすればいいんでしょうか?? たとえば、上下の語を見て見分けようとしても格助詞「に」と断定の「に」はどちらとも体言(連体形)に接続するので見分けられません。。文脈で見分けるしかないのでしょうか?

  • 古文

    問・この人々の深き心ざしは、この海にも劣ら(  )べし。 (  )の中には、助動詞氏のず連体形のざるが入るようですが、 助動詞のべしは、終止形にくっつく助動詞じゃないのですか?

  • 以下の古典文章の品詞分解は正しいですか?

    「やはらぐ心は必ずつきぬべきを」(訳:必ず和らぐ思いになるほどであるから」)を品詞分解しました。 「やはらぐ」・・・ガ行四段活用動詞の連体形 「心」・・・名詞 「は」・・・係助詞 「必ず」・・・副詞 「つき」・・・カ行四段活用動詞の連用形 「ぬ」・・・完了の助動詞『ぬ』の終止形 「べき」・・・当然の助動詞『べし』の連体形 「を」・・・格助詞 これで正しいでしょうか?

  • 古典の助動詞(断定、所在、などについて)教えて

    古典の助動詞の見分け方について教えてください! なり…断定 所在 存在 つ・ぬ…完了 強意 たり・り…完了 存続 む・むず…推量 意志 なり…伝聞 推定 それぞれどうやってみわければいいのですか? 今テスト勉強をしていて困っています(+_+) 日本語に訳して考えることはできないです(*_*)

  • 古文の「ざなり」について

    古文に出てくる「ざなり」なんですが、あれの元の形って「ざるなり」ですよね? そうしたら、「ず」の連体形+「なり」なので「断定」の意味だと思うのですが、どうして「伝聞・推定」の意味になるのでしょうか? 分かる方いたら、解答よろしくお願いします。