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指定債務者の合意と利益相反行為
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>未成年の子が相続した不動産に付いた根抵当の指定債務者を親にするのは 根抵当権設定者が死亡しても、指定債務者の合意の問題は生じませんので、債務者兼根抵当権設定者である甲が死亡し、甲の配偶者である乙及び甲の子である丙(未成年者であり、乙が親権者)が相続人であり、根抵当権が設定されている不動産について丙が(遺言又は、乙と特別代理人との遺産分割協議成立により)相続したと仮定します。 >個人的には親が債務から免れて子が債務を背負うので利益相反になるような気がしたのですが、 根抵当権の債務者が死亡した場合、相続開始後六ヶ月以内に指定債務者の合意及びその旨の登記がなされないと、当該根抵当権は、債務者の相続開始時に元本確定します。 逆に言えば、期間内に指定債務者の合意の登記をすれば、相続開始時には元本確定しないのですから、相続開始前はもちろん、相続開始後に、根抵当権者が指定債務者に対して取得した債権の範囲に属する債権も、その根抵当権で担保されるとことを意味します。 ここで注意しなければならないのは、当該根抵当権で担保されると言う問題と指定債務者が実際に債務を負うという問題は、別問題だと言うことです。 例えば、債権の範囲が金銭消費貸借取引だとした場合、乙と根抵当権者の合意により、丙を指定債務者とする登記をしたとしても、丙(丙を代理して乙)が根抵当権者から借り入れをしていなければ丙には債務が生じません。(もっとも、甲から相続した債務は負っていますが。) もちろん、乙が丙を代理して乙を債務者としてその根抵当権者から借り入れすれば、丙は債務を負いますが、それは丙が指定債務者だから債務を負ったわけではありませんし、乙が債務を逃れ、丙が債務を負うという関係もありません。そもそも、この借り入れ自体利益相反行為ではありません。 利益相反行為になるのは、例えば、乙の債務について、乙が丙が代理して債権者と保証契約を結ぶとか、乙の債務について、債権者と債務引受契約を締結するような場合です。 結論としては、乙を指定債務者とする場合は、乙の債務について丙が物上保証するのと同じなので利益相反行為になるのに対して、丙を指定債務者とする場合は、丙自身の債務について、丙自身の不動産に根抵当権を設定するのと同じなので、利益相反行為にはならないということになります。
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> 例えば、債権の範囲が金銭消費貸借取引だとした場合、乙と根抵当権者の合意により、丙を指定債務者とする登記をしたとしても、丙(丙を代理して乙)が根抵当権者から借り入れをしていなければ丙には債務が生じません。(もっとも、甲から相続した債務は負っていますが。) そういえば指定債務者の登記をしても、相続時点での債務は相続者全員で 負うんでしたね。ということは、指定債務者になるということは、債務を 引き受けるというよりは、これからの債務を担保してもらう立場ですから むしろ得なのであって、不利益になるわけではないということですね。 よく納得できました。ありがとうございました。