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温度って何?
siegmundの回答
> 温度ってそもそも何なのでしょうか? シンプルな質問のようですが,次々突っ込んでいくと熱力学,統計力学の テキストができちゃいます.固体物理もずいぶん入りますかね. > 分子一個あたりが持つエネルギー量が同じなのではないかという仮説 なかなか本質をついています. どの分子も全く同じエネルギーを持つわけではありませんから 「平均エネルギー量」というべきですね. これが温度と密接な関係があります. 古典力学的には,運動の1自由度あたり (1/2)kT (k はボルツマン定数) の平均エネルギーがあることが知られています. 1モルあたりならアボガドロ数倍すればOKで, k とアボガドロ数の積が気体定数 R です. 気体では,分子が勝手に動き回っていますから, 3次元の3方向で1分子あたり平均 (3/2)kT のエネルギーがあります. 単原子分子はこれだけですが,2原子分子では分子回転の自由度があって, (5/2)kT になっています. では,固体では? 固体の素朴なイメージは,分子が格子状に並んでいるものです. もちろん,気体とは違って勝手に動き回れません. 勝手に動き回ると,固体状態を保てません. でも,全く動かないわけではなくて,平衡位置の周りに振動しています. 単純にばね振動みたいなものだと思うと,運動エネルギーの他に ポテンシャルエネルギーがありますので,3方向×2で,6自由度あります. したがって,平均エネルギーは 6×(1/2)kT = 3kT. エネルギーを温度で微分したものが比熱ですので, 比熱は温度によらずに 3k (1モルなら 3R). これが, Umada さんの書かれている Durong-Petit の法則です. 本当は独立したばねモデル(Einstein model)はちょっとまずくて, となりのばねのことなどを考えないといけないことがわかっていますが, 自由度の計算には関係ないので,十分高温ではやはり Durong-Petit の法則 がなりたちます. stargazer さんや Umada さんの書かれているように, Al,Fe,Cu でよく合っていますから,めでたしめでたしのように思えます. でも,ちょっと待てよ. 金属中には自由電子があって,ほとんど勝手に動き回っているんじゃ なかったっけ? それなら電子を気体みたいに考えて,もう (3/2)kT のエネルギーが あるんじゃないのか? この分足したら,比熱はもっと大きくなるんじゃないのか? 自由電子があるからこそ,金属は電気を伝えるんじゃなかったっけ? 自由電子は電気伝導には効くけど,比熱には効かないの? なぜ? これが,量子力学誕生以前の金属電子論の大問題でした. この疑問は量子力学で初めて説明されました. 液体は無茶苦茶難しくて,簡単な説明はないと思います. 液体の中でも,水はかなり特殊な性質を持っています. 大体,ぎゅっと固めれば固体になりそうだから, 固体の方が液体より密度が小さく,氷は水に沈みそうです. ところが誰でも知っているように,氷は水に浮きます. こんなへんてこりんな物質は他にほとんどありません. 氷が水に浮くのは日常よく目にするので不思議と思わないのですが, 実は極めて奇妙な現象なのです. > ところで、“∝”という記号の意味が分かりません 「比例する」という意味です. > 温度の高い物質と温度の低い物質をくっつけた時に、 > 温度の高い方から低い方に熱が移動するのはどういう仕組みなんでしょう? 固体で話をしますと,温度が高いところは分子振動が激しいわけです. だんだん分子振動が伝わっていって, 全体的に分子振動の程度が同じようになろうとします. これを温度と熱で見れば,温度が高いところから低いところに熱が流れた, と見えるのです.
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