• ベストアンサー

相対性理論が正しい根拠について

shiaraの回答

  • shiara
  • ベストアンサー率33% (85/251)
回答No.11

私の知っている範囲で、(1)について回答します。ただし、「相対性理論でしか説明できない現象」ではなく、「相対性理論の正しさを示す証拠と考えられる現象」について説明します。これは、相対性理論以外でも説明できるかもしれないが、相対性理論による説明が合理的、と考えられる現象です。 以下の現象について説明します。 (1)重力による光のスペクトルの赤方偏移 (2)重力場による光の湾曲 (3)水星の近日点移動 (4)重力による時間の遅れ (1)重力による光のスペクトルの赤方偏移  星の表面から発射された光が、星から離れたところで観測したとき、振動数が減少して観測される現象です。赤色の方へ振動数が変わることから、赤方偏移といわれます。一般相対性理論の解釈では、星の表面では重力の影響で時間の進み方が遅れており、遠くの観測者から見れば、光が発射した時点で振動数が小さくなっていた、と考えます。この現象は別の解釈も可能で、光が重力と相互作用すると考えれば、光が重力を振り切って飛び出してくるため、運動エネルギーがポテンシャルエネルギーに変わり、運動エネルギーが減った分、振動数が小さくなった、という解釈もできます。 (2)重力場による光の湾曲  太陽のすぐそばを通って来る光が、重力によって曲げられて、本来見える位置よりもずれて見える現象です。一般相対性理論によると、このずれは、1.75秒と計算されます。1919年にエディントンが行った観測では、1.61秒という値が得られています。光に質量があるとしてニュートン力学で計算した結果は、1.75秒の半分の0.87秒であり、一般相対性理論が正しいことの証拠と考えられています。ただ、普通に考えれば、1.75秒と1.61秒は、近いけれども一致しているとは言い難く、ニュートン力学よりは近い、ということが言えるだけです。もう1つ難点があって、太陽表面でのガスによる屈折が考慮されていません。計算では、光球までを太陽の半径としていますが、光球の外側がすぐ真空になるわけではなく、希薄ながら物質が存在しますので、光の屈折がおきます。計算上のずれは、重力による曲がりと、屈折による曲がりを足したものになるので、1.75秒より大きくなり、さらに観測値から外れることになります。  なお、1.61秒という観測値は、ウィキペディアに書いてあった数値です。私の持っている一般相対性理論の教科書(内山龍雄著 一般相対性理論)には、なぜか観測値は書いておらず、一般相対性理論での結果は、ニュートン力学での結果よりも観測値に近いという内容にまとめられています。エディントンはデータの中からどの結果を使うかを恣意的に選択したのではないか、という説があるとネットにありましたので、観測値の信憑性に疑義があるのかもしれません。 (3)水星の近日点移動  水星の軌道は、閉じた楕円にはなっておらず、楕円軌道が少しずつ回転していく形になります。近日点(惑星が太陽に最も近づく点)が動くため、近日点移動と言われます。観測から求められた水星の近日点の移動量は、100年で574.83秒です(ここで引用している数値は私が持っている本からのもので、文献によって数値は多少変わっています)。このうちのほとんどは、他の惑星からの摂動によるものです。影響の大きい惑星は金星と木星で、金星では約280秒、木星では150秒ほどの影響を受けています。すべての惑星からの影響を足し合わせると、531.46秒となります。これは理論上の計算値です。これと観測から求められた値を比較すると、43.37秒の差があります。この差を説明したのが一般相対性理論だと言われております。一般相対性理論を使うと、水星単独の運動であっても閉じた楕円軌道にはなりません。そのときの近日点移動量は43秒となります。この値が、計算値と観測値との差と一致していることから、一般相対性理論の正しさを示す現象と考えられています。  ただ、以上の話だけでは説明としては不十分です。なぜなら、計算で求められた他の惑星からの影響は、すべてニュートン力学で求められた値だからです。一般相対性理論の正しさを示すためには、他の惑星からの摂動も一般相対性理論に基づいて計算されなければなりません。その結果、ニュートン力学での結果とほとんど変わらない、ということであれば、上記の話はそのまま使えます。 (4)重力による時間の遅れ  重力場では、重力場にいるというだけで時間の進み方が変わってきます。重力ポテンシャルがφで与えられるとすると、そこで速度vで動いている質点の固有時τは以下の式で与えられます。 dτ=dt√(1+2φ/c^2-v^2/c^2) φ=-GM/rなので、rが小さい方が固有時は小さくなります。すなわち、時間の進み方がゆっくりになります。相対性理論での時間の遅れは、時計の機構とは関係ないもので、どんな種類の時計を持ってきても、地上の方がゆっくりと進むことになります。GPSでは、この式を使って時計を調整していると聞いています。そのあたりは、私は詳しくないので、ここまでとします。

noname#225799
質問者

お礼

ありがとうございます。 >・・・回答します。ただし、「相対性理論でしか説明できない現象」ではなく、「相対性理論の正しさを示す証拠と考えられる現象」・・・相対性理論以外でも説明できるかもしれないが、相対性理論による説明が合理的、と考えられる現象です。    ↑ ありがとうございます。 私の質問は不適切です。指摘していただいて、ありがとうございます。そして、そのうえで回答していただいて、ありがとうございます。 >(1)重力による光のスペクトルの赤方偏移 >・・・一般相対性理論の解釈では、星の表面では重力の影響で時間の進み方が遅れており、遠くの観測者から見れば、光が発射した時点で振動数が小さくなっていた、と考えます。この現象は別の解釈も可能で、光が重力と相互作用すると考えれば、光が重力を振り切って飛び出してくるため、運動エネルギーがポテンシャルエネルギーに変わり、運動エネルギーが減った分、振動数が小さくなった、という解釈もできます。    ↑ ありがとうございます。 >(2)重力場による光の湾曲 >・・・一般相対性理論によると・・・1.75秒・・・。1919年にエディントンが行った観測では、1.61秒・・・。光に質量があるとしてニュートン力学で計算した結果は、1.75秒の半分の0.87秒であり、一般相対性理論が正しいことの証拠と考えられています。 >ただ・・・1.75秒と1.61秒は、近いけれども一致しているとは言い難く、ニュートン力学よりは近い、ということが言えるだけです。 >もう1つ・・・太陽表面でのガスによる屈折が考慮・・・計算上のずれは、重力による曲がりと、屈折による曲がりを足したものになるので、1.75秒より大きくなり、さらに観測値から外れることになります。 >なお、1.61秒という観測値は、・・・信憑性・・・。    ↑ ありがとうございます。すごく、ありがとうございます、です。非常に感謝です。 >(3)水星の近日点移動 >・・・観測から求められた水星の近日点の移動量は、100年で574.83秒です・・・。 >・・・すべての惑星からの影響を足し合わせると、531.46秒となります。これは理論上の計算値です。 >これと観測から求められた値を比較すると、43.37秒の差があります。この差を説明したのが一般相対性理論だと言われております。 >一般相対性理論を使うと、水星単独の運動であっても・・・近日点移動量は43秒となります。この値が、計算値と観測値との差と一致していることから、一般相対性理論の正しさを示す現象と考えられています。 >ただ、・・・計算で求められた他の惑星からの影響は、すべてニュートン力学で求められた値・・・。一般相対性理論の正しさを示すためには、他の惑星からの摂動も一般相対性理論に基づいて計算されなければなりません。    ↑ ありがとうございます。すごく、ありがとうございます、です。非常に感謝です。 >(4)重力による時間の遅れ >・・・重力ポテンシャルがφで与えられるとすると、そこで速度vで動いている質点の固有時τは・・・dτ=dt√(1+2φ/c^2-v^2/c^2) φ=-GM/r・・・相対性理論での時間の遅れは、時計の機構とは関係ないもの・・・    ↑ ありがとうございます。 ありがとうございます。

関連するQ&A

  • 原子力発電と相対性理論

    原子力発電の技術には相対性理論に基づいていると聞きました これはいったいどういうことでしょうか? 相対性理論が無ければ原子力の利用は無かったのでしょうか? 相対性理論によって原子力が可能になったのでしょうか? 当方素人です わかりやすく教えてくれる方 お願いします

  • 特殊相対性理論の時間遅れ

    コンビニで相対性理論を解説した本を買いました。特殊相対性理論で時間遅れを説明する際に、光時計を電車に縦に置いて説明してます。Tb=Ta*(1-v**2/c**2)**1/2 しかし、光時計を横に置いたら時間遅れが違う結果になると思うのですが。 縦に置くのはなぜでしょうか? ちなみに、光時計とは光を走らせて時間を計る時計です。30万キロ走らせて、1秒を測ります。

  • 相対性理論についての疑問

    相対性理論について僕は、「光はどのような場所でも一定だ」ということしか 知らない程浅はかですが、例えば光速不変であるから、物体は光速に近づくにつれて時間の進みが遅くなりますよね?(距離=時間×速さより) そこで疑問に思ったのですが、小さな物体を拡大してみると、速く見えますよね?光速はどのような場所でも不変だと聞いているのでここでも光速は不変ということになりますよね?すると小さい物体ほど時間の進みが遅くなるということになります。でもそれっておかしいですよね? 根本的なところが間違っているのでしょうか?誰か教えてください。

  • 飛行機に原子時計を乗っけた相対論の実験では、

    飛行機に原子時計を乗っけた相対論の実験では、 西回りでは時間が早くなり、東回りでは時間が遅くなるらしいのですが、 まぜGPS衛星はいろんな回り方しているのに、4.46-10nsの時間が早くなる ので遅くなるように一定の補正でよいのでしょうか?

  • 身近に相対性理論を必要とする現象がありますか。

    相対性理論を理解することはあきらめかけています。物事を考えていく上で身近な現象を捉えて五感を使って「なぜかな?」と、考えていくのが、普通だと思うのです。身の回り(地球上)の現象で、相対性理論でなければ説明のつかない現象があれば、そこからもう1度相対性理論にチャレンジしたいと、思っています。

  • 特殊相対性理論で定義された時間の解釈について質問します。相対論ではある

    特殊相対性理論で定義された時間の解釈について質問します。相対論ではある慣性系内の時計の合わせ方(同時性の概念)を光の伝達により定義しています。http://www.fourmilab.ch/etexts/einstein/specrel/specrel.pdf 私はこの定義がとても人為的で日常の感覚とそぐわないものに感じます。よく相対論の帰結としてあげられる、動いている物体のローレンツ収縮や動いている時計の遅れはこの時間の定義と光速度普遍の原理からの帰結となっています。しかし、たとえば動いてる系Sの時計が遅れたように見えても、それはその(光をつかった)時計の時間の測り方の原理によるもので、日常見られる現象が‘ゆっくりに見えたり’、‘歳をとらないで済む’ということではない気がします。(すなわち時計が遅れたのであって、(日常的な意味の)時間が遅れたのではない)そうすると相対性理論における時間は現象をうまく説明するための数学的、抽象的な変数(日常感じる時間とは別のもの)のように感じてしまうのですが、自分の考えに誤りはあるでしょうか?ご指摘お願いします。

  • 相対性理論の「時計が遅れる」について

    相対性理論の「時計が遅れる」について 先日、相対性理論の本格的でない簡単な講義を聞きました。 そこで、光速に近いような速く動くものは時間の流れが遅くなる、 例えば時計がそのような速さで動いたら時間が遅れてしまう・・・というような話を聞きました。 しかし、どちらが遅れるかはどうやって決まるのかがわからなくて不思議に思ってます。 地球からみれば高速の宇宙船はすごい速さで動いてるかもしれませんが、 逆に宇宙船から見れば地球や他の星の方がすごい速さで動いてると考えられますし、 だからといって宇宙空間に絶対的な座標がある訳でもないのでこれをどっちが速く動いて 時計が遅くなるのかわからないと思うのですが、どうなのでしょうか??

  • 相対性理論について

    ソ連の詩人マルシャークがイギリス人の書いた詩の中からみつけた”相対性理論について”と言う詩がありますが 「本日正午、ロケットが打ち上げられた。 光よりずっと早い速度で飛んでいる。 昨日の午後六時に目的地に着くだろう。」 と言う内容がよく理解できません。 相対性理論の公式を使って計算するとこの座標系が地球に対して光の5分の3の速度で運動していればこのような現象が考えられるそうなのですが・・・・・・。 光の速度に近づけば、相対的に見て静止している人からは時間が短く見えるというのはなんとなく理解できるのですが。 説明よろしくお願いします。

  • 特殊相対性理論における相対性に関する疑問

    特殊相対性理論における相対性に関する疑問です。 今、止まっているものと動いているものがあります。止まっているものから動いているものを見ると、相手の時間は遅れて、長さが縮んで、重くなっているように見えると思います。 この時、動いていたものが静止すると、時間の刻み方は前と同じになりますが時計の時間のずれはそのまま残ると思います。 一方、長さと質量は元の静止していた時と同じ状態に戻ると思います。 もしそうだとすると、時間と長さと質量の相対性には対称性がないということになるのでしょうか。 詳しい方のご指導をよろしくお願いいたします。

  • 特殊相対性理論の「速度」とは?

    特殊相対性理論において、高速で運動する時計の進みはゆっくりになるとされてます。 このときの速度とは、何を基準に測った速度なのでしょうか? 例えば地球上で立ち止まっている人と、空飛ぶ鳥を比べる場合、 1.人の視点から観測すると、鳥のほうが高速に運動してる。 と考えられますが、これはあくまで地球上の静止点を観測点とした場合の話です。 例えば、 2.太陽の視点から観測すると、地球の自転や公転により移動する人の方が、鳥よりも高速に動いているように見える。 という場合も考えられます。この場合、立ち止まっている人のほうが高速で移動してます。 このように、観測点を固定しないと、速度はあくまで2点間の相対速度しか測ることは出来ないんじゃないかと思いました。 じゃあ特殊相対性理論の「速度」って何なのでしょうか? 判りやすく教えてくださいませんか?