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イカダの上で氷を作れるか
碌な器具も機械も燃料もないイカダの上で氷は作れるでしょうか? 『コンチキ号漂流記』というノンフィクション小説にて、1947年、イカダによる太平洋横断に挑戦したハイエルダールがイカダの上で写真の現像液を冷却したくなったが海水ですら20℃以上あってできない。 そこで化学に詳しいクルーに依頼したところ、彼はエタノールと氷酢酸と鍋と水でたちどころに氷を作ってしまったとのことです。 しかも作業をしていた彼の髭面が霜に包まれてしまったというほどの激しい冷却だったとのこと。 筆者自身は化学のことはよく分からなかったらしく具体的な方法は書いておりませんでした。もしかしたら他に別の器具や薬品も使ったのかもしれません。 今のような便利な道具もない1947年、ろくな化学用具も機械もない状況で彼はどうやって氷を作ったのでしょうか? エタノールと氷酢酸と水だけで周囲に霜が降りるような冷却が可能なのでしょうか? 実際にハイエルダールがイカダで太平洋横断に成功し、航海中に写真を撮った以上は嘘ではないと思います。 化学に詳しい方がいらっしゃれば教えていただけないでしょうか。
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この話には違うバージョンも有るようです。 こちらでは南国の未開地となっています。 http://okwave.jp/qa/q6006031.html アルコールと酢と言うどこにでも有り、濃縮物を得やすい物を 素材にしているあたりがそれらしく聞こえるのでしょうか。 氷酢酸とエタノールを、硫酸や苛性ソーダ等と簡単な器具でどう いじり回しても吸熱反応で氷ができる様な事はないはずです。 混合物は生物標本を作る固定液としては使われるようですが。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BA%E5%AE%9A_(%E7%B5%84%E7%B9%94%E5%AD%A6) もし、氷酢酸とエタノールと基礎的な試薬と鍋程度で大量の氷が作れるなら、 子供化学実験室の大人気テーマに成っていたと思います。 夢を壊さない可能性の一つは、混ぜるだけで温度の下がる寒剤の使用です。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%92%E5%89%A4 これらの寒剤の内で、塩化アンモニウム、炭酸ナトリウム、水の1:1:3混合物が 温度低下29℃ですから、外鍋に水を入れ内鍋に寒剤を入れれば水温20℃でも 内鍋の外側に氷はできる訳です。 炭酸ナトリウムは重曹で、昔パンケーキのふくらし粉として広く使われた物です。 塩化アンモニウムは肥料の塩安ですが、下記URLに有るように http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A1%A9%E5%8C%96%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%A2%E3%83%8B%E3%82%A6%E3%83%A0 <食品添加物としては、重炭酸ソーダ(重曹)と併用して膨張剤として使われることが多い[2]。 フィンランドなど北欧諸国で人気のあるサルミアッキ(リコリス菓子)というキャンディ には塩化アンモニウムが使用されているため塩味とアンモニア臭がする。> 北欧のノルウェーからの人が多かったハイエルダールのチームがパンケーキや菓子作りの為に 持参していたかも知れません。 いや必ず持参していました。人はパンのみにて生きるに在らずですから。 コンチキ号では色々な工夫をして、必要なら氷りも作り、航海をし海を渡り切った、 と信じたい、ラジヲ放送のコンチキ号冒険記にドキドキハラハラと耳を傾けた元少年の 今は擦れた「慣れ」の果て者の回答でした。悪しからず。
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- Postizos
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No.2です。 ガスの旗色が悪いので補足。 二酸化炭素消火器は第二次大戦中の軍艦には必ず積んであったというのが思いつきの根拠です。 http://www.shasej.org/gakkaishi/0108/0108-koza-01.html それと乗組員の中に冷蔵設備の専門家がいたという記事(真偽は確認していません)をちらっと読んだのでガス系ではないかと思った次第。 それと髭に霜が付いたという記述。
お礼
再度ありがとうございます。 すいません。炭酸ガスも寒剤の一種くらいに考えて答えていましたのでけして否定するわけではありません。江戸時代の話に意識が集中しすぎていました。 むしろ改めて考えるとコンチキ号における冷却手法は炭酸ガスによるものの可能性が高い気もしてきました。 あるいは回答者様方には申し訳ないですがもしかしたら原文には炭酸ガスを使うという記述があり、私が忘れていたという可能性もあるかもしれません。 なにぶん10年以上前に読んだきりのことでして。 なんにせよコンチキ号当時の技術でも氷を作れるくらいの冷却手法があるとわかっただけで勉強になりました。 お答えいただいた皆様方、本当にありがとうございました。
- drmuraberg
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江戸時代に氷を作れるかの質問には3名の方が否定的な回答をしていますが、 そう断言できるかはちょっと疑問です。 1755年にウィリアム・カッレンがエーテルを真空ポンプで気化させると 氷が出来ることを報告しています。 エーテルやアルコール類を減圧下で気化させれば氷ができます。 その為の真空ポンプはそれほど強力なものでは無く、江戸時代後期の 日本の職人ならその程度のポンプ(精巧な逆止弁付き鞴(フイゴ)でも良い) を作れた可能性は有るかと思います。 http://fnorio.com/0104history_of_freezing_&_cooling_technology1/history_of_freezing_&_cooling_technology1.htm 次の可能性は硝石(当時の火薬の原料)を水に溶かし、その際の温度低下を 利用するものです。下記URLに、其れで氷を作り、その氷+硝石の寒剤を 使えばシャーベットが作れるとあります。 http://miniature.sakura.ne.jp/novel/sunrize/4-5/sun4-06.htm 硝石+水の温度低下は事実ですが、この小説に有るようにそれで氷ができるかは 疑問です(未検証・未検索)。 最後の都市伝説的な方法は、素焼きの壺に水を入れ滲み出す水を気化させ、 その気化熱による温度低下で壺内に氷ができるというものです。 Web上の中近東旅行記等に散見されます。 確かに、水の気化熱は540Kcal/kgで融解(凝固)熱は80Kcal/kgですから 帳尻的には可能です。 暑い地方で水を素焼きの壺に保管し、暑い日でも冷たい水が飲めると言うのは 事実ですが、氷になるかどうかは疑問です。 日本の陶芸職人なら、陶土の素材を厳選し、適度な滲み出しの壺を作り、 水を入れ、滲み出した水を団扇で休み無く扇げばひょっとすれば出来るかも 知れません。 次のケースと同じと思われます。 白人(草原のある動物を見て):あの動物はなんて言う名前? アボリジニ(笑いながら):カンガルー(名前知らね~) 白人(微笑んで):Ohカンガルーと言う名前ね! I see. 寒暖の差の大きな砂漠地帯で。 旅行者:この壺水が漏れるよ。 住民:水冷えるね。 旅行者:どの位寒い?(多分変な通訳を介して。) 住民:(氷点下になる夜を考えて)水凍るね。 旅行者:水が凍るほど壺の温度下がるのね。 カタカタ(キーボードの音) Webで 素焼き壺素晴らしい!水も冷えるし凍る!冷蔵庫いらない!原発いらない! と誇大化されているような気がします。 さて塩化アンモニウム+重曹の話ですが、これも江戸時代にできたかは 必ずしも否定はできません。アンモニアの合成が難しいですが、当時 ヨーロッパでは既に合成されています。純度は不明ですが。 塩化アンモニウム←塩酸+アンモニアですが、塩酸を得る経路は 硫黄+酸素(燃焼)→二酸化硫黄(ガス)、二酸化硫黄+水→硫酸、 硫酸+食塩→塩化水素(ガス)、塩化水素+水→塩酸 となり可能です。 アンモニアや重曹も当時の技術で可能な経路が有るかも知れません。
お礼
またまたありがとうございます。 非常に興味深い内容ですね。化学的手法による冷却にはいろいろなものがあるのですね。 ただ、仮に江戸時代にこれらの技術があっても実際に氷を作っていた可能性は低そうですが、案外個人レベルでは色んな化学的手法を試していた研究者がいたかもと思うとワクワクしてきます。
- reglus
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酢酸とエタノールから酢酸エチルを作る反応は確か発熱反応です。 どうしても冷却というのなら、アルデヒド類とエタノールからアセタールを生成して、アセタールの加水分解は確か吸熱反応だったと思います。 酢酸は触媒として使えるかどうか。無理だと思いますけど・・。 船の上でアルデヒドを持っている状況というと、生物学の観察でプレパラートを作る際に使うホルマリンかグルタルアルデヒドでしょうか。 いずれにしても鍋でやれるような実験ではないです。アルデヒド類の蒸気を吸い込んで倒れるのがオチでしょうね。 ちなみにNo1の方のは酢酸の過冷却による結晶化現象の写真で、氷のように見える物体は発熱しています。 あと、一般的な話なのですが、吸熱反応というのは外部から熱を与えないと化学反応が停止してしまうものが大半で、何をどう使っても氷が出来る前に反応自体が止まると思います。 化学反応を用いて何かを冷却する事自体は難しくないですけど、水を凍らせるほどに冷やす事はとても難しいと思います。
お礼
ありがとうございます。 とするとこれはだいぶ信憑性が怪しい話か、自分の記憶違いの可能性もありそうですね。
- Postizos
- ベストアンサー率52% (1786/3423)
化学にはさして詳しくないのですが… 氷酢酸は現像の停止液で使う薬品ですが、希釈すると熱が出るのでどう使うのかなと思います。 霜が付くほどなのですからアルコールの蒸発程度では無理だと思います。 無線機を積んでいたようですから、おそらく二酸化炭素消火器などを積んでいたのではないでしょうか。液化炭酸ガスの気化熱を利用したという推測です。アルコールは氷やドライアイス(二酸化炭素消火器を使うと発生するようです)と併用して寒剤として使えるようです。 しかし白黒の現像では20℃まで下げなくても23,24℃ぐらいでもできないことはないので必ずしも氷までは必要ではないように思うのですよね。それに海上で無理に現像しなくてもいいと思うし、せいぜい失敗していないかどうか少量をチェックする程度の目的ではないでしょうか。それなら20度以下に温度を下げた水が数リットルあれば済むと思うのです。 何か退屈しのぎにヘイエルダールを驚かしてやろうと考えたようなシーンが想像されます。
お礼
なるほど。 実際はホットアイスなどでそれっぽいいたずらをしたのかもしれませんね。
- hiroko771
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お礼
これは興味深いですね。 教えていただきありがとうございます。
お礼
いえいえ、ハイエルダールが物語として面白おかしく脚色したり、あるいは近代船の補助を受けながら航海をした可能性なども十分ありうるとは自分も思っていますので。 可能性としては氷などのエピソードは創作であったか、寒剤を利用したか、あたりのようですね。
補足
ちなみにこの質問をしたのは、江戸時代の技術で氷を作れるか、という質問をみて、そこでは否定されていたのですが、このコンチキ号の話が事実なら江戸時代でも化学的に氷を作れるのかな、と思ったからなのです。 江戸時代に重曹や塩化アンモニウムを作る技術があれば氷は作れそうですね。 歴史には詳しくないので当時にそんな技術があったかは分かりませんし、仮に可能だとしてもこの方法では工業規模で氷を作ることは不可能でしょうけども。