台湾省って何ですか

質問

1：中興新村にある台湾省庁
2：現在の中華民国では、1998年以来「省」という行政区分が機能していない為、実質的には台北市が台湾の中心都市となっている。

などと、自分で調べたのですが、簡単に言えば、
中国が台湾は自分の国の領土だということで、中興新村に台湾省庁を置いた
中興新村は、大陸にあるのか、台湾にあるのか、まったく不明です。
しかし、台湾は自国を独立国だと思っているので、台湾省という呼びかたを認めていない。
なのでしょうか?

かなり雑に書いてしまいましたが、みなさま知ってることを教えてください。

回答No.1

jayooosan · ベストアンサー

台湾はもともと原住民と呼ばれる人の島、すなわち中華系ではない人の島でした。

清朝の初期の頃にはすでにかなりの漢民族というか、対岸の福建省から人が移住していました。台湾は中華思想の中では、化外の地（中華文化の外の地、文化のない土地の意味）と呼ばれていました。これは台湾の教科書にも書いてあります。

19世紀に西欧列強が清朝に手をのばしはじめ、日本も台湾に関心を示し始めると、権利を主張する意味もあり1885年に福建省から分離して台湾省を置きました。つまり清朝が台湾を省としてはっきりと位置づけました。しかし、それは清朝滅亡のたった25年前でした。その後台湾の島は日本の統治下におかれていきます。

清朝のあとに大陸では中華民国が成立すると、日本に取られた台湾省も中国のものとして意識されていきますが、不幸にも中国国内では、蒋介石率いる国民党と、毛沢東の共産党が国内で対立して戦争をしており、負けた蒋介石は中華民国の名前とともに、戦後すでに日本ではなくなった台湾省に逃げていきました。そして台北を臨時的に首都のようにします（というか日本統治下で栄えていたところに入ってきた）。
その後1949年には毛沢東が大陸側に中華人民共和国を建国します。

台湾は国としては中華民国で、逃げてくる前の台湾省それ自体に国ができたようなものでした。
（日本の誰かが沖縄に軍隊ごとおしかけて、ここは沖縄にある独立国で名前は日本だ、といったようなイメージをしてください）
中興新村は台湾島の真ん中あたりにありますが、行政の街を人工的につくり台北から首都機能を移転しようと計画したのだとおもいます。
人口の首都という概念がわかりにくいとおもいますが、例えば現在のブラジルのブラジリアも、リオデジャネイロから首都機能が移され人工的に作られた首都です。
イメージとしては、日本の官庁街の霞が関だけが、どこか地方へ遷都するようなものです。
理由は、行政の分離、安全保障上の問題など、さまざまですが、台湾での理由はよくわかりません。まあ台北よりは、中興新村のほうが内陸部なので、地上戦がまだ主流の時代に大陸からすぐには攻められないと考えたのかもしれません。
実質的には台北のほうが、台湾の中心部的な役割を担っています。

中華人民共和国（共産党の国）は台湾を台湾省と位置づけ、今でも「台湾は中国の一番大きな島です」と唱っています。

台湾（中華民国、選挙自由化までは国民党の国）は、現在台湾島・澎湖諸島、中国大陸福建省沿岸の金門島・馬祖島、南シナ海の東沙諸島および南沙諸島の太平島を実効統治しています。そして、中華民国ができた当初からの目線でいうと、それらの地域は、中国の大陸にあるべき政府が管轄する、福建省、台湾省にあたりました。そのため台湾はその区分（福建省、台湾省）を以前は使っていました。
蒋介石が生きているころは、いつか中国大陸を毛沢東から奪還し、全省をその手に取り戻すつもりだったからです。

そのために、台湾島の西海岸には軍と兵士を常に置き、高速道路も中央の安全地帯をつくらず、有事にはいつでも滑走路として使えるようにしていました。
しかし現在は、アメリカが台湾を守るという台湾関連法の後ろ盾もあり、そんな緊張感もなくなり、1998年に全中国の中の台湾省という見方を止め（凍結）、台湾（中華民国）独自の行政区分を置くようになりました。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%B0%E6%B9%BE%E3%81%AE%E8%A1%8C%E6%94%BF%E5%8C%BA%E5%88%86

つまり台湾省とは、もともと中華民国が大陸あったわけで、大陸あるべき政府からみた呼び方だったわけです。しかし戦後は逃げてきた場所になり、その島でしか力がおよばないので、中国大陸政府的な見方や呼び名をやめたわけです（凍結）。

お礼

詳しい回答ありがとうございます!!

清朝が台湾省を置く→日本が統治→蒋介石が台湾省に逃げてそして台北を臨時的に首都とする
その際に中国の大陸にあるべき政府が管轄する、福建省、台湾省にあたりました。そのため台湾はその区分（福建省、台湾省）を以前は使っていました。

と、自分なりにアブストラクトをしてみました。

いま現在は、台湾は台湾省という呼び方を凍結しているんですか？

＞つまり台湾省とは、もともと中華民国が大陸あったわけで、大陸あるべき政府からみた呼び方だったわけです。しかし戦後は逃げてきた場所になり、その島でしか力がおよばないので、中国大陸政府的な見方や呼び名をやめたわけです（凍結）。
という記述があるんですが、

wikipediaの台湾の行政区分の項目に「台湾省省轄市」があり、台湾「省」使われています、、、

一方、中国側から見れば、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%B0%E6%B9%BE%E5%95%8F%E9%A1%8C
ここから引用すると、

中華人民共和国政府は、自国が1949年に崩壊・消滅した中華民国の継承国家であり、「中国を代表する正統な国家」としての立場を中華民国から引き継いだ立場にあるとしており、そこから1945年に中華民国の領土に編入された台湾の最終帰属も、中華民国の立場を継承した中華人民共和国に継承されると主張してきた。その為、中華人民共和国は、名目的に台湾省を設置する事で自己の主張の正当化を図り、併せて蒋介石によって台湾へ移転された現在の中華民国政府のことを、「崩壊した中華民国政府（国民政府）の一部勢力が台湾を不法占領して樹立した非正統的な政府」として、その存在の正統性を否定してきた。

と、名目的に台湾のことを台湾省と言っているみたいですね。
その際、台湾省の用語の使い分けは、３さんによると、

・中国が「台湾省」と言う時は、台湾政府の実効支配領域を指しています。
・台湾自身が「台湾省」と言う場合は、台湾島のうち、直轄市（省と同格）である台北市と高雄市を除外した部分と澎湖諸島などを加えた部分を指します。

と、なるみたいです。

非常に複雑ですね。
ありがとうございます。

回答No.3

negitoro07

中国が「台湾省」と言う時は、台湾政府の実効支配領域を指しています。

台湾自身が「台湾省」と言う場合は、台湾島のうち、直轄市（省と同格）である台北市と高雄市を除外した部分と澎湖諸島などを加えた部分を指します。台北市と高雄市は、もともと台湾省に含まれていましたが、分離したのです。
ちなみに、台北は臨時首都とされていますが、実際は臨時じゃなくて、事実上の恒久的な首都です。でも、そう宣言すると、中国から台湾独立だと言われるかもしれません。かといって、わざわざ「臨時首都です」と言ってしまうと、「台湾は国じゃないのか？」「まだ、大陸反攻するつもり？」と台湾国民から非難されてしまいます。なので、政治家や政府も、この問題には触れたがりません。

そして、台湾政府の実効支配領域には、台湾省以外に福建省もあります。ただし、金門と馬祖など小さな島ばかりです。この島の名前を出して、中国政府に「ここも台湾省ですか？なんで、台湾政府の支配地域を指して、台湾省なんて言うの？」と聞けば、少し困るかもしれません。あるいは、その場に金門や馬祖の人がいなければ、「だって、そんな小さな島まで常に意識しているわけじゃない。外国だって、台湾って呼んでるでしょ。」と言うはずです。もし、金門や馬祖の人がいれば、返事に困るはずです。

さて、中興新村というのは、台湾の南投県にあります。
はっきりいって、田舎です。よく言っても、のどかな別荘地みたいなところです。
台湾省の政府や議会の建物だったもの以外は、何もありません。
昔も、台湾省の行政機構や省有企業の本社は、台北やそれ以外の各地にあったりしました。
中興新村には台湾省政府や議会の建物もありますが、そんなに多くありません。それに、台湾省は1998年だったかな、形骸化されてしまいました。省のトップは、任命制の省主席になりました。陳水扁政権の最後の2，3年は、この台湾省主席すら任命されませんでした。台湾省議会もなくなり、諮議会という小委員会になってしまいました。これも任命制です。

しかし、「日本全国」みたいな言い方をする時は、「台湾全省」なんて言ってしまう習慣が残ってます。コマーシャルで、「台湾全省のチェーン店で、一世に売り出し中」とか「バーゲンセールやってるよ」なんて時に、平気で言ってしまうんです。
でも、外国人や中国人が台湾のことを「中国台湾省」なんて言おうものなら、台湾人は「侮辱だ」と怒ります。日本の自治体が、台湾の友好都市になろう申し込んだのに、うっかり住所をこう書いたために、文書の受け取りを拒否されたという間抜けな事件もありました。
ただし、外省人の中には、「そうだよ。でも、中国は中華民国だからね。中華人民共和国じゃないよ。」と言う人もいます。「中華民国台湾省」なら、本省人でもあまり嫌な顔をしない人もいます。

お礼

詳しい解説ありがとうございます。

中国と台湾で、「台湾省」の定義の仕方が違うんですね。
僕は最初、中国側の文献を見ている最中に、台湾のことを台湾省と呼び、自国領のような扱い方をしていたので奇妙に思いました。

台湾政府の支配地域を指して、（中国政府は）台湾省て言っているところもあるんですね。

台湾人も無意識で「台湾全省」という言い方をしているのはおもしろいと思いました。

難しいですね。
日本人としては、この二国間の政治問題に口出せそうにないです。

ありがとうございます。

回答No.2

cubics

詳しい話は、No.1 さんのご回答にある通りです。
リンクが掲載されている、Wikipedia の「台湾の行政区分」の記事をお読みになれば、台湾に台湾省と福建省という行政区分が制度的には残存しているが、機能していないこと、
かつては、いわばその名目を維持するために、台湾省の首都を中興新村（台湾中部の南投県に所在）においたこと、などがおわかりかと思います。

以上は、中華人民共和国（大陸政府）とは、まったく別の行政組織です。
中華民国では、金門、馬祖地区が福建省に区分されているものの、台湾島及び、その他の島は台湾省の所属であり、実質的に現在の台湾では中央政府と省政府を別にもつ意義が少ないことから、「省」を機能停止させたということでしょう。

質問者さんの「簡単に言えば」と書かれた段落の内容は、「そうではない」ということになるでしょうね。

お礼

回答ありがとうございます。

複雑ですね。
中華人民共和国
中華民国
と扱い方が異なりますので、どうなんだろうって思っていました。

中華人民共和国サイドから「台湾省」のことを知ったので、
中華民国サイドからの「台湾省」があるのは知りませんでした。

ネット上に、この問題の記述がないように見受けられましたので
大変参考になりました。