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一輪車を持って座る回転椅子のエネルギーは人が供給するのですか。

circuit_breakerの回答

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回答No.6

「車輪の回転軸を傾斜させると、それと直角の方向にトルクが働き運動が生じる」、変位と力の方向が直交しているので、確かに椅子に座った人は仕事をしていないように見えます。ですが、この一文をもうワンステップ繰り返して運用してみてください。つまり椅子の回転もまた車輪の方向を変えている(傾けている)事に着目し、それが発生するトルクに注目するのです。人が水平から車軸を傾ける量は小さいとしてイメージすると解り易いでしょう。仮に右手を持ち上げるように傾ける時、右手が前方に引っ張られるようなトルクを生じたとしましょう。これが椅子を回転させる力ですが、回転した場合の模倣として、もし右手を前方に押し出したなら、どのようなトルクが働くか想像してみてください。右手を上げれば右手が前方に引っ張られるのだとしたら、右手を前方に出すと右手が下方に押し下げられて然るべきです。同一の法則に従う直角方向はそのような関係になっています。 車軸を掴んだ右手を持ち上げる → 椅子を回すような回転トルクが発生する → 椅子の回転により車軸の方角が変わる → 右手を押し下げるトルクが発生する、という具合に、車輪を傾斜させる動きは、回りまわって一致方向の反力を招き、仕事を成立させます。ただし、人の成す仕事と椅子の回転エネルギの往復には、ジャイロ効果という「奇妙な」仲介が存在しています。「奇妙」の例として椅子の回転を拘束すれば「原理上」車軸を傾ける手に生じる「傾ける方向からの反力」は無くならねばなりなせん。(気味の悪いジャイロの感触に惑わされずそれを分離して感じるのは難しそうでが、例えば、http://www2.clis.ne.jp/syogai/tokodomo/r_ja.htm のような装置なら不必要な自由度が予め拘束されており、反力の違いを確認できそうです。)椅子を拘束する、つまり通常なら負荷を増すと見なされる行為が、人が車軸を傾ける所で負荷の減少として確認されるというのですから奇妙で非日常的と言わざるを得ないでしょう。非相反(非可逆)あるいは反転という言葉で代表されるこの性質が理解を困難にしていたのではないでしょうか。目の前に置いたコマを奥の方向へつつくと右に退くとしましょう。右からつつくと奥に退くのがコマですが、相反定理の成り立つ日常の機構は、そんな風ではありません。大抵の機構は奥につついて右に動けば、右からつつけば手前に戻るような動作をします。 「椅子が回っている場合の手への反力」を直観できる写真が、 http://www.edu.city.kyoto.jp/science/science/sci-news/15scci-news/2003buturi-1/2004buturi-1-1.html の図4にあります。手の代わりに重力によるトルクが車軸を傾斜させようとしており、それが車軸の水平面回転(歳差運動)が発生させるトルクとバランスしています。歳差運動なしに、車軸の水平を維持することはできません。トルクベクトル τ、歳差運動の角速度ベクトル Ω、車輪の角運動量ベクトル L の関係:  τ = Ω × L は物理の教科書によく載っています。これを使用して上述の全体挙動をまとめてみましょう。例によってイメージし易いように車軸の水平からの傾け方 θa は十分小さいとし、また車輪は回転椅子の真上に位置するとします。すると L、Ω、τ ベクトルの実際の方向が、常に近似的に直交と見なせて、スカラー計算で事足りるようになります。以下変数は全てスカラです。なお各部摩擦なども無視して本質的部分だけ残します。 まず人がΩa の角速度で車輪を傾けたとしましょう。車軸は、トルク:  τb = Ωa L  ---- 式1 を発生します。これが人の質量等からなる回転椅子上の慣性モーメントI を駆動すれば、椅子の角速度 Ωb と τb は次の関係で結ばれます。  I ( dΩb /dt ) = τb   ---- 式2 一方で、椅子の角速度 Ωb は、人の手に反力としてトルク  τa = Ωb L  ---- 式3 を発生させる事になります。 式1と2から、  Ωb = ( L/I ) ∫Ωa dt = ( L/I ) θa   ---- 式4 が導かれ、椅子の回転速度 Ωb は人が車軸を傾ける量 θa に比例する(水平からの傾きは小さい場合にあらかじめ限定)事がわかります。また式3によって Ωb を消去すれば、  τa = ( L^2 / I ) θa  ---- 式5 が導かれます。反力は人が車軸を傾ける量に比例する、体重がある人の方がむしろ反力は小さい、 I 無限大としての椅子の回転拘束では反力が無い、等が読み取れます。 最後にエネルギの収支をチェックしてみましょう。 θa まで車軸を傾ける際、人のした仕事は ∫τa dθa  で計算され、一方で回転椅子上の回転エネルギは 1/2 I Ωb^2 であることが周知ですから、  ∫τa dθa に式5を代入し、∫ ( L^2 / I ) θa dθa ⇒ 1/2 L^2 θa^2 / I  1/2 I Ωb^2 に式4を代入し、1/2 I ( ( L/I ) θa )^2 ⇒ 1/2 L^2 θa^2 / I となって、両者は一致するようです。 以上、椅子の回転エネルギは全て人の仕事によるもののように思われます。(ただし私は所謂ジャイロ機構をいじった体験がないので投稿に多少不安を感じています。誤りがないと良いですが。)

yyz1974
質問者

お礼

circuit_ breaker様 大変丁寧でかつ正確なご回答ありがとうございました。私の疑問に沿って答えていただいて大変感激です。<この一文をもうワンステップ繰り返して運用してみてください。>の一文でハットしました。まさに目から鱗でした。私の考えの浅さを身にしみて感じました。⇒を含む力の伝播の説明は簡潔で私の頭の中を整理してくれました。またご紹介されたURLは正にこんな実験装置を作ればわかるのかなと想像していたものです。エネルギー収支の計算は大変よく理解できました。このご回答で私の抱いていた疑問は全て払拭されました。これからもよろしくご指導ください。

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