物上代位における差押の趣旨と特定性維持説の議論
- 債権執行における差押の趣旨を考えるべき疑問が生じています。債権執行における差押は対抗要件として行われ、対象債権の債権譲渡によって決まります。
- 一方、担保権の実行における差押は第三債務者保護の要請からなされるものであり、担保権の効力が及んでいる債権に対して行われます。
- 物上代位における差押を考えると、担保権の効力が及んでいる場合に第三債務者保護の要請から差押が求められると考えられます。
- ベストアンサー
PART2:物上代位における差押の趣旨について、特定性維持説等の議論
PART2:物上代位における差押の趣旨について、特定性維持説等の議論 がありますが、この差押せは債権執行における差押を準用したものであると 聞いております。 そこで、準用されている債権執行における差押の趣旨をどのように考えるべ きかという疑問が出てきました。 そこで次のように考えてみましたが、誤りがあればご指摘のほどお願いいた します。 強制執行としての債権執行での差押は対抗要件としてなされるものであり、 例えば、対象債権の債権譲渡があった場合には、その先後で決する。 (但し、債権者間では債権者平等の原則から差押の先後では決しない) これに対して、担保権の実行としての債権執行の場合には、対象となる債権 には担保権の効力が及んでいるために、差押は第三債務者が誰に支払ったら よいかを知らしめるためのものであり、第三債務者保護の要請から求められ るものであるとと考えられる。 上記を踏まえて、物上代位についての差押を考えますと、価値変換物に担保 権の効力が及んでいるとことを前提にするのならば、第三債務者保護の要請 から差押が求められると考えられる。 迷走、暴走していることを恐れるところですが、宜しくお願いいたします。
- a1b
- お礼率74% (985/1325)
- その他(法律)
- 回答数2
- ありがとう数1
- みんなの回答 (2)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
他の回答に丁寧なお礼を頂いたので、自分にわかる範囲でコメントする。ただし申し訳ないのだが、本質問に対する明快な答えを持っているわけではないので、同じクラスの友達に休み時間に質問する程度の期待感で、読んでいただければ幸いである。 ○一読して感じた素朴な疑問をまとまりなく、指摘しておく。 1.「物上代位における差押の趣旨」 推測するに「”抵当権による”物上代位における差押の趣旨」ですよね?他の担保物権、例えば先取特権による物上代位においては、議論はあるものの、判例では差押は不要のため。 2.債権執行には、「強制執行による債権執行」と、「担保権の実行としての債権執行」の異なる2種類があるように読めるが、(言葉の定義の問題ともいえるかもしれないが、)これは間違い。 推測するに、「担保権の実行としての債権執行」とは、抵当権等が付着する債権につき、抵当権等を実行するということですよね?であれば単に抵当権等の問題に過ぎず、抵当権の物上代位と、抵当権を比較すると言うほとんど意味のないことをしている。 それとも、「不動産における抵当権の物上代位における差押の趣旨」と「債権における抵当権の物上代位における差押の趣旨」とを比較したいということですか? 3.「物上代位における差押の趣旨について、特定性維持説等の議論がありますが、この差押せは債権執行における差押を準用したものであると聞いております。」 自分は「この差押は債権執行における差押を準用したものである」という説は知らないのだが、誰がどこで主張している説か教えてください。 また、この文の意味がわからないのだが、「この」とは何を指すのですか?「(抵当権の)物上代位における差押」を指しているのか、「特定性維持説の立場をとった場合の抵当権の物上代位における差押」を指しているのか、それとも別のものをさしているのですか? ○既にご存知とは思うが、念のため簡単にいくつかの説をまとめておく。(以下は、内田の民法を適当に抜き出したもの) 1.特定性維持説(従来の多数説) 抵当権を価値権としてとらえる立場から、交換価値の具体化である代位物に効力が及ぶのは当然であり、物上代位は価値権である担保物権の本質から当然に認められるものであると考え、304条の差押も、目的物の特定性を維持するために要求するに過ぎない。 2.我妻説 実際問題として、抵当権者が差押なしにいきなり第三債務者に弁済を請求しても、第三債務者としては、自分の債権者でもない抵当権者に払っても良いか不安に感ずる。そこで、優先弁済を得るには抵当権者自身が差押をすることによって、第三債務者に対して物上代位の意思を明らかにする必要がある。 3.優先権保全説(現在の判例の立場) 物上代位は法が担保権の実効性確保のために与えた権能であると考え、抵当権にどこまでの優先的地位を与えるかは一般債権者や債権譲受け人の違いとの調整を考えつつ判断されるべき、政策的な問題。このような観点から、抵当権者の優先的地位はなるべく保護すべきであるが、あくまでそれは当該債権についての執行手続きに乗る限りにおいてであり、そのため差押を優先権を保全するための要件とする。 ○前回のお礼に対するコメント 失礼な質問に対しても真摯な回答ありがとうございます。 勉強方法は人それぞれ色々あるものだと、改めて納得致しました。
その他の回答 (1)
- lawlawlawlaw
- ベストアンサー率67% (21/31)
改めて読み返したところ、自分の回答に2点誤りがあったので、訂正しておく。 1. 素朴な疑問の2.「担保権の実行としての債権執行」のくだりのなかで、「抵当権などが付着する債権につき・・・」とあるが、抵当権は不動産、地上権、永小作権を目的とするものなので、文中の「抵当権など」を「質権等の担保物権」と訂正する。 全部を訂正すると、 「推測するに、「担保権の実行としての債権執行」とは、質権等の担保物権が付着する債権につき、質権等の担保物権を実行するということですよね?であれば単に担保物権の問題に過ぎず、抵当権の物上代位と、質権や先取り特権の物上代位を比較しているに過ぎない。 それとも、不動産執行と債権執行における差押えの趣旨を比較したいということですか?」 2. 学説の紹介の3 「(前略)抵当権にどこまでの優先的地位を与えるかは一般債権者や債権譲受け人の違いとの調整を考えつつ判断されるべき」 とあるが、「違い」ではなく「利害」。 お詫びして訂正いたします。
関連するQ&A
- 物上代位について
物上代位の差押えの 第三債務者保護説についての記述に 民事執行手続がドイツ法の影響下で整備されたため、 差押えについても、債務名義を伴う差押制度に一本化された (かつてはフランス流の債務名義を伴わない 特殊な債権差押制度が存在した)。 このため、物上代位に裁判上の差押えが求められるという 比較法的に特異な制度となったという。 第三債務者保護説は、このような沿革上の原型に忠実に「差押え」の要件を解釈しようとするものである。 とあったのですが よく分かりません。 今は担保権にもとづき債務名義なしで債権執行できるので 現在の民事執行法ができる前に 担保権についても債務名義がないと差押えできない(特異な制度)時代があったということなのでしょうか。 現在の民事執行法を 原則則は債務名義が必要で例外が債務名義不要と読むのも 変な気がしますし。 あんまり気にする記述でもないのか気になるところです。
- ベストアンサー
- その他(法律)
- 抵当権に基づく物上代位
基本的なことがまだ理解できていません。おかしなところがあれば、指摘してください。 物上代位というのは、抵当権をはじめとするその他の担保物権に備わっている効力であり、その効力を及ぼそうとするには(物上代位を行使しようとするには)、その要件として『差押え』が要求される。 質問(1) 物上代位はいつ、どの時点で行使できるのかということです。物上代位を行使する際に『差押え』が必要とされるということは、債務者に債務不履行があった場合(被担保債権の弁済期が来ても弁済しない場合)には物上代位を行使できるということでよいのですか? ≪『差押え』についての理解がまだ未熟なのですが、債務不履行があった場合に、債権者が債務者に対してする強制執行の前提となる手続き??といった理解でよいのでしょうか?今後、民事執行法を学習する予定なので今のところはこれぐらいの理解しかないのですが…≫ 質問(2) 抵当権設定者により目的物が賃貸されている場合、債務不履行後は抵当権の効力はその後生じた抵当目的物の果実にも及ぶ(341条)のであるから、「債務不履行後」”は”物上代位の規定によらず、賃料に対して優先弁済権を主張できる、とあるテキストにあります。そうすると賃料については「債務不履行前」においての物上代位が可能ということですか?そうなると質問(1)は全くの僕の勘違いとなるのですが… 質問(3) 抵当権に基づく物上代位権は抵当権設定前に対抗力を備えている賃借権の賃料に対しても行使できる。[最判平元.10 27 ] 賃借権の登記についての学習がまだ進んでいないので、知識がかなり乏しいいのですが、賃借権を登記するのは借主であり、その借主にとっては賃借物の使用収益ができれば、貸主は誰であろうと関係なく、賃料を支払う相手が貸主であろうと差押えをした抵当権者であろうと問題ないからと理解していよいのでしょうか? 知識、理解がまだまだの初学者です。質問の意図をなんとか汲み取っていただいて、ご回答・ご教授していただければ幸いです。
- ベストアンサー
- その他(法律)
- 物上代位の要件
質問自体がうまくまとめられていないかもしれないのですがよろしくお願いします。 1) 動産先取特権による物上代位の目的となる債権について、一般債権者が差押又は仮差押をした後であっても、先取特権者は物上代位権を行使することができるとされます。 この理由はそもそも一般債権者の仮差押えはもちろん差押えも304条にいう「払渡し又は引渡し」には当たらないからだと思うのですがそういう理解でよいのでしょうか。とするとこの場合、先取特権者は差押えなしに先取特権を行使できるということでよいでしょうか。 2)他方、債権について一般債権者による差押えと抵当権者の物上代位権による差押えが競合したときは、前者の差押命令の第三債務者への送達と後者の抵当権設定登記の先後によって優劣を決すべきだとされていると思います。(最判平10.3.26) そこで疑問なのですが第一に1)のように一般債権者の差押えが「払渡にも引渡し」にも当たらないのであれば抵当権設定登記が差押え命令の送達の後であっても、抵当権者が自ら差押えれば物上代位権を行使できるということはないのでしょうか。 債権譲渡の場合には、その対抗要件が備えられた後であっても抵当権者は自ら差押さえれば物上代位権を行使することができるとされることとの対比で差し押さえの場合に登記の先後がなぜ優劣の基準となるのか理由がわかりません。 第二は一般債権者の差押えが「払渡にも引渡し」にも当たらないのであれば1)と同じように抵当権者は登記さえ備えておればそもそも差押さえをする必要すらなく、一般債権者による差押命令の送達に対抗することができるということはないのでしょうか? 第三は上記判例では一般債権者による差押命令の第三債務者への送達と抵当権の登記の先後が問題とされていますが送達されるよりも前に差押えの登記が入れば優劣は両者の登記の先後となるのでしょうか。
- ベストアンサー
- その他(法律)
- 先取特権に基づく物上代位について質問です。
先取特権に基づく物上代位について質問です。 最近の判例は、民法304条1項但書が物上代位を行う要件として差押えを要求する趣旨を、二重弁済の危険から第三債務者を保護することにある、とします。そして特に先取特権については、抵当権のように登記によって公示されないことから、同条項の差押えには第三者を保護する趣旨も含まれているとしています。 このため先取特権に基づく物上代位の目的債権が第三者に譲渡され対抗要件を具備したときは、当該債権譲渡は304条1項但書にいう「払渡し又は引渡し」にあたり、もはや先取特権者は物上代位をすることができない、と解されています。 この理屈については理解できるのですが、理解できないのは一般債権者の差押えとの関係です。 判例・通説は、結論として一般債権者が目的債権を差押えた後も、先取特権者は重ねて同債権を差押え物上代位をすることができるとしていますが、先取特権には公示機能がない以上、上記した債権譲渡と同様に一般債権者の差押えは「払渡し又は引渡し」にあたり、物上代位が不可能になってしまうのでは…と思えてしまうのです。 担保物権に詳しい方いらっしゃいましたらご教授お願いします。
- 締切済み
- その他(法律)
- 抵当権の物上代位について
抵当権の物上代位について 頭が混乱してしまったので助けてください。 (1) 物上代位をする(?)と、他の目的物に抵当権の効力が及ぶというのは分かるんですが 物上代位って抵当権者が「する」ものなんでしょうか? それとも勝手に発生するものなんでしょうか?だとしたらどういう時に発生するんでしょうか? (2) また、物上代位が起きたことで、 それが起こる前の抵当権の目的物には抵当権の効力は及ばなくなるんでしょうか? (3) 不動産競売と担保不動産収益執行というのは、抵当権の実行によって出てくる債権回収方法の選択肢で、 抵当権者はどっちか一つを選べる、という認識であってますか? (4) それでこの担保不動産収益執行と、賃料債権に物上代位を及ぼした場合との違いについてですが 後者は債権者自身が回収するってことであってますか? (5) 一般債権者は強制競売ができるそうですが、抵当権をつけてもらってないのに競売ができるっていうのはなぜですか? この場合に競売に掛けられてる物って何なんでしょうか? 意味不明になってると思いますが宜しくお願いします!
- ベストアンサー
- その他(法律)
- 物上代位と差し押さえ
物上代位と差し押さえについての違いがわからないので教えていただけませんか? 物上代位とは・・・債権者が代わりにお金を持っていけるものと考えています 差し押さえとは・・・・債権者が代わりにこっちによこせといえるものと考えています 物上代位をするには差し押さえが必要になったりするときもあったりでよくわかっていません よろしくお願いします
- ベストアンサー
- その他(法律)
- 抵当権に基づく物上代位に関する質問です。
抵当権に基づく物上代位に関する質問です。 物上代位の目的債権が譲渡・差押えされる前に抵当権の設定登記を備えていれば当該債権を自ら差押えて物上代位をすることができる、というのが判例の立場です。その理由は、抵当権に基づく物上代位の効力は登記によって公示されているから、先に登記を具備していれば債権譲受人・差押債権者に不測の損害を与えることはないという点、また差押えの処分禁止効にいう処分には抵当権の設定も含まれている点に求められると思います。このため目的債権を第三者が差押後、抵当権を設定しても当該債権につき物上代位を行うことができません。 ここで疑問に思うのが、先取特権の場合、単に目的債権を差押えられた後も重ねて同債権を差押えて物上代位ができることと整合性がとれていないのではないかという点です。 すなわち、第三者に不測の損害を被らせることを防止するために、第三者が目的債権を差押えた後に抵当権を設定しても物上代位はできないのならば、公示機能のない先取特権の場合も目的債権が差押えられた場合物上代位を認めるべきではないように思えるのです。 担保物権に詳しい方おられましたらご教授ください。
- ベストアンサー
- その他(法律)
- 抵当権においての果実と物上代位についてです。
下記、(1)と(2)の違いがイメージできません。 「抵当権が、その担保する債権について不履行があったときに、その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ。」ことと「物上代位」はどこが異なるのでしょうか。 つきましては、これについて、できましたら、仮の名称「A」などを使用したやさしい事例などで、ご教示いただきたく、よろしくお願いいたします。 第三百七十一条 抵当権は、その担保する債権について不履行があったときは、その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ。 (留置権等の規定の準用) 第三百七十二条 第二百九十六条、第三百四条及び第三百五十一条の規定は、抵当権について準用する。 (物上代位) 第三百四条 先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。 2 債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても、前項と同様とする。 記 (1)抵当権が、その担保する債権について不履行があったときに、その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ。(民法371条) (2)抵当権で、抵当不動産の「賃料」「賃料債権」が物上代位の目的物となる。
- ベストアンサー
- その他(法律)
- 物上代位などの物上とは
物上代位とか物上保証の物上とはどういう概念なのでしょうか? 物上保証(他人の債務のために自分のものを担保する) 物上代位(債務者がお金を払ってこない場合に、その債務者の債務者から直接お金を回収できる、のだと思いますが) 共通するような物・上 の概念がちょっと思いつきません・・
- 締切済み
- 債務整理
- 抵当権の物上代位性について
http://tokagekyo.7777.net/echo_t1_coll/1104.html で ◆物上代位 抵当権者は,抵当権実行の前であっても,債務不履行があれば,当該賃料債権を抵当権に基づき差し押えることができます。(最高裁・平成元.10.27) のとおり、物上代位として、「抵当権者は,抵当権実行の前であっても,債務不履行があれば,当該賃料債権を抵当権に基づき差し押えることができます。(最高裁・平成元.10.27)」とあるのですが、これは、どうして物上代位の問題になっているのでしょうか。 「物上代位」とは「担保物権の目的物が売却,賃貸,滅失,破損され,その交換価値が,それぞれ売買代金,賃料,保険金などの請求権として現実化された場合,これらの請求権にも担保物権の効力が及ぶこと (民法 304) 。」 https://kotobank.jp/word/%E7%89%A9%E4%B8%8A%E4%BB%A3%E4%BD%8D-125183 のとおり、「担保物権の目的物が売却,賃貸,滅失,破損された場合」とあるようです。 しかし、「抵当権者は,抵当権実行の前であっても,債務不履行があれば,当該賃料債権を抵当権に基づき差し押えることができます。(最高裁・平成元.10.27)」の場合は、「担保物権の目的物が売却,賃貸,滅失,破損された場合」にはあたりません。 ご教示よろしくお願いいたします。 【参考】 第三百四条 先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。 2 債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても、前項と同様とする。 第三百七十一条 抵当権は、その担保する債権について不履行があったときは、その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ。 第三百七十二条 第二百九十六条、第三百四条及び第三百五十一条の規定は、抵当権について準用する。
- ベストアンサー
- その他(法律)
お礼
懇切丁寧かつ詳細な回答有難うございます。 参考にさせていただきます。
補足
懇切丁寧かつ的確な回答を有難うございます。 >同じクラスの友達に休み時間に質問する程度の期待感で、読んでいただけ >れば幸いである。 私のもっとも望むところです。 仰るように「担保権の実行による債権執行」という表現は適切でないですね、 この場合には債権担保執行というべきでした。 民事執行法について、特別勉強しているわけではないのですが、実体法である 民法と密接な関係にあると考えられることから今回、付け焼刃に調べてみました。 民事執行法の構成について見てみますと、大きくわけて、1.民414条の強制 履行を実現するための強制執行、2.民303条、304条、342条、369 条等により換価するための担保執行(担保権の実行)、3.留置権、共有物分割、 遺産分割に係る形式競売に分けられると思います。 2.3は以前は「旧競売法」に規定されていて、同じような制度であるにもかかわ らずに手続きが違ったわけですが、民事執行法に統合され、手続きが統一されたよ うです。 即ち、2.3は基本的に1.の強制執行の金銭執行を準用するかたちになっている みたいです。 1.には債権執行(強制執行)がありますが、2.にあります債権担保執行(担保 権の実行)は債務名義を必要とするかしないか等の別はありますが、1.の債権執 行(強制執行)を準用しているそうです。 そして問題の物上代位における差押は2.の債権担保執行(担保権の実行)におけ る差押と理解されているそうです(民事執行・民事保全法299p(中西、中島、 八田))。 そこで、物上代位の差押の趣旨を理解するためには、2.の債権担保執行(担保権 の実行)における差押の趣旨、更にはこれが準用している1.の債権執行(強制執 行)における差押の趣旨を考えて見ることは有用であると考えられます。 これが今回に質問の発端になったものです。 この疑問は、質問を投稿させていただいてからも考えつづけてきましたが、次のよ うなかたちになっております。 まず、債権執行(強制執行)における差押ですが、これは国家が債務名義に基づい て、差押権者に差押債権から配当を認めるもので債務者と第三債務者への通知によ って公示され、配当権を対抗することが出来ると思います。 次に債権担保執行(担保権の実行)の場合の差押ですが、担保権の公示により、既 に債権への優先弁済的効力が及んでいます。(ここで話を簡単にするために、債権 の金額<被担保債権の額とします) 従って、ここでの差押は上記の機能を原則としながらも実質は確実な換価のための 準備段階としての意味しかないように思います。 次に物上代位ですが、担保権の公示により優先弁済的効力は担保物に及んでいます。 しかし、担保物が消滅した場合には担保権の効力は消滅してしまい、物上代位は、 担保権者保護のために法が特別に認めたものであり、差押を求めたのは新たに担保 権の効力を公示するためであるという解釈が成り立ちます。 つまり、この場合の差押は、本来の差押の機能に加えて、担保権の公示の機能を付 け加えてたことになります。 これに対して特定性維持説(価値権説)では、担保権は担保物の交換価値を把握す ものであるから価値変形物にも担保権の公示が及ぶとして、差押は一般財産への混 入を防ぐために必要であって特定性を維持するために必要であるとする説と承知し ております。 これは前説と比較して、理論性や、売買代金への物上代位の説明性にも優れている ように思いますし、差押の本来の機能に新たな機能を加えておりませんが、逆に差 押を蔑ろにする可能性があるやに思います。 転付命令が出た後でも、覆るのであれば、差押したのはなんだったのかいうことに なりますし、第三債務者は誰に支払ったよいか分からないからです。 そこで、理論的には、価値権説を維持しながらも、第三債務者の保護の観点から担 保権者自らが配当請求の終期又は債権譲渡がなされるまでに差押をすることを要求 することが、理論的にも、また本来の差押との整合性の点でも優れているように思 います。 この場合の差押との整合性とは、本来の差押の機能の中には第三債務者の保護の観 点が組み込まれているという意味です。つまり、通常の差押の手続きに従って行え ば第三債務者の保護になるという意味です。 まとめますと、価値変形物である債権に担保権の効力は当然におよんでいるけれど も、そこから優先的に配当を受けるためには、通常の差押の手続きに従って配当請 求終期又債権譲渡が行われるまでに自ら差押ることが必要である。 以上が私の思考過程ですが、突っ込みどころ満載だと思いますので、宜しくお願い いたします。