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民事訴訟法 一部請求 伊藤真(現早稲田大学教授)

伊藤真先生(第3再訂版p187)によれば、一部請求の訴訟物は債権全部になりますが、このような考え方に立つ場合でも明示の一部請求後の残額請求訴訟においては既判力が残額請求を遮断することはない。 つまり、残額請求が認められる、としていますが、これはいかなる論理でしょうか。 伊藤先生は訴訟物の範囲と既判力の及ぶ範囲は別であって、既判力は判決で確定された事項のみと考えているのでしょうか。

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  • ベストアンサー
  • un_chan
  • ベストアンサー率60% (219/365)
回答No.4

 前訴によって,何が確定したと考えるのか,また一部請求の意味と捉え方の違いだと思います。  いわゆる否定説でも,伊藤先生の説でも,一部請求の訴訟物は債権全部であるから,裁判は債権全部に対して行われ,既判力は債権全部に及ぶということについては同じです。  しかし,否定説は,前訴による請求を,あくまで請求した範囲で原告が被告に請求権があることを確定して給付するよう求めたものと考えます。これは,明示的な一部請求をしない場合と同じです。  一方,伊藤先生の説では,明示的一部訴訟では,訴訟物は債権全体なので,請求権は,一部請求の範囲を超えて確定し,この判決について既判力があることについては否定説と同様です。  そういう意味で,伊藤説においても,訴訟物の範囲と既判力の及ぶ範囲は同じです。  しかし,一部請求では,自己の請求権の範囲内で,その一部について執行力付与を求める請求をしているので,前訴において執行力を付与されなかった部分についても,請求権自体は留保されていると考えている。つまり「一部請求」の意味を,全体について裁判した上で,当面の執行を希望する額,と捉えていると言えばよいのではないかと思います。

eulenspiegel
質問者

お礼

回答ありがとうございます。 質問自体に誤りがあり、わかりにくい質問だったと思いますが、読み取ってくれてありがとうございました。 わかりました。ありがとうございます。

その他の回答 (3)

  • kanpyou
  • ベストアンサー率25% (662/2590)
回答No.3

たとえば、BさんはAさんに殴られ、その慰謝料として1万円を請求し、認められた。 その後、なにやらムシャクシャして、さらに5万円を、あの時の慰謝料であるとした。   この立場は、「全面的肯定説」といわれるものですが、紛争解決の一回性にしても、信義則(禁反言を理由とする)によっても、到底認められるものではありません。  慰謝料を総額100万円とし、さしあたり、通院などに必要な20万円を一部請求するというような説を「制限的肯定説」といいます。 伊藤先生は、この「制限的肯定説」「明示的一部請求肯定説」に立脚されていると思われます。  判例では、支払期限の到来分(必要分)について一部認容され、残額については後訴で請求可能であったり、訴え提起当時請求可能であった(債権として存在していた)場合、後訴では請求できないようです。 その他、否定説もあります。  

eulenspiegel
質問者

お礼

回答ありがとうございました。

  • foetida
  • ベストアンサー率22% (48/217)
回答No.2

 そもそも既判力の考え方について誤解があるのではないかと思われます。既判力は後訴を遮断するのではなく、後訴において矛盾した主張判断をできなくさせるにすぎません。  伊藤先生の考え方によれば、前訴で1000万円の債権のうち500万円を一部請求し、700万円の存在が認定され、500万円全部が認容された場合において、後訴において残部500万円の請求をしても既判力によって200万円しか認容されないこととなります(300万円については審理するまでもなく不存在となり、200万円の請求しか許されません)。  これに対し、判例通説の見解によれば、後訴において残部500万円が請求されれば、ふたたびその存否が審理されることになります。前訴で全部認容されている以上は後訴の提起は信義則に反しませんし、前訴の既判力も及ばないからです。

eulenspiegel
質問者

お礼

回答ありがとうございます。 既判力について誤解していたのはご指摘のとおりです。ありがとうございます。

  • fire_bird
  • ベストアンサー率37% (72/192)
回答No.1

伊藤先生の本は読んでませんが、 (1)一部請求を明示した場合  訴訟物も、既判力も、一部に及ぶ。  残額の請求は可能。 (2)一部請求であることを明示しない場合  訴訟物が一部であっても、既判力は全部に及ぶ。  残額請求は認められない。 の違いですか? だったら普通の考え方だと思います。

eulenspiegel
質問者

お礼

回答ありがとうございます。 伊藤説は判例と異なる考え方をとっており、その理論がわからないので質問させていただきました。

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