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電気抵抗についてなんですが…
BCS1957の回答
- BCS1957
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こんにちは。 多少厳密性に欠ける表現になりますが、電気抵抗とは電子などのキャリアの流れにくさを表す量です。 これは当然温度によっても異なってきます。 以後キャリアを電子に絞ってお話します。 金属、半導体、絶縁体、その他の状態によって電気抵抗の温度依存性は異なってきます。 おそらく今回は金属系の電気抵抗の話だと思いますので、金属について説明します。 電気抵抗は電子が原子やその周りの電子と衝突することによって生じます。 (衝突というと御幣があるかもしれません。散乱と呼んだ方がより正確です。) 温度が上昇すると電子の運動が激しくなり、衝突回数が増します。したがって、それだけ電子の流れを邪魔されることになりますので、電気抵抗は高くなります。 つまり、電気抵抗は温度増加と共に大きくなると考えられます。 金属の電気抵抗の温度依存性は一般に R=R0+aT+bT^2+cT^5 (R0, a, b, cは温度に依存しない正の定数) と表すことが出来ます。 (1) 定数項R0 これは不純物散乱項と呼ばれており、絶対零度(0K)になっても残存している抵抗値です。生成された物質には少なからず欠陥や不純物が存在していますので、それによる散乱が原因で0Kでも抵抗値が残ってしまいます。 (2)1次の項:aT これは高温領域におけるフォノン散乱項です。(フォノン=原子の熱振動を量子化したもので、フォノン散乱とは、原子の熱振動によって電子の運動が妨げられることを意味します。) 通常の金属では室温程度でもこの項が支配的です。 なので、抵抗値の温度依存性は室温付近では直線になることが多いです。 (3)2次の項:bT^2 これは電子散乱項です。2次以上の項は話が結構ややこしく、私も証明したことはないです。電子同士の散乱によって生じる項です。低温で支配的となります。 (4)5次の項:cT^5 低温領域におけるフォノン散乱項です。ただ、電子間の相関が強い物質は(3)のbT^2の項が支配的となります。低温でT^2になるかT^5になるかは物質によって様々です。 簡単ではありますが、金属系の電気抵抗の温度依存性は上記の通りとなります。 質問の回答になっているかどうかはわかりませんが、参考になれば幸いです。 ◆余談1 半導体では金属とは逆の傾向を示します。つまり温度が上がると抵抗値が下がります。 もともと半導体は電気をそこまで通さないのですが、温度を上げていくと、束縛されていた電子やイオンが熱エネルギーにより、その束縛から解放されてキャリアとして振舞います。その結果、温度上昇に伴い当然衝突回数は多くなるのですが、それ以上に電気を運ぶキャリアが増加するので、電流が増加し、抵抗値は減少します。 ◆余談2 今から100年と少し前に金属を冷却していって0Kにしたら電気抵抗はどうなるか、という論争がありました。そこで (a) 温度T→0で電気抵抗はゼロになる。 (b) 温度T→0であらゆるものは動けなくなるので、電気抵抗は無限大になる。 (c) 不純物が残っている場合、温度T→0で有限となる。 という3つの仮説が立てられていました。 当時は冷却技術も今ほどなく、その実験が出来ませんでしたが、オランダの物理学者Kamerlingh Onnesが1908年にヘリウムの液化(真空引きすることで0.9Kまで達成)に成功したことでその実験が可能となりました。そして、水銀(Hg)を冷却していき、4.2Kで電気抵抗が突然ゼロになる超伝導現象を発見しました。 このように電気抵抗の温度依存性は100年以上前から調べられていました。先人達の努力は大変にすばらしいものです。
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