• ベストアンサー

ピカソのキュビズムについて

High-Flyer812の回答

  • ベストアンサー
回答No.6

>>ピカソやブラックが描く物はあまりに変形していますが、何か法則に基づいてる気もするのです。それが何か知りたいのです<<  法則なんてないですよ。絵画は数学とは違いますからね。もしあるとしたら、それはピカソの頭のなかにしかないでしょう。誰にも解説はできないですよ。  キュビズムの手法についてだけ書くと、ひとことで言えは、「複数の視点から視た世界を、平面上に共存させる」ということですね。  例えば、花瓶を写真に撮るとします。どの角度から撮っても、それぞれの写真には「ひとつの角度」から視た花瓶しか写っていないわけです。カメラの位置は固定されていますから。  ところが、ピカソは、花瓶を上下左右斜め、あらゆる角度から撮って、しかもそれらすべてを、同じキャンバスの上に表現しようとしたんです。女の顔で、右目は前を、左目は横を向いているなんていうのがありますけど、あれは正面から視た目と、横から視た目を「同時に」表現しようとしているので、ああいうことになるんですよ。で、それをやったのはピカソが初めてなんです。  原始の時代からレオナルド、ゴッホに至るまで、絵画の世界では、いろんな工夫がなされてきましたけど、どの画家も、対象を一つの方向から描いている、という点では共通しているんです。セザンヌもしかりです。で、ピカソはその前提を覆したんです。まさに革命、ですね。  セザンヌがやろうとしたのは、いわゆる「面取り」というやつです。いまでは美大の入試で定番になっている手法ですが、ものの形を「面」の集まりとしてとらえる、ということです。セザンヌの描く裸体像は、小さな紙を、隙間だらけに無数に貼り合わせたようなかたちで描かれていますよね。彼はそれによって、「質感」よりも「立体感」を強調しようとしたんです。「なめらかな表面の描写」こそが画家の腕の見せどころとされていた時代だったので、斬新だったんですね。  で、ピカソは、セザンヌの手法をもっと大胆に押し進めた、と言って間違いないでしょう。セザンヌ同様、対象の「立体感」を強調すると同時に、それをいくつもの角度から描く、ということをやりました。ここがセザンヌとピカソの決定的な違いです。美術評論家ならここで、「ここにいたって絵画は、キャンバスという「平面の制約」から解き放たれて、「空間の自由」を獲得することができた」とでも言うでしょうね。  こんな説明でわかってもらえました?余談ですが、私はピカソ、大好きですね。彼ぐらい創ることの悦びを謳歌した人っていないと思いますから。ピカソの絵をみていると、あふれるようなバイタリティーがビンビン伝わってきて、じっとしていられなくなります。ピカソ関連の本では、岡本太郎の「青春ピカソ」がいいですよ。創り手の立場から書かれていますから、いいたいことがストレートに伝わってきます。私が読んだ中では、これが一番いいと思いました。

neo-faust
質問者

お礼

ご意見、ご回答どうも有難うございました。すごく詳しく書かれていて、とても面白かったです。おぼろげながらわかってきた感じです。「面取り」ですか...美大ってそういうこと試験してるんですね。知らなかった...。世の中、私の知らない世界がまだまだあるようです。(当たり前かな)本もぜひ読んでみたいと思ってます。

関連するQ&A

  • ピカソって、色彩感覚がスゴくないですか?

    ピカソって、色彩感覚がすごくないですか? ピカソの解説を本などでいくつか読んだことがありますが、色彩感覚がどうこう~という解説は見たことない気がします。 もちろん有名画家なんで色使いがうまいのは当たり前だろ、と言われるかもしれませんが、もっと前の時代の宮廷画家さんとか印象派の画家さんの色使いがスゴい、というのとは全く別の意味で、色と色の組合せ自体をスゴイと思わせる仕掛けのようなものがピカソの絵には組み込んであるように思えてならないのです。ウォーホルの色使いがスゴい、というのに近い、やはりいかにも現代アート、ということかもしれません。 以前、国立西洋美術館のモネ展を見ましたが、モネの絵に混じってピカソの絵が1点だけあって、祈る聖母みたいなやつでした。全体がほぼ真っ青なのに、聖母が顔にかざしている、1輪の花だけが鮮やかな赤なのです。そのバランスが絶妙すぎて、しばらく立ちつくしてしまいました。 ブリジストン美術館というところにも座る少年像、みたいな絵があるのですが、これも言葉で表現しづらいのですが…もう色彩のバランスが凄すぎて、しばらく目が離せないのです。色のバランス、線と線のバランス、全ての組み合わせが絶妙すぎるんです。 そういう意味では…さっきもちょっと書きましたが…それまでの画家さんとは違ってセンセーショナルな技法というか、ある意味人の注意を引く技術に長けた広告デザイナーのような、そういうセンスの持ち主だったのではないでしょうか? その辺、美術界ではピカソはどのように評されているのでしょうか?

  • セザンヌのリンゴにまつわるエピソード

    前にNHKでセザンヌのリンゴにまつわるエピソードをやっていて、セザンヌのリンゴを友情というキーワードで解説していたのですが、セザンヌの絵にまつわるエピソードなどを書いた本などありましたら紹介していただけないでしょうか。特にセザンヌの人間像に迫りたいんです。 よろしくお願い致します。

  • 絵画集

    最近絵画に興味が出てきて絵画集みたいなのを探しています。知ってる人ってシャガール、ゴッホ、ピカソなどしか知らないのですが。 この人などの絵画集ってあるんでしょうか? シャガールの作品が一冊にまとめている本などはあるのでしょうか? 希望は、絵が大きく絵の解説なんかもあるといいんですが。 もし、ご存知の方がいれば教えてください。 お願いします。

  • 古い芸術は現代も色褪せませんか?

    先日、バルセロナにあるピカソ美術館に行ってきましたが、 確かに、インパクトのある絵(キュビズム等)など面白く感じますが、 現代ではこれに近い表現や恐らくこれを昇華させた表現、全く違う表現など芸術と感じる表現は非常に多くあり、あくまで、個人的な感想ですが、「昔は確かに斬新で凄かったんだろうなー」と言うのが率直な感想です。 現代美術と比較した場合、むしろ、日本のアニメDVDなどの方が芸術性は高いとすら感じています。 ただ、日本人の感覚でも、ピカソは芸術家では今でも最高峰の部類というのが一般的な認識だと思います。 私と、世間一般の、この差は一体何なのでしょうか? また、本当に多くの日本人が、今でも現代美術と比較してピカソの絵を価値ある物と思っているのでしょうか?

  • 物理の洋書と和書について

    最近、洋書の参考書を読む機会が多くなり、洋書の本の方が和書と比べるとオリジナリティーがあるものが多いように感じました。もし、和書で「他の参考書にはない著者自身の<本質>をとらえた考え方が書かれている」、あるいは、「他の本ではあまり触れられておらず、当たり前だと思っていたが、いわれてみれば・・・」のようなものがあったら教えてください。洋書でも大歓迎です。

  • 絵の見方

    最近、ピカソやゴッホやダヴィンチなどの絵を見る機会があり、少し興味を持ったんですけど、世界的に有名とされている上記以外の画家達も含め、どういう所で評価されているんでしょうか?色々な人達の作品も見たいので、絵と説明が載ってある本はありますか? また皆さんはどういう所を見て関心なさってるんでしょう?意見お待ちしております。

  • イラスト初心者の指南書

     初めまして。私は小さい頃から絵を描くのが好きで、よく自由帳に落書き程度のお絵描きをしていました。  ここ最近、とある目標のために本格的に絵(主に人物画)を練習しようと考えてます。まずはwebサイト版のヒトカクから始めました。それ以外にも、いくつか指南書を買っておきたいと思い、ジャックハムの人体デッサンの技法が安かったので購入しました。  ただ、いきなりジャックハムから練習するのはハードルが高いと思ったので、もう少し初心者向けの本を買おうと思います。今考えているのは「鉛筆一本ではじめる人物の描き方 ロジカルデッサンの技法」とヒトカクの書籍版です。デッサンも碌にしたことがないので、本当に初心者向けの本を探しています。  この二つの本どちらかを買おうと思っています。これらの本を持っている方で、どちらオススメか意見を聞かせて下さい。  よろしくお願いします。

  • ピカソのキュビズム泣く女が本当に3D立体に見えた方

    いらっしゃいませんか?  80年代前半、東京の美術館か、中央区か新宿のデパートだった気もします。 正面と横顔が同居する「泣く女」の数ある内の一枚。 それまで写真でしか見た事無く、キュビズムなんて只の遊びじゃん、とバカにしてたのですが、本物見て腰抜かす程驚きました。  ビデオスクラッチとか、前後のシーンのちょうど継なぎの箇所でポーズすると、前と後の映像が入れ替わりながら明滅振動するように、正面と横顔がどっちつかずで瞬いて、ビデオ程速くでは無いけど振動する感じで、その内ほんとに奥行の有る立体に感じ始めました。  3D映像のような安定した立体感ではなく、動く感じでしょうか。 他の「泣く女」を見た記憶は無く、この絵だけかも知れません。 実は私、一寸前まで眼病で、平面写真が3Dに見えた時期ありましたが、80年代はいたって正常でした。以下の質問に私の眼病症状記載してます、  http://oshiete.sponichi.co.jp/qa8000028.html 平面が3Dに見える条件は次サイトが参考になりました。人各々の個性に応じてその要件は違うので、見え方も異なるようです http://eiga.com/extra/oguchi/10/2/ 立体3D映画の時代 - 第10回 http://www2.aimnet.ne.jp/nakahara/3dart/3genri.html 3Dの原理 principle  2次元に3次元が出現する奇跡を眼にして、何か物凄い可能性と未来の希望を感じ、改めてピカソの天才を思い知らされた訳ですが、これが計算された技術か偶然かは判りません。  他の泣く女でもジョルジュ・ブラック作品でも構いませんので、似た体験ご座いましたらお教え下さい。

  • 絵をかく方に送って喜ばれる本を教えてください

    知り合いに玄関に飾る絵を頼むと、こころよく引き受けていただけました。 謝礼を払いたいのですが「趣味で書く絵だから」といって受け取ってもらえません。 そこで、個人ではなかなか買えないような本(専門書とか洋書とか)を送りたいのです。 その方の書く絵は、パステルや水彩での風景画が多いです。 絵をたしなまれる方々に「おすすめの本」を教えていただけると助かります。 予算は1万円くらいまでです。(あまり高すぎるのも失礼になりそうなので)

  • アメコミ調の描き方がしたいのですが…

    どなたかおすすめの書籍をご存知の方はおりませんでしょうか? おすすめならば洋書でもかまいません。 できれば本の批評や解説、どういうときにおすすめなのかを教えてください。 よろしくお願いします。