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米国債購入時の円はどこへいくの?

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回答No.5

まず、↓の5ページ目(各頁の下にふられている元の頁番号では115ページ目)をご覧下さい。 http://www.mof.go.jp/jouhou/kokkin/tyousa/tyou077-05.pdf ここには、以下のような記載があります。 国民経済計算において、以下の貯蓄・投資バランス式が成り立つ。 (S-I)+(G-T)=X-M これは恒等式であり、事後的には必ず成立する。 これは、「国際金融」でなくても、「マクロ経済」の授業であれば、あるいは、一般人向けのマクロ経済の概説書であれば、まず間違いなく説明されている超基本的な式です。 この式の意味は、一国に於いて、「民間の貯蓄と投資の差額」と「政府の支出と収入の差額」を合計した数字は、事後的には常に経常収支に等しい、という意味です。国内を民間と政府に分けないで考えれば、「国全体として投資>貯蓄だった場合、その差額は経常収支の黒字になる」という事になります。 さて、No.2の回答(+No.4の回答での訂正)に、「資本が流出するのは,経常収支が黒字となる場合。資本取引は,経常収支の裏の取引に過ぎない」と書かれています。より正確には、国際収支表では「経常収支+資本収支+外貨準備増減+誤差脱漏≡0」と説明される場合が多いです。誤差脱漏は、全ての取引を完璧に把握できない事からくる、計算の合わない部分に過ぎないから、これを無視して、外貨準備増減は政府部門の対外純資産の増減ですから、民間部分とあわせて考えてしまうと、「経常収支と資本収支は裏側の関係にある」と言えます。 この二つをあわせて考えると、国内の貯蓄過剰=経常収支の黒字=資本収支の赤字(ネットでの資本の『流出』)と纏める事ができます。 気をつけなくてはならないのは、「一つ一つの取引での現金の流れを追いかけて、こういう場合は資本の流出で、こういう場合は資本の流出ではない」といった議論をしているのではない、という事です。 例えば、無理にわかりやすい例を作ると、ある自動車メーカーが、アメリカに自動車を輸出したとします。その代金のドルを受け取って、それをそのまま米国債投資に振り向けたとします。その自動車輸出の結果、日本はアメリカに対して債券を持つ事になりました。ドルは、アメリカ→日本→アメリカと動き、結果的に日本が受け取った金融資産は国債とだけです。為替取引も必要ではありません。まさに、資本の輸出であり、経常収支の黒字の裏返しです。 しかし、資本の流出がこういうパターンの時だけ起きるわけではありません。自動車メーカーだって、代金をいつも米国債に変えている訳ではありません。受け取ったドルを日本人に売るかもしれないし、アメリカ人に売るかもしれません。しかし、日本全体としてみると、国内の取引をすべて相殺すると、必ず「資本の流出」があるはずです。(経常収支が黒字である以上、絶対にそうならざるをえない) さて、一般的に、米国債などの証券投資を、「資本の流出」あるいは「資本の輸出」と呼ぶのは、「外国に金を貸した」からです。国内の貯蓄過剰が、外国に対する債権の増加(=資本の流出)につながった、という風にも説明できます。一方、為替取引の場合は、単に等価値のドルと円を交換しただけだから、それ単独では、金を貸し借りした事にならず、「資本の流出」や「流入」は起きません。ですから、No.4の方の例では、「外為市場での資本流入はなく、国債市場での資本流出だけで、それが「ネット」における資本流出」となります。このように、資本収支の赤字=資本の流出を、国債などの証券投資から語るのは、マスコミに限らず、学者でもそうです。例を参考URLに入れておきました。 全く独自の定義を持ち出せば「ネットでは,資本の流出は0」と言う事も可能でしょうが、あまり意味があるとは思えませんね。 尚、蛇足に近くなりますが、「日本人自らは,せっせと米国債という貯金をし、アメリカ人は借金して車を買っている」のは、「経常収支の赤字(=国内で作っている以上のモノを消費する)を、資本収支の黒字(=資本の流入)で賄う」という一つの例に過ぎません。上に上げた恒等式は、どの国でも成立します。よって、これは「基軸通貨国の歪んだ特権」ではありません。ドルは基軸通貨だから、他の国はドルを(ある意味で)信用するしかないので、アメリカの経常収支の赤字が長期間続いても中々破綻しない、という事が特殊なだけです。国際金融論の試験で、もしこういう回答があったら、私は厳しいので及第点はあげません。

参考URL:
http://www.jbic.go.jp/japanese/research/report/review/pdf/28_03.pdf
gaplant2
質問者

お礼

皆様にお礼を言いたいのですが、代表してこの場にて 丁寧な回答ありがとうございました。 非常にわかりやすかったです。

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