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客体の錯誤について

bshipの回答

  • bship
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回答No.2

Aの行為による乙への法益侵害の危険性は 無いので、乙への犯罪は成立しないでしょう。 法定的符合説では、甲でも乙でもヒトという客体が 同一であれば構成要件を成立するとされますので、 Aが乙と甲をなぜ間違えたかのか、という理由を 考慮する実益はないでしょう。 人を殺そうとして人を殺したのですから。 一般人からして....という事情を考慮する必要が あるのは、「熊だと思って撃ったら人間であった」 というような過失や責任を問題にする場合でしょう。 なお、理由は「不能犯であったから」とするのは 違うように思います。 Aが(例えば何かのお告げを信じ)乙を殺害する目的で、 甲を殺害したのであれば、乙へは不能犯であるとして よいでしょうが。 抽象的符合説では、 主観と客観がずれていても、犯罪的意図で犯罪的結果を 生じた以上、故意犯の処罰は可能であるという観点から 犯罪を考えるので、殺人未遂と器物損壊罪の観念的競合、 あるいは殺人未遂のみ成立します(抽象的符合説の立場でも説が分かれます)。 法定的符合説では、殺人未遂のみ成立しますし、 具体的符合説ではそもそも故意が阻却されますね。 人との認識で犬を殺害する抽象的事実の錯誤において、 人に対する「不能犯」になるという“通説”とは何説なのですか? B犬を殺したらA男が死ぬと信じて、B犬を 殺害したとすれば、A男に対して不能犯であるという構成は 判らなくはありません。しかし前の例もそうですが、 構成要件の該当性と不能犯の定義を混同されている 気がしますがいかがでしょうか。

akeminn
質問者

お礼

ご回答ありがとうございます。 さて、不能犯の件ですが。 1、bshipさんのおっしゃっていた、Aが(例えば何かのお告げを信じ)乙を殺害する目的で、甲を殺害したケース →具体的危険説(通説)で不能犯 2、殺人目的で砂糖食べさせたケース →通説で一般人が砂糖とわかれば不能犯 3、甲を殺そうとベットに向けてピストル発射したが、甲はいなかったケース →通説では、一般人もベットに人が寝ていると認識しうるので殺人未遂(不能犯ではない) と、不能犯の事例をあげてみました。 これらは通説では、(行為者の認識していた事情と)一般人の認識しえた事情からして、法益侵害の危険性の有無で判断されますね。 これに対し、4、Aが甲男を乙女だと勘違いして殺した場合。 同じように、一般人からして甲男が乙女だと認識しえたのなら、法益侵害の危険性があるといえる(もちろん一般人からして)ので、乙女に対して殺人未遂。そうでないなら不能犯と考えました。 1~3(不能犯の事例)と4の事例はどこが違うのでしょうか? よろしくお願いします。 補足 人との認識で犬を殺害する抽象的事実の錯誤において、 人に対する不能犯になるというのは、法定的符合説のことを指しました。 私の参照した本に、当該事例で「人に対しては,一般人が人と思える事情がない限り不能犯。」と書かれています。 これを見てから「客体の錯誤の場合には、抽象的符合説を除いて、認識した客体に対しては不能犯になるのかな」と思ったのです。

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