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通貨危機について

1997年の後半にアジア通貨危機が起きました。この原因となったのはタイの通貨切り下げだと本で読みました。何故通貨切り下げをする必要があったんですか?というか切り下げってなんですか?この通貨切り下げで投機バブルが破裂し、と書いてあるんですが何がなんだかわかりません。どうか教えてください。

  • 経済
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  • ベストアンサー
  • marcy111
  • ベストアンサー率83% (35/42)
回答No.4

タイの通貨危機は大きく分けて三つの要因が考えられます。 (1) 経常収支の大幅な赤字 (2) タイの通貨体制(ドルペッグ制) (3) 海外短期資金の流入 (1) 経常収支の大幅な赤字 タイは85年~95年まで年率平均9%の経済成長を達成していました。この時日本では85年プラザ合意により1ドル260円台から88年の120円台へ下落する過程でもありました。この大幅なドル安は従来の加工貿易立国としての日本の存立を危うくするほどのものでした。日本の製造業空洞化元年といって良いと思います。輸出競争力の低下に直面した国内企業は主にアジア、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピンといった国々に生産拠点を移して行くことになります。もちろん低賃金、外資優遇策、安い生産インフラコストも重要な要因です。タイも日本を初めとするアメリカ、ヨーロッパ、台湾が競って進出し生産を始めることになり、この波にうまく乗ることができ前述の高成長を達成することができました。  しかし、タイは貯蓄率が30%もあるのに経常赤字が92年の63億ドルから95年には100億ドルの大台に乗せ、96年の146億ドルへ増大していきました。本来ならこの貯蓄率から考えれば大幅な黒字になってしかるべきなのですがそれを上回る国内の消費、投資があったことになります。  95年からの赤字拡大の要因の一つに95年に80円台をつけた超円高が終了し、97年には120円台となる円安となったことがあげられます。この結果バーツは対円や対欧州通貨に対し割高となってしまい急速に輸出競争力を失いました。それに追い討ちをかけたのが人民元の1ドル5.8元から8.7元へ切り下げです。さらにインドネシア、ベトナムが労働集約的な産業でタイを脅かす存在になったこともあげられます。また、タイ国内の賃金上昇なども挙げられます。 これらの要因により95年に前年比25%も伸びた輸出も96年にはマイナス1%になりました。 (2) タイの通貨体制(ドルペッグ制) タイは84年~97年7月までドルを中心とする通貨バスケット制をとっていましたが実質的には米ドルとリンクするペッグ(釘付け)制でした。(※この制度は海外から投資する企業にとっては現地通貨の変動を気にする事無く投資できるので魅力的です。)また、タイは国内の好景気を背景に金利が12~13%ととドルの5~6%とより高く、海外投資家は無リスクで高金利を享受できる環境にありました。 (3) 海外短期資金の流入 タイは91年4月の新外為法施行により資本取引の自由化が進み海外からの資金流入が増え、さらに93年3月BIBFと呼ばれるオフショア市場(国内金融市場に比べて規制が緩い)を創設し、海外からの資金をドルのままタイ国内企業に貸し出した。ドルを借りた企業はそのままでは国内で使えないのでドルをバーツに交換する。これがバーツ高圧力になりタイ中銀は余剰のドルをバーツを増刷してバーツ売介入を行った。その結果バーツが市場に大量に出回り過剰流動性を生んだ。この海外からの短期資金がゴルフ場建設、不動産、株式に向かいバブルが発生した。  タイはこの時点で(2)で述べたようにバーツ高による輸出競争力の低下、経常赤字の大幅増加に見舞われそれまで24~26バーツで安定的にドルと連動してきたバーツは、 15~20%割高と考えられるようになってきた。海外投機家は、だんだんこのドルペッグ制を維持することは不可能と考えるようになり96年8月から97年7月まで断続的にバーツ売を仕掛けた。そうなると金利の低いドルを借りて金利の高いバーツで運用していた海外の短期資金はバーツ安となれば大きな為替差損を被ることになるので一斉にバーツをドルに交換(大きなバーツ安圧力がかかる)しはじめた。 タイ中銀は外貨準備を殆ど使い果たす為替介入を行い防戦したが虚しく、97年7月2日変動相場制へ移行した。 その結果バーツは50パーセント以上の切り下げとなり98年1月に安値56バーツをつけた。その後35~46バーツのレンジに落ち着いている。  ドル建て債務を負っていたタイ国内企業は膨大な為替差損(例ペッグ制の時1バーツ24ドルで1億ドル借りた企業はペッグ制崩壊後例えば1バーツ48ドルなら債務が倍になったことになる。もちろんこれらの企業に貸しこんでいたノンバンク、銀行も資金を回収できなくなり不良債権を抱えることになった。 

ryo-win
質問者

お礼

完璧ともいえる回答本当にありがとうございます。通貨危機にいたるまでの経緯と背景、要因が実に判りやすく説明されていて理解が深まりました。本当にありがとうございました。

その他の回答 (3)

  • brassard
  • ベストアンサー率23% (23/99)
回答No.3

だいたいそんな感じだと思います。。。。が、絶対的な自信はありません。

ryo-win
質問者

お礼

いやーいろいろわかりやすく説明していたただきありがとうございました。

  • brassard
  • ベストアンサー率23% (23/99)
回答No.2

正直言って、私の半端な知識と考えを披露するのもおこがましいのですが。。。 >やはり投機バブルという言葉の意味とそれが何故銀行や金融会社の弱点をあらわにするのかという因果関係 が理解できないんです。 まず、投機とは投資に似て非なるものです。お金を使うところは同じですが、投資とはそれなりの根拠があり、確実性が予測されるものに適正なお金を投じることで適度な収益を得ようとするものであって、投機とは主に通貨・証券・商品・土地などを対象として一攫千金を狙うギャンブルです。ただ、やっているその時には投機であるということに気づかないこともよくあるようです。 投機バブルとは多くの人たちが投機に熱中した状態です。 >海外から借り入れた資金はブームになっていた建設部門に投じられていたが、通貨切り下げによっても元利返済額が急増したからである。 この場合は投機資金が建設部門に流れていたのですね。 ちなみに、日本ではじけたバブルは土地や株に対する投機バブルです。 どちらも、その時に投機と認識して建設部門や土地にお金を投じていた人はごく少数だったのではないでしょうか。 で、投機バブルの崩壊によって銀行や金融機関の弱点があらわになる理由ですが、それは銀行や金融機関が投機バブルを演出していた面があるからではないかと思います。 銀行や金融機関は、タイの経済が急成長し、大きく発展していると疑わずに、建設会社などにばんばんお金を貸したり、出資したりしてしまっていた・・・そして、それが投機バブルであることに気づいていなかった。。。 そこで通貨の切り下げが行われてしまったのだから、大変なことになりますよね。 うーん、あまりうまく説明できなくてスミマセン。

ryo-win
質問者

補足

ご回答ありがとうございます。つまりタイに始まった通貨危機とはヘッジファンドがタイのバーツ売りをし、バーツと交換するためのドルが中央銀行でたりなくなってしまった。そこで通貨の価値を半分、つまり今まで1バーツで1ドル交換できていたものを2バーツなくちゃ1ドルに変えないよーというようにした。しかしこの事はタイの国内では銀行が融資していたお金が半分の価値になってしまうことを意味する。つまり貸したお金が半分ということは返ってくるお金や担保も半分の価値しかなくなってしまう。つまり銀行としては大きな損失になる。建築部門の企業は元利返済額が2倍になったことを意味し力のない企業がいっぱい倒産した。これに伴ってアジアの通貨が売られ始めアジア全体の通貨危機につながった。こういう感じでいいんでしょうか?ここでは通貨の価値が半分になる場合をを想定しましたが。お願いします。

  • brassard
  • ベストアンサー率23% (23/99)
回答No.1

うろ覚えなので、ちょっと違うかもしれませんが。。。 ヘッジファンドがバーツを売り浴びせ、他の金融機関なども追随してパニック的なバーツ売りにつながった。当時、固定相場制だったタイは、結局中央銀行がバーツを買い支えきれずに、切り下げざるを得なくなった。 ・・・って感じだったような。 切り下げについては・・・、 そのときのレートがどのくらいだったのかは知りませんが、便宜的に1ドル=1バーツだったとしましょう。レートを固定するということは、中央銀行は1ドルと1バーツを必ず交換しますよということです。そこで大量にバーツが売られたら(=ドルが買われたら)どうなるでしょう?タイの中央銀行は交換するドルがなくなってしまいます。そうなると通貨を切り下げざるを得なくなるわけです。具体的に言うと、バーツを2分の1に切り下げた場合、中央銀行は今まで1バーツもらったら1ドルと交換していたのを、2バーツもらわなければ1ドルと交換してあげなくなるってわけです。 切り下げとは、その通貨の価値を下げることです。 投機バブルの破裂に関してはもっとあやふやなので回答しませんが、 もし、それでもよいというなら補足してください。

ryo-win
質問者

補足

ご回答ありがとうございます。通貨の切り下げについて理解することが出来ました。そして、投機バブルの破裂に関してですが本には次のように書いてあります。「通貨の切り下げで投機バブルが破裂し、国内の銀行や金融会社の弱点があらわになった。海外から借り入れた資金はブームになっていた建設部門に投じられていたが、通貨切り下げによっても元利返済額が急増したからである。これにより企業倒産が急増した。」 後半のほうは理解できたんですが、やはり投機バブルという言葉の意味とそれが何故銀行や金融会社の弱点をあらわにするのかという因果関係が理解できないんです。なんか補足になってんだか良くわかりませんが、ご回答できればお願いします。

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