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三角関数の置換積分

stomachmanの回答

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  • stomachman
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回答No.5

じゃ、今度は回答。 初めは、高校で習うリーマン積分のレベルで考えたらどうなのか。 ●●不定積分て何ですか。何に使いますか。計算問題に出てくるだけ。現実の問題では最終的にはこんなもん要らないんです。と開き直ってみましょう。  確かに微分方程式を解いて、一般解が不定積分で表される。そういうことはあります。でも、結局境界値に合うように「積分定数」なるへんてこりんを調節しますね。ですから本質的には定積分 F(a,x) = integral {s=a~x} f(s) ds があれば良い。ここでF(a,x)をxの関数だと考えて、aの方はどうでもいいやってんで、「積分定数」なるものに押しつけた。これが不定積分。不逞の積分です。逆に言えば、aを決めてやれば、積分定数など出てこない筈じゃないか。 積分定数というのが、要するに曲者である。 ●そういうわけでして、 sin(x)=2t/(1+t^2), cos(x)=(1-t^2)/(1+t^2) これをやったときにも、 t=1/x を積分する場合でも、積分範囲の中に特異点(tが定義されない点)があったら、その前後をちょっと削って計算する。そして削る幅を→0にして、収束すればよし、おかしくなっちゃったらお手上げ(超関数論に行く)というのが正しい態度であろうかと思います。仰るとおりの意味で積分範囲が「不連続」です。 ●この立場では、「収束すればよし」の場合、ホントの答じゃなくて収束値を書いちゃうんですね。だから等号の意味が違う。"="と書いてあっても「等しい」と「収束する」の違いがあります。  「その収束値が、前後の値ときれいに繋がって微分可能である」という具合に行く場合、つまり関数として「連続」である場合、これはもう「等しい」と「収束する」は意地を張らずに同一視してしまった方が便利じゃないか。という訳です。たとえばフーリエ変換を勉強したら必ず出てくる sinc(x) = (sin x)/x という関数(シンク関数)があります。これ、x=0ではsinc(0)=1なんですよ。分母が0のくせに平気でこう扱う。もちろん x→+0でもx→-0でもsinc(x) →1に収束してくれて、しかもx=0で微分可能であるから、まあいいや、という事なんですね。 ●じゃあ、 K(x) = integral {s=-∞~x} 1/(s^2) ds = (-1/x ) はどうなんだろ。x<0ならK(x)>0ですね。そりゃそうでしょう、被積分関数1/(s^2)はいつでも正ですもん。K(x)は正に決まってるじゃありませんか。  ところが、x>0になったとたんにK(x) <0になります。被積分関数1/(s^2)はsによらず正なんですよ。それが何でK(x)<0になるんですか!!  つまり、s=0のところで変なことが起こって、積分定数に相当する何かを勝手にいじっているに違いない。 ●●そういうわけでリーマン積分から逸脱して、ちょっと超関数の世界を覗いてみましょう。  或る無限小(凄く小さい正の値) ε>0 を考えて、 (1) [1/(s^2) ]= もし|s|≧εなら 1/(s^2) 、もし |s|<εなら Q/ε という関数と考えます。(Qは未知数。)これはs=0のごく近辺以外では1/(s^2)と同じである関数です。そして、 S=integral{s=-∞~∞} [1/(s^2) ] ds = 0 とであることを要求して、Qを決めてみましょう。すると S = integral{s=-∞~-ε} [1/(s^2) ] ds   +integral{s=-ε~ε} [1/(s^2) ] ds   +integral{s=ε~∞} [1/(s^2) ] ds S= integral{s=-∞~-ε} 1/(s^2) ds   +integral{s=-ε~ε} Q/ε ds   +integral{s=ε~∞} 1/(s^2) ds S= 1/ε +2Q +1/ε S =0ですから、 2/ε + 2Q = 0 である。 ゆえにQ = -1/εである。つまり、 (1') [1/(s^2) ]= もし|s|≧εなら 1/(s^2) 、もし |s|<εなら -1/(ε^2) は S=integral{s=-∞~∞} [1/(s^2) ] ds = 0 を満たす。  1/(s^2)の代わりにこの[1/(s^2) ]を使ってみますと、0<ε<x ならばどうなるか。 K(x) = integral {s=-∞~-ε} [1/(s^2) ] ds  + integral {s=-ε~ε} [1/(s^2) ] ds  + integral {s=ε~x} [1/(s^2) ] ds K(x) = integral {s=-∞~-ε} 1/(s^2) ds  + integral {s=-ε~ε} (-1/(ε^2)) ds  + integral {s=ε~x} 1/(s^2) ds K(x) = (1/ε) + (2ε/(ε^2)) + (-1/x+1/ε) = (1/ε) + (-2/ε) + (-1/x+1/ε) =-1/x となる。みごとεは跡形もなく、そして、K(x)<0になってしまう。しかももとの公式通りですね。 ●この [1/(s^2) ]というのが「普通の関数1/(s^2)を超関数(distribution, generalized function)として見たもの」なんです。s=0以外では必ず正の値を取っている筈の1/(s^2)であるのに、s=0の近辺無限小の幅(2ε)の所に-1/(ε^2)なんていう、つまり「無限大の二乗」というとてつもない巨大なマイナスの値がこっそり挟まっている。そのせいで、積分範囲がs=0を跨いだとたんに結果が負になってしまった。 こう考えないと辻褄が合わない。 このように特異点の所を「特異点じゃお手上げ」で済ませないためには、超関数の考え方が大変旨く行くんです。 ★なおここで言う「無限小ε」は厳密に言えば、「0より大きいけれど、どんな正の実数より小さい。」つまり本当の数ではない。超限解析で始めて出てくるものですが、取りあえずは「うんと小さい」とだけ捉えておけば良いでしょう。

ringo2001
質問者

お礼

素晴らしいご回答に脱帽します。有難うございました。 不定積分を定積分で定義するんですね。そうか、それならうまくいきそうです。 私の中では不定積分と定積分は別々に定義してから、微積分学の基本定理で関係付けるというようなイメージを持っていたものですから。 定積分から理論構築すればスムーズに行きそうですね。siegmund先生(stomachman先生に倣って、おふたりのことを先生と呼ばせてください。)もそういうことをいいたかったのですね。 ウィットに富む名回答を楽しく読ませてもらっているファンです。 毎日、回答数が凄まじいですが、お体には十分気をつけてくださいませ。 もうちょっとゆっくり検討してから閉めさせて頂きます。

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