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均等論の適用について

均等論が適用できる5つの条件(特許法概説13版P512、513の1~5)は、請求項の構成部分のみに適用されるものでしょうか、または、(請求項の)特徴部分の構成にも適用できるのでしょうか? 「特許請求の範囲に記載された構成中と対象製品に異なる部分があっても・・・」 この構成中を、構成部分(前提部分、おいて書き)と限定していいのでしょうか?

  • eoc
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noname#4746
noname#4746
回答No.1

 ご質問文を拝読する限り、eoc さんは、     構成部分=前提部分(おいて書き) とご認識されているようですが、もしそうでしたら、それは誤解です。  「特許請求の範囲に記載された構成」とは、請求項に記載されてある全ての事項です。従いまして、「おいて書き」の部分も、「特徴事項」の部分も、全て「特許請求の範囲の構成部分」となります。  「特許請求の範囲」には、特許法36条5項の規定に基づき、特許出願人が「特許を受けようとする発明を特定するために必要である」と認めた事項の全てが記載されている、とみなされます。  要するに、「特許請求の範囲」に記載されている事項は全て、発明に不可欠な構成要素である、ということです。  このため、特許権として確定した後は、その権利範囲は、「特許請求の範囲」に記載された事項に基づいて、客観的に判断されます(特許法70条)。そこに特許権者の恣意的な解釈を取り入れさせることはできません。  例えば、特許請求の範囲に「AとBとを連動させてCを○○する××装置において、Dと、Eと、Fとを有する××装置。」という構成が記載され、それが特許として成立している場合に、類似の装置に対して特許権侵害を主張したいのであれば、その類似の装置が「AとBとを連動させてCを○○する」装置であることが前提となりますし、かつ、当該装置が「Dと、Eと、Fとを有する」ことを確認する必要があります。  とは言え、特許出願後に新たな技術が開発され、それを採用すれば特許権の侵害とならなくなるのでは、独占排他権を付与する代償として技術を公開した意味がありません。  上記の例で言えば、出願当時に「D」と言えば「D」しか存在しなかったのに、出願後に「D」と同一の機能を営む「d」が開発されたとします。そこで、「D」に代えて「d」を採用し、それ以外の構成は「特許請求の範囲」に記載された事柄と全く同じである場合、「D」と「d」の相違によって特許権の侵害を免れるとすれば、特許権者にとってあまりに酷です。  均等論とは、特許に類似する物品や方法の構成の一部が「特許請求の範囲」に記載された事項(構成)と異なる場合、その相違部分が一定条件を満足するときに限り、特許請求の範囲の構成に相当すると判断する(=均等物であるとみなす)、すなわち、類似品や類似方法が特許侵害である、と考察する方法論です。  このことからも、均等論を適用するためには、類似品や類似方法が「特許請求の範囲」に記載された構成を悉く有していることが前提になることがお分かり頂けるかと思います。  なお、「一定条件」は、お手持ちの特許法概説に詳細に説明されています通り、5つありますことにご留意下さい。その5つ全てを満足する必要があります。  ご興味がおありでしたら、最高裁による平6(オ)第1083号、いわゆる「ボールスプライン軸受事件」の判決文(判決日:平成10年2月24日)をご参照下さい。

eoc
質問者

お礼

丁寧に解説していただき有り難うございました。

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