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民法解釈(415条・709条について)

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お礼率 93% (96/103)

できれば法の専門家に。
質問は次の2つです。

質問1
709条は、その条文で損害を与えた行為が故意又は過失であることを要件としていますが、415条の債務不履行では条文では要件となっていません。
ところが、ある解説書(専門書ではなく一般向けに書かれたもの)を見ると、「415条の前半は、法文上に明記はないものの、後半と同様、故意又は過失があった場合に限られる。」との記載がありました。
しかし、知り合いの弁護士に聞いたところ、あくまで条文通りに解釈すべきであり、415条については故意又は過失であることは必要条件ではないと回答されました。
解説書も弁護士の書かれたものであり、どちらが正しいのか理解に苦しんでいます。
私としては、あくまで条文で判断すべきとの考えから、後者が正しいのではと考える次第ですが、皆さんのお考えをお聞かせください。

質問2
同じ解説書の709条の項で、損害を与える原因となった行為が違法行為であることが要件である旨の説明があったのですが、私の考えでは、損害を与えた(他人の権利や利益を犯した)ということ自体が違法なのであって、むしろ原因となる行為と損害に因果関係があることが重要なのであり、原因となった行為自体が違法であるかどうかは特に問題足り得ないのではないかと考えています。
皆さんのお考えをお聞かせください。
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質問者が選んだベストアンサー

  • 回答No.1

質問1について。
 確かに、明文にない要件として故意・過失を要求するのが従来の通説でした。しかし、最近の学会では、特に不能以外の債務不履行について、過失を要求しない解釈が有力です。
 これは、判例・実務において、言葉の上では「過失」を要求しながら、実質的には「債務不履行イコール過失」という認定が行われている現実を、理論的に説明しようとしているのです。
 つまり、例えば医療事故などでは、「医師が行うべき事をしなかったこと(債務不履行・客観的要件)」と「医師が行うべきことをできなかったこと(過失・主観的要件)」は実際問題として区別できないからです。
 この意味で、その解説書と弁護士さんの説明は言葉の問題であって、現実にはそれほどの差はないといえましょう。
 なお金銭債務については、条文上、故意・過失は不要です(419)。ただし、これにも不可抗力の免責を認めるべきとの有力な反対説があります。

質問2について
 確かに、過失・因果関係・違法性・損害を別の要件とするのが通説です。しかし、この点についても過失一本に絞ろうとする反対説があります(過失一元論)。
 これは、質問者さんも指摘されるとおり、実質的に判断すれば「過失イコール因果関係イコール違法性イコール損害」とも思えるからです。
 ただ、一般には、これらの要件が理論的には区別しがたいことを認めつつ「思考の便宜のため」「判決理由の説得力」という観点から、個別に要件を考えるのも仕方ないとします。
 私見では、これらの要件を形式的に区別し個別に認定することは、政治的判断(実質的判断)と法的判断(形式的判断)を峻別する上で、すなわち損害賠償責任の追及を単なる道徳的非難ではなく、あくまで法的責任の追及であると擬制する上で、非常に重要だと思うのですが、ちょっと法哲学的な思考に走り過ぎかもしれません。

 なお、これらは現在の民法学の主要な基本的な論点であり、いわゆる「教科書」「基本書」には必ず記載されています。ひとつ推薦するとすれば、平井宜雄「債権総論」(法律学講座双書)、同「債権各論2」(法律学講座双書)などどうでしょう。

補足)
 質問1について「あくまで条文で判断すべき」とされますが、この考え方は二つの点で注意が必要です。
 第一に、故意・過失を要求しない学説も、「条文に書いていない」ということは補充的な理由として使っているだけで、あくまでも本質的な理由は「それを要求する理論的な必然性がない」という点にあるということです。この辺の呼吸が法解釈学の不思議なところなのです。
 第二に、実務的にも、「条文に書いていない」といくら主張したところで、判例が認めていない見解は裁判上認められないということです。法解釈の専権が裁判所にある以上、学説としてはともかく、現実の行動は判例に配慮して行動しないと、不利益を受けてしまうのです。
お礼コメント
huchio

お礼率 93% (96/103)

懇切丁寧な回答をいただきありがとうございます。
返事が大変遅くなりました。いただいた回答をもとにいろいろ考えていたものですから。
(しかも、実は昨夜8時半過ぎ、お礼を言おうと思ってパソコンに向かったのですが、なぜか何度やっても「ページがみつかりません」のメッセージが出てしまい、「教えてgoo」に繋がりませんでした。こんなことは初めてです。)

質問1について、sukemasaさんがおっしゃるとおりで、解説書と弁護士の説明は言葉の問題であって、現実にはそれほどの差異はないように思いました。
あわせて、内田貴著「民法(3) 債権総論・担保物権」では、民法第415条に基づく損害賠償責任を問うためには「故意・過失又は信義則上これと同視すべき事由」(帰責事由)が要るとしていますので、この「これと同視すべき事由」を過失とほぼ同じものととるか、同じようなものだが過失とは異なるものととるかで解説書のような説明になったり、弁護士の説明のようになったりするのかなあと考えたりもしています。

質問2について、「思考の便宜のため」「判決理由の説得力」と説明されていますが、なるほど納得です。補足でもおっしゃっているように、「学説としてはともかく、現実は判例に配慮して動かないと…」ですね。全くそのとおりだと思います。

今回のご回答で、疑問がすべて氷解しました。また、気づかなかった点も指摘していただきました。人に説明する必要があったものですから、本当に助かりました。
ありがとうございました。
投稿日時 - 2002-03-13 14:22:24
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